Lucky 7



*霧月いびるさん宅みずきちゃん(シャワーズ♀)お借りしました。



ぱしゃり、水が弾ける音を聞いて本から顔を上げる。雨上がりの庭に駈けていった可愛らしい奥さんの様子に、思わず頬が緩む。いつ見ても僕のお嫁さんは可愛い。ヴィオレがにやにやと破顔していると、視線に気付いたみずきが楽しそうに手を振った。

「ヴィーさんもおいでよー!」
「ああ、うん。今行くよ」

本をテーブルに置いて、ズボンを捲り上げて素足で庭へ。彼女に倣っての行動が染みついて、今では裸足で庭を歩くこの時間が開放的で心地よい。
少し濡れた草を肌で感じる。ほんの僅かばかりの擽ったさと甘酸っぱさ。みずきと結婚しなければこんな気持ちのいいことは一生知らなかったかもしれない。
水溜まりは数か所に出来ていて、器用にぴょんぴょんと跳ねていく彼女の後ろ姿を眺める。長い髪が風に揺れて舞う様子はどんな絵画よりも美しく、儚く見える。

「みずき、」

咄嗟に手を伸ばした。そのまま引き寄せて、小さな身体を腕の中に閉じ込める。わ、という小さな声を鼓膜に残して、ヴィオレはみずきの髪に顔を埋めた。

「ヴィーさん?」
「……みずきが、何処かに行っちゃう気がしたんだ」

そんなのはただの幻影だけれど。分かっていても一瞬の幻視が怖くて、手の届く場所に閉じ込めたくなってしまった。
離れないで、何処かに行かないで。いつものヴィオレでは想像出来ない怯えた声。何かを言おうと唇を開いたみずきの身体を強引に反転させて、唇を奪い取る。突然の行動にみずきの目はぱちくりと瞬くが、奪われた唇に触れる熱は酷く優しかった。

「……なん、て。おどろいた?」

唇を離して笑うその表情は、少し引き攣っていた。
何処にも行かないで、その言葉の通りに願う自身の声を掻き消すようにヴィオレはみずきへ優しく口付ける。

「愛してるよ、僕の世界で一番大切なお嫁さん」




Lucky 7