Lucky 7 泣き虫、と言われた。 その男の子は少し無愛想にわたしの手を引いて、引っ張り上げる。少し年上の、目つきの悪い男の子。名前を聞いても、さあ、と肩を竦めるだけ。お城にいるなら、きっと関係者なのだろう。 もう一度聞いてみた。お名前は、と。それでも彼は答えてくれない。ただ面倒くさそうに、じぃっとわたしを見るだけ。 「泣き虫お姫さま」 ぼそっと呟かれた言葉。泣いてばかりのわたしにはピッタリすぎる言葉。言い返そうにも上手い反論は出てこない。 泣いていません、と少しだけ強がっても、また面倒そうに肩を竦めた。なんだか全部見透かされているようで心臓はどきどきと大きな音を立てる。 「泣き虫」 「わ、わたしにはオランジュという名前があります!」 「ふーん」 それでも名前は教えてくれない。なんだか意地悪をされているようで、また、じわりと目尻に涙が溢れてきた。 目つきの悪い男の子は、諦めたように息を吐いた。 「……アルブム」 「ある……?」 「俺の、名前。アルブム・モンテリオ。今日付けでお姫さんの従者」 端的に告げられた言葉を理解するまでに少し時間がかかる。そしてあっと口元を押さえて先日の父の言葉を思い出した。お前にも、そろそろ従者が必要だな、とそんな言葉が。 * 「懐かしいですね、あの頃の話。アルったらとても冷たくて」 「あれは……ランがぴーぴー泣いていたからだろ」 インディゴにせがまれて話した昔の話。出会った日の印象は互いに悪かったが、今では掛け替えのない存在となった。姫として、従僕として。懐かしい日の記憶は、まだ色褪せることはない。 |