Lucky 7 *凛兎さん宅泉さん(ヨルノズク♂)お借りしました お仕事をしているその人の姿を見るのが好きだと、ミンクはぼんやりと頭の隅で思考を巡らせる。 開きっぱなしの絵本に書かれた文字を指で追いながら、ちらりちらりその姿を盗み見ると、彼もまた難しそうな顔をして本を読んでいた。仕事は、と訊ねたら本を読むのも仕事だと一刀両断されたのは記憶に新しい。 本屋独特の紙とインクの匂いを感じながら、絵本を読む。ミンクにとっては楽しい時間だが、彼にとってはどうだろうか。ほぼ毎日やってくる少女に辟易していないだろうか。無意識に音読しては突っ込みを入れられて、いい人だからとしつこく構いに行く自分は嫌がられていないだろうか。ふと浮かんだ疑問を弾き出すようにぶるぶると頭を振り、絵本を持って彼の傍へと歩いていく。 「泉くん、ここの字が読めないんだよぉ」 足音で顔を上げた彼の前に絵本を差し出す。児童向けの絵本に難しい字など滅多にないが、ミンクは読めずに四苦八苦している。そんな時に字を教えてもらってから、毎度のように彼に読み方を教わるのだ。 「……これ、前にも教えなかったか?」 「あれぇ、そうだっけ?」 首を傾げると苦笑の音。同時にぽんぽんと軽く頭を撫でられて、思わず目を丸くする。 「ほら、こっち来い」 カウンター越しに隣を指差されて首を傾げた。 彼の隣に座れということだろうか。どうしていいのか分からず首を傾げたままにきょろきょろとすれば、苦笑はからりと乾いた忍び笑いに変わっていた。 「隣以外ないだろ。一回一回持ってくるのは面倒だ、隣で質問すればいい」 「ええっ!」 「……嫌か?」 申し出に驚き、素っ頓狂な声を上げると少し納得のいかないような声色が響く。ぶんぶんと首を振りカウンターに絵本を置くと、ミンクは元座っていた席から荷物を取り上げる。足早にカウンターへ戻り、板を上げて中へ入ると彼の隣へ腰かけにへらと笑った。 「なんだかねぇ、泉くんのお隣って安心するんだぁ」 ふと呟いた言葉に、彼の顔が赤くなったのミンクは知らなかった。 |