Lucky 7 *花梨さん宅イナさん(グラエナ♂)お借りしました 前髪が綺麗さっぱりないことに、驚いたものだ。 一緒に島を出て、仕事の合間に世界を旅すると言い始めてから少しして、彼は唐突に前髪を撫でつけていた。理由はあるのだろうが、クルックは敢えて訊ねなかった。別に、どんな姿になろうと彼は彼なのだから。 程なくして彼女も新たな服を設えた。長い髪は束ねて、襷のようにかけていたストールも巻き方を変えて。理由なんてない。ただ、イメージチェンジだ。この島から出るのならば、今までの『クルック』を置いて行ってしまおうという、些細な反抗心。 「悪くないだろう?」 「ああ、……露出増えてないか?」 「いいや、減ったと思うのだが……ふむ、腹回りは冷えるな」 元々体温が高くないから気にはならないが、指摘されるとどうも冷える気はする。そんな風にさらりと言いのけてイナの隣へ腰掛けると、少し癖のある彼の髪をさらりと撫でた。潮と、風の香り。郷愁を漂わせるそれは、ほんの僅かにあの島の出来事を思い出させてくれるようだった。 「イナ、お前は幸せか?」 瞼をおろせば、喧騒が響く。楽しかった思い出は、色褪せることない。 答えを待っているわけではなく、ただ訊ねたかっただけ。それを察した優しい彼は、クルックの頭を抱き寄せてぽんぽんとあやし始める。不器用なそれが、酷く心を落ち着かせる。ああ、きっとこの命は彼と歩む為に永らえたのだと、空想してしまう程に。 「髪型、素敵だよ。前もよかったが、顔がよく見えて私は気に入っている」 一陣の風が吹く中、囁いた睦言に似たそれ。恥ずかしそうに笑う声は、風などには奪わせて堪るものかと彼の唇を奪い去って笑った。 |