Lucky 7



*各方面お子様借りております。



【フリージア×フラーウムちゃん】
たまには趣向を変えるんだ。綺麗なフリージアの花束。僕と同じ名前の花を、君に捧げる。そうすれば不意打ちな様子のキミが目を瞬かせる。ああ、その表情すら愛しい。

「えっと、……どういう」
「意味なんて、必要なのお?」

ほらね、そう言えばキミは黙ってしまうんだ。少しばかり気に食わない。その瞳に僕しか映らないようにしたい。そう思うのは、イケナイことなのかな。

「フラーウムのことが好きすぎて死にそうだから、僕の感情のお裾分けだよお」

きっとキミは知らないでしょう。僕の名前に籠められた、優しい言葉なんて。僕も、そんな人になれたらなんて、下らないことを考えてしまったなんて。

* * *

【オリーブ×イヴちゃん】
いい加減しつこいと言われたらどうしようか。そう言われてしまったら立ち直れる自信がないし、引き摺りまくって仲間に根掘り葉掘り聞かれる予感もある。だから彼女の働く貸本屋の前をうろちょろとすることしか出来ない自分が憎い。

「っ、くそ!男を見せろオレ!」

ぱちんと両頬を叩いて気合いを入れ直す。結果が最悪だと分かっていても、やってみなくては判らない。扉を開けるオレの顔はきっと、戦場に向かう兵士のようだったろう。

「いら……っしゃい、ませ?」
「あー……その、イヴ。話があるんだが……」

この好きがオマエにどう伝わるかなんて、今は考えてなんていられなかった。

* * *

【リゼットさん×ネモフィラ】
毎年の恒例行事になってきた、今日と言う日。リーはきっと仕事でへろへろになって帰ってくるだろうから、元気をつけてもらおうと考える献立はどんどんと膨らんでいく。まるで恋する乙女だとからから笑い、鍋に火をかけた。

「ただいまーネモーーー!!」
「はいはいおかえりおかえり」

帰ってくるなり背中に感じる重みが嬉しい。少し埃っぽい臭いがするのは多分、バタバタと仕事を片付けて急いで帰ってきてくれたのだろう。なんて、勝手に妄想してにやけた顔を引き締め、アタシは肩にのし掛かるリーの頭をワシャワシャと撫でた。

「もう少しでご飯だから、先シャワー浴びてさっぱりしといで」

うーい、なんて聞こえて表情の限界。リーがシャワールームへ引っ込んでいったのを見送り、弛んだ頬を掌で隠す。新婚夫婦か、なんて脳内で小さく突っ込みながら。

* * *

【雨藍さん×ゼラニウム】
普段はふらふらと好き勝手な場所に行くくせに、何故か今日に限ってじっとこっちを見てくるのがむず痒い。右に避ければ視線は右に、左に逃げれば視線も左に動く。

「んだよ……」
「ふふ、今日はゼラ君が見たい気分でね」

恥ずかしげもなくさらりと告げられた言葉に、思わず顔が真っ赤になったのは自分で分かった。何せ頬が熱い。なにか言い返そうとしてもろくな言葉が出てこない。

「きょ、今日だけじゃなくてずっとおれを見てろよ」

羞恥心でもごもごと喋ってしまえば、雨藍は殊更に楽しそうな顔をするだけだった。

* * *

【メテオールさん×オランジュ】
ぐすぐすと泣いていると、いつもあなたは花を持ってわたしを慰めてくれるのです。どうした、とかそういうことは抜きにして泣き止むまで待ってくれて、泣き止んだわたしの髪に花を飾って笑ってくださる。素敵な旦那様、世界で一番のわたしの旦那様。

「ふふ」
「思い出し笑いしてどうした?」

なんでもないです、なんて言うと鼻を摘ままれて。少し前ならばそんな些細な接触ですら恥ずかしかったのに。

「メテオールさんが、わたしの旦那様で幸せだと思っていたのです」

包み隠さず伝えるとあなたの顔が真っ赤になるのを、わたしは知っているんですよ?

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【インディゴ×歌奈ちゃん】
甘えたモード全力発動。年下特権万歳。歌奈のお腹にぐりぐりと頭を押し付けて、ぬくもりを噛み締める。温かいし、女の子特有の柔らかさが気持ちいい。なんて言うとセクハラだと怒られるけど気にしない。だって歌奈はおれのカノジョだし。

「あったかー……うーん、やっぱり歌奈の抱き心地最高……」
「インディゴ、寝るならベッドいけば?」
「いかないー」

そんな意見は却下。ベッドにいくなら歌奈と一緒じゃないと行かないし。ぎゅうぎゅうと離れないぞアピールをすれば諦めたような大きな溜め息が頭上から聞こえてきた。
そうそう、諦めて。おれは歌奈から離れるつもりなんて考え、髪の毛ほども持ち合わせてないんだから。

* * *

【直くん×ローズ】
美味しそう、なんて声が聞こえた。食べる、なんて訊ねると嬉しそうな声が返ってくる。そのまま手元にあったチョコレートを指で摘まんで、直ちゃんの口に運んであげる。ぱかりと開いた口に入れてあげれば、美味しそうな声が耳に届く。

「直ちゃんってば美味しそうに食べてくれるから作り甲斐があるなー」
「へへ、ローズちゃんのお菓子美味しいから」

ストレートな賛辞ほど嬉しいものはない。思わず笑顔を溢すと、直ちゃんも釣られて笑ってくれた。うんうん、やっぱりお菓子は偉大だなあ。

「明日も新しいお菓子、作ってくるね」

約束を取り付けて、明日も会う。お菓子を理由にするなんて、少しだけ狡い気もしたけれどそれは、見ない振り。

* * *

【ヴィオレ×みずきちゃん】
不可抗力です、そう言いながらみずきの頬を引っ張る。もっちりとしていて、吸い付きそうな肌触りが堪らない。それを言うと恥ずかしがってしまうから、僕は少しの嘘を舌先に乗せて今日も彼女に触れる。

「僕たちは夫婦なんだから、恥ずかしがらなくていいだろう?」
「だってヴィーさんの触り方がえっちなんだもん!」

半分叫ぶ勢いのみずきが愛しくて、ついつい意地悪してしまうのは僕の悪い癖だろう。くつくつと喉の奥で笑って、みずきの目尻に音を立てながらキスすれば、不意打ちのキスに白い肌が一気に赤に変わる。

「可愛い、食べちゃいたいね」

耳許で囁けば、意地悪!という悲鳴が響き渡った。

* * *

【ミツキくん×リフェール】
会いたい、なんて言いながら駆け付けてきた可愛い恋人の頭をよしよしと撫でる。可愛いというと少しだけ不貞腐れるけど、僕から見たら年下で可愛いんだもん。

「リフル、可愛いより格好いいって言って」
「えー、だってミツキは可愛いんだもん。お兄さん可愛いミツキが大好きだからなー」

そう言うとぺちんとおでこを叩かれる。なにすんだよーと視線だけで不満を訴えると、少し膨らんだミツキのほっぺたが目に飛び込む。

「うん、やっぱりミツキは可愛いね」

もう一回言ってみると、やっぱりもう一回ぺちんと叩かれた。

* * *

【泉さん×ミンク】
絵本を開いて朗読すると、泉くんがこっちを振り向いた。煩かったかなと反省して小さな声で朗読すると、今度は泉くんがこっちへと歩いてきた。なんだろうと首を傾げたら、今度は困ったように眉根を寄せている。

「泉くん、どうしたのぉ?」
「……字が違う、なんというか全体的に」

どういう意味だろうと考えたら、すぐに答えが出た。わたしはずっと、間違った読み方で絵本を読んでいたみたい。てへへと小さく笑うと、泉くんがわたしの隣に座って絵本を指差していた。

「読んでやる、どれが読めないんだ?」

ぶっきらぼうで優しい店長さんの申し出に、わたしは嬉しくてもう一回笑った。

* * *

【ガデュー×ジャスミンさん】
それ、と指差された先を探した。どうやら俺の喉元のようで、視線を下ろせばあるのはお気に入りのチョーカー。安物だがデザインが好ましく、ずっと身に付けているものだ。

「これがどうした?」
「とても素敵ですね、と思いまして」

お嬢様が何を言うか、そう思った感想を飲み込んでどうもと返す。内心喜んだのは秘密だ。スミンが俺の趣味を肯定してくれていると、柄にもなく思ってしまったから。そんな感情を隠すよう、ひとつ咳払いをして目を見つめる。

「で、今日は何の用だ?」

今日も進展しない。この身分違いの恋慕を見て見ぬふりするのは、もう俺にとって日常だから。

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【イナさん×クルック】
組み敷いたイナが驚きの表情のまま固まっているのは、見ていて非常に愉しい。何度同じことをしても、毎回のようにぱちくりと目を瞬かせ、逡巡した後ににやりと笑うその表情も、非常にそそる。

「さて、イナ。今日はどんなプレイがお好みかな」

口の端を持ち上げて妖艶に笑って見せれば、イナの目がぎらりと光る。そう、その顔だ。私はこの顔が狂いそうなくらいに好きなのだ。

「クルックが可愛く鳴いてくれるなら、なんでも」
「おや、では主導権は私かな」

喰われ喰い合い、欲に濡れる私たちは酷くお似合いだ。誰もそれを否定しない。そして私も、そんなイナが狂いそうなくらいに好きなのだ。

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【シナモン×イクスちゃん】
なんで僕を選んだの。って興味本位で聞いたら、シナモンちゃんだからというなんともまあ、男気溢れる返答が返ってきたわけで。僕の彼女はいつでも僕を信じてくれてて、なんというか、滅茶苦茶可愛い。ナンパはやめる気ないのに笑って許してくれて、この子は天使か何かなのかな。ああ、吸血鬼だった。

「イクスは本当に変わり者だね」
「シナモンちゃんもだよ、変わり者同士だね」

さらりとそうやって返す君が素敵。優しくて可愛い吸血鬼ちゃん。きっと僕は彼女以上の女の子には会えないんだろうなって、いつも思うんだ。

「僕を選んだことは後悔させないけどね」

ウインクと一緒に、君に愛の告白をプレゼントするよ。

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【九浦くん×薫】
何もかもを思い出して、泣きながら最期の気持ちと最初の気持ちを伝えて、私は晴れて九浦さんの彼女という立場になりました。とても恥ずかしくて、でも嬉しくて、真っ赤になっては九浦さんに心配される日々。何の気なしに名前を呼んでは、幸せに浸る素晴らしい日々。

「九浦さん、九浦さんは幸せですか?」
「ん?……薫ちゃんは?」

質問に質問で返され、一瞬返答に困ってしまいました。だって、私が聞きたかったんです。でもきっと、私が答えないと九浦さんも答えてくれないんじゃないかななんて思って、くすりと笑ってしまうのです。

「幸せすぎて、泣いてしまいそうです」

だって、あなたの隣にいられるのですから。

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【キリィ×アルピナさん】
仕事終わりに気分が高揚してるのは、多分きっと、愛しいお嫁さんが家で待っていてくれるから。今にもスキップしてしまいそうな足を地面につけ、僕は浮かれたままに花屋で花束を買う。真っ赤な薔薇の花束だ。

「アルピナさん、ただいまですよぉ」
「キリィくん、おかえりなさい」

たった一言、これだけでじーんと心が温かくなっていく。言葉って凄い。いや、愛情って凄い。ぱたぱたと小走りに迎えてくれる可愛いお嫁さんを抱き締めようとして、帰りに買った花束を思い出し、さっと目の前に掲げる。

「いつもありがとうございます、大好きですよぉ」

真っ赤な薔薇の花束を、愛しい貴女に。

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【アルタルフ×ヒイラギさん】
今思い返すと、多分一目惚れだったんだと思う。凛々しくて、美しいその姿に恋に落ちて、内面を知れば知るだけヒイラギ様に惹かれていった。身分違いだって馬鹿にされても気にならないくらい、当時の僕は無意識に本気だったんだ。

「あら、アル。お勉強?」
「はい。ヒイラギ様、見合う男、なる、勉強です」

力強く頷けば、ヒイラギ様の優しい微笑みが見れた。普段はきりりとしている表情が優しくて温かな色になるのが、僕は好きだ。でもやっぱりいつものヒイラギ様も好きで、僕はヒイラギ様がまるごと全部大好きなんだなって、改めて思った。

「僕、ヒイラギ……愛してます」

だから、もっとあなたに近付きたいんです。

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【シャウラ×ラトゥムさん】
食べたいと牙を立てれば、さらりと躱される。好きだと愛を吐けば、鼻で笑われる。じゃあどうすりゃいいんだよ!と怒鳴ったら考えなさいと馬鹿にされた。

「俺のこと愛せよ」
「命令形なんて嫌よ」

脳味噌がぐちゃぐちゃになりそうな程の愛情なんて、今まで出会ったことがなかった。だから、悔しいけどこればっかりはどうしようもないんだよ、察せよ馬鹿野郎。

「いい加減、俺のもんになれよラトゥム」

そう言ったってお断りだと言われるのは、目に見えていたけどな。




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