Lucky 7



*各方面お子様借りております。



【リゼットさん×ネモフィラ】
休みを合わせて街を散策。久し振りのデートに身嗜みを整え、軽快に繰り出す。道中で出会う知り合いに手を振り、鼻歌交じりに店を冷かして。覗いた店で見つけたリボンを手に取ってどっちにしようか、なんて訊ねると年頃の娘になった気分でネモフィラが思わずひひっと小さく笑った。

「やばい、楽しい」
「ネモ、今日すごくいい顔してるもんな」

でしょ、なんて頷いてリボンを購入。リゼットの手首にくるくると巻き付けて結ぶと彼は首を傾げる。それと同じタイミングで自身の腕にもリボンを結び、にっこりと笑う。

「お揃い。どう?」

巻いたお揃いの赤いリボンを指差して。悪くないという返答を貰ってもう一度満足そうに笑った。

* * *

【雨藍さん×ゼラニウム】
ん、と手を差し出す。はて、と自身の口元へ手を寄せる雨藍の様子にもう一度手を差し出した。

「手。……繋ぐぞ!」

髪や衣装と変わらないくらい顔を真っ赤にして言うものだから、雨藍はおやおやと笑う。そんな様子に焦れたのかゼラニウムが雨藍の手首を掴んで手を握りしめる。その手のひらは熱く、緊張でほんのりと汗ばんでいた。

「ゼラ君、もしかして照れているのかい?」
「てっ、照れてない!…………ごめん、嘘ついた」
「おや」

握った手に力が籠る。口元を覆う布が彼の声を遮りながら、小さな呟きが空気を揺らして音にした。

「……雨藍に触ったら、柄にもなくドキドキしたんだよ」

* * *

【メテオールさん×オランジュ】
此方です、とメテオールの手を引いてオランジュが先を歩く。何処へ行くのか、そう訊ねても彼女は着いてからのお楽しみですの一点張りだった。珍しいこともあるものだと普段は通らない城の裏手を歩き、小川を飛び越えた先でオランジュが振り返る。

「わたしの秘密の場所です」

両手をいっぱいに広げて微笑みを浮かべる彼女の背には一面の花畑。色とりどりの花が大地を埋め尽くし、優しくて甘い香りを漂わせている。

「メテオールさんがお花を好きだと仰ってくださったので……わたしのお気に入りの場所を、お教えしたかったのです」

花畑の中でくるくると回り、メテオールの手を引く。普段の大人しさとは裏腹に、今日の彼女は随分と積極的だった。

「今日はどうしたんだ?」
「ふふっ、日頃の感謝を込めて。……なんて大袈裟ですけれど、秘密を共有したかったのです」

花畑の中央で寝転んで。そのままひそひそと話し込めば、ふたりの声を聴いているのは空へと旅立つ花弁だけだった。

* * *

【直くん×ローズ】
既製品のお菓子を食べよう、と企画したのは数日前。ふたりで有名店の情報を吟味して首を傾げ、ああでもないこうでもないと思案を巡らせる。

「やっぱりここは外せないかな」
「ローズちゃんのおすすめ?」
「うん。甘さが少し控えめで、最近流行りなの」

じゃあそこも行こう、と直が頷く。ローズがくるりとペンを回して情報雑誌に丸印をつける。

「……でも、やっぱり直ちゃんにはあたしのお菓子食べてほしいなあ」

ぽつりと呟いて数秒。沈黙ののち、ローズの悲鳴が響き渡ったことは言うまでもなかった。

* * *

【ミツキくん×リフェール】
デートしよう、と急に思い立って忙しそうなミツキを捕獲した。突拍子もない展開に目を瞬かせている彼を引きずるように引っ張って走り、えへへとリフェールがだらしなく笑う。

「ミツキとデートしたいので!お兄さんとデートしてくださーい!」
「いや、急すぎ……」

冷静に突っ込むミツキを他所にリフェールは片手の指を折りながら嬉しそうに続ける。

「おいしいご飯でしょ?遊園地も外せないよね!あとはお兄さんの男らしさを前面に……」
「リフル」
「ん?」

ちゅっと可愛い音がする。ぽかん、と間抜けな顔がぱちくりと目を瞬かせる番だった。

「ほ、ほ、ほ、惚れてまうやろーーーッ!!!」

男前では勝てなかった。リフェールが敗北した瞬間である。

* * *

【泉さん×ミンク】
休憩時間の看板を持つ店主の姿を発見してとててと近付いた。背後で看板を置いたタイミングを見計らうと首を傾げ、彼の服の裾を引く。振り向いた店主――泉の顔を見るとミンクはにへらと笑って、カフェーに行こうと誘った。

「期間限定のねぇ、美味しいパフェがあるんだってぇ」
「店内で昼にする予定なんだが……」
「泉くんと行きたいんだよぅ」

いこういこう、と駄々っ子のように言い続けると大人である彼が折れた。仕方ないな、といえばミンクは大袈裟なほどに喜ぶ。やれやれと肩を竦める様子に気付いてはいないようだ。

「わたしねぇ、泉くんと一緒にいると楽しいんだぁ」

満面の笑みで告げる少女が恋を自覚するまで、もう少し。

* * *

【イナさん×クルック】
旅先で見つけたオアシスで一度休憩を取ろうと双方が頷き、木陰に隠れて大きく溜息を吐く。じりじりと灼けつくような日差しはなかなかに強烈で、思った以上に体力を消耗してしまう。クルックは息を吸い込むとそのまま隣にいたイナの肩に頭を預けて目を閉じる。

「イナ、緊急事態だ」
「どうした?メシ落としたとかか?」
「……絶好の悪戯チャンスなのに、何も思いつかん」

目を開けて至極真面目な表情で言うものだから、イナの首ががくりと前に折れる。今じゃねえだろ、と小さな声でツッコミを入れるものの彼女はどこ吹く風でどうすべきかと顎に指を当てて考え込む始末だ。

「おーい、クルックー。帰ってこーい」
「……こうなったら宿ではきちんと悪戯を敢行するか」

なかなか噛み合わない会話も慣れたもの。互いに会話が成立していないことに気付くと、ふふっと小さく笑ってしまった。

* * *

【九浦くん×薫】
学校の帰り道で偶然にも彼を見かけてぱっと曲がり道に隠れてしまう。髪の毛は相変わらず跳ねているうえに、学校帰りで普段と違って教科書やらなにやらで溢れかえっている。

(ううっ、ど、どうしましょう……九浦さんにぼさぼさ頭で会うなんてあわわ……)

きょろきょろと周囲を探ってみても残念なことに解決策は見つからない。読み耽っている本の中にもこんな場合の知識は載っていない。どうしようどうしようと時間だけが過ぎ去って、近くでくすくすと潜めた笑い声が聞こえた。

「ごめん、薫ちゃん。さっきから凄く見える」
「ひ、ひえええ!?」

いつの間にかすぐ傍にいた彼に頭を撫でられて、恥ずかしさと嬉しさとでもうパニック状態。それなのに、なんだかとても心が温かかった。




Lucky 7