意外だ。物凄く意外だ。
何が意外かって、ジンが1番過保護な事よ。
正直、ウォッカに丸投げとか、他の幹部の人達とかに回されてそうそう会わないんじゃないかとか思ってた。
だってほら赤ん坊とか似合わない。
なのに、私はほとんどジンといるし、首がすわってからは抱っこ紐でジンのコートの中が定位置になりつつある。
だからと言って実は子供好きなの?なんてそんな事聞いたらその人は絶対死ぬだろうし、私もロリコン疑惑を抱く前に自分がボスの娘というラスボス級のVIPな事を重々理解してる。
自分が守ってた方が安心とかそういうのなのかな?
そんな訳で今日も今日とて、ウォッカの運転する車の中で私はジンのコートに包まれてる。
「あ〜」
サラサラと頬を掠めるジンの銀髪が擽ったいけど慣れもあって心地いい。
思いっきり引っ張る事はしないから時々掴んでも好きにさせてくれる。
今日はどこに行くんだろう
私を連れて行くって事は危険はないんだろうけどさ。
「着きやしたぜ、アニキ」
く、暗い!結構な時間車に乗ってたけど、もう夜なのか!
街灯もない廃倉庫の様な場所に車が停められて、2人が奥に進んでく。
抱っこされてる私も必然的に一緒に。
ただの廃倉庫とはいえ、雰囲気が怖い。
こんな所に来ると分かってたら車の中で寝てしまえばよかった。
いつも連れられて車に乗る時は抱っこされながら揺られて寝てしまうから今日は頑張って起きてたのに。
「うぅ〜」
後悔しながら、ジンの胸板にグリグリと頭を擦り付けてみた。
ここは嫌だという意味を込めて。
「珍しく起きてやすね」
「下っ端が手に入れた物を受け取るだけだ」
なるほど。だから危険はないから構わないって事ね。
でも場所選ぼうよ。何で倉庫なの。
電球の明かりと申し訳程度についている小さな窓からの月明かりしかない。
「ぅ〜あ」
落ち着かないからジンの髪の毛で遊ばせてもらう。
いつもあるものっていうのは何気に安心するんだ。
「来たか」
私を全スルーして入り口を見やるジンと同じ方向に目をやれば知らない人が入って来てた。
かつての記憶の中にもないからただのモブなんだろうな。
「ここに例の件の物が入ってます。」
置かれたケースをウォッカが確認の為に開ける。
「間違いありやせん」
「そうか。」
あり?
ここはモブの裏切りでドンパチみたいな展開になるのかなーとか思ってたけどアッサリ終わったな。
まぁ、平和に終わるなら何よりよね。
例えケースの中身が物騒な物であってもそれは私の知らない事だ。
モブの人も一安心してるのが分かる。
そのまま解散らしく、歩き出したジンをケースを持ったウォッカが追う。
何ともスムーズに用件が終わって車に乗り込むと緊張が解けたからかお腹が空いたのを感じた。
「ぃ〜あ〜」
ジンはすぐに伝えたい事を汲んでくれる。
あぁ、ほらもうミルク取り出してくれた。
笑いかけてはくれないし、特に話しかけてもくれないけど、誰よりも私の意を理解してくれるし、特にこの位置で常に聞いてるこの鼓動が私を安心させてくれる。
ジンはそんなつもりサラサラ無いんだろうけど、パパみたいだなぁ、なんて思っててもいいかな
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突然、私をウォッカに預けて離れた場所でタバコを吸うジンをきっと嫌いにはなれない。