Lucky 7



*エミールがいないのは気にしてはいけない



柔らかな甘い匂いに思わず匂いの元を探した。何処だろう、キョロキョロと周囲を見渡せば、どうやらラウンジのようだ。誘われるように中へ入るとあったのはカウンターに山積みにされた菓子の山、山。

「なにこれー!」

思わず大声が上がる。そんな声にいち早く反応したのは、極東支部第四部隊隊長のハルオミである。ムツミと談笑していたようだが話を切り上げ、くるりと振り向いた。

「おっ、オリエは知らない?極東名物、鯛焼きってんだ。」
「たいやき?」

ほれ、と渡された鯛焼きを受け取ってじっと見つめる。甘そうな匂い、ほかほかと温かな生地。今すぐかぶりつきたいがぐっと堪えた。律儀にハルオミが鯛焼きの説明を始めたからだ。
小麦粉で作られた鯛型の生地に餡を挟んで焼いたお菓子。聞いただけで口の中に次々と唾液が溢れてくる。

「あともうひとつ。」

急にもうひとつ手渡された。大食いだからとサービスしてくれたのかと思ったがどうやら違ったようだ。

「もうすぐエミール帰ってくるだろうからさ、ふたりで極東名物に舌鼓打ってこい、な?」
「えー、これあたしの分じゃないのー?」
「ひとつで我慢しろって。」

けらけらと楽しそうに笑うハルオミに背を押され、オリエは少し笑いながらラウンジを後にするのだった。





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