気が付いたら赤ん坊でした。
それだけでも笑えない状況なのに、ベビーベッドに寝かされた私をキラキラした瞳で見てくる兄(仮)らしき人物に見覚えがあるのは気のせいでしょうか。
「なっちゃん?」
「そうよ〜、新ちゃんの妹、なっちゃんよ」
新ちゃん、だと?
まさか本当に工藤新一?
いやいやいや、確かにママン殿もどこかで見た顔だな〜とは思ってたんだよ。
でもその時は、こんな美人の元に産まれたのなら今回の顔面偏差値は期待できるかもとおかしなテンションになってスルーした。
だって女の子ならそこは結構重要だと思うんだ。
そんな思考の海に沈んでたらいつの間にかママンがいなくて工藤新一(仮)と2人きりになってた。
ママンどこいったの。
赤ん坊の身体は不思議で。
私自身は何てことないと思うのに、異様な不安が襲ってきて泣きなくなってきた。
「ふぇ」
あぁ、新一くん(仮)が慌ててる。
泣いちゃダメだ、だって多分まだこの子3歳くらいだよ。私のが大人なんだから…いや身体は赤ん坊なんだけど。
「な、泣くなよ!俺がいるだろ!?」
そう言ってギュッと手を握られて涙が引っ込んだ。
ベビーベッドは新一くん(仮)にはまだ少し高い。
それなのに一生懸命背伸びして、柵から手を伸ばして握ってくれた手は暖かくて安心した。
「母さんは今ミルク作りに行ってるんだ。その間は俺がお前の事守ってやるから、だから泣くなよ」
そっか、ママンはミルク作りに行ってたんだ。
うん、大丈夫だよ、もう泣かない。
さっきまでの不安は大人よりも小ちゃい、でも今の私よりは少し大きい、この手が消してくれたから。
ありがとうって意味を込めて指を握ってみると、新一くん(仮)は顔を少し赤らめて笑った。可愛い。
何でか分からないけど赤ん坊になって、某小ちゃい名探偵の工藤家(仮)の長女になったらしい私、現在0歳。
とりあえず頑張って人生歩んでみます。
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「なっちゃんが指握った!」
「よかったわね〜」
「父さんより俺が先に触った!」
そういやパパン見かけないな。
「自業自得よ。予定日近くなったらいつ産まれるか気になって仕事なんかしてられないとか言って仕事サボってたんだから」
「病院は行ったんだろ?」
「無事に産まれて一目見たら編集部の人に引っ張られてったわ」
パパン…。