Lucky 7



引いた手は、思いの外ちいさかった。骨ばって固い自分の手とは違う、ちいさな手。いつの間に、こんなに差が開いていたのだろうか。いつの間に、背を追い越してしまったのだろうか。
泣きじゃくっていた小さな姫様は、今では涙を堪えることも多くなった。それでも他者の痛みに涙し、民の悲痛な叫び声に耳を傾けて、一緒に苦しんでいた。

「アル、旅に出ましょう」
「……は?」

紅茶を注いでいた時のことだった。唐突とも言える主君の提案に呆れ声を漏らし、カップを彼女の前へと運ぶ。オランジュは紅茶を一口飲んで口を潤すと、芯の強い眼差しでアルブムを見据えて話を続ける。

「わたくしは何も知らない子供です。大きくなっても民達のことを理解出来なかった……そんな姫が国を統治するなんて、ダメなんです」
「だからって旅ってなあ……国王様と王妃様が許可してくれないだろ」
「ええ、だからこっそり出ます」
「はあ!?」

歳を重ねるにつれて少しずつ度胸がついてきていたことは知っていたが、まさかこのような方向だったとは。軽い目眩のような感覚を憶えながらアルブムは息を吐く。

「シルヴィアはどうするんだよ。お前にべったりだろ。あとリックも」
「おふたりにも内緒です。わたくしと、アルブムでお城を抜け出します」

どうやら拒否権はないようだ。なるようになれ。アルブムは天井を仰いで殊更に大きな溜息を漏らすのだった。




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