「ふじ、」
「黙ってください」
動けなかった。
力強くて痛い視線が全身に刺さる。
サッカーをしているときとは全く違う刺のある蠱惑の瞳。
掴まれている手首がじわりじわりと熱を持っていく。
何がどうしてこうなったのか、一瞬考えを巡らせるも無駄だった。
何より彼が持つ暗色に囚われていた。
「花先輩」
「…んっ」
一瞬にして唇を塞がれる。
なんで、どうして
イヤだ、イヤだ、イヤだ
私はこんな藤代を知らない。
いつも明るくて楽しそうで、そんな彼は今いない。
恐怖だけがそこにはあった。
たった数秒が果てしなく長く感じる。
唇が離れた後も残された熱は消えることなく私を支配していた。
「…ごめん花先輩。けど俺…」
聞きたくない。
けれど止まらない。
止められない。
「花先輩がすきです」
熱が抑えられない。
惑う熱