Lucky 7 *弱暗め 小さな箱に、小さな身体が詰まる。息はしている。ただ、いつ目覚めるかは誰にも分からない。戯れにその名前を呼んでも、応えはない。何度呼んでも、触れることも、笑い合うことも、出来ない。 無力だと痛感した。いつでも彼女に守られていた。守っているつもりで、背中を預けたつもりで。ひとり突っ走る小さな背中を、見ているだけだったなんて。 「オリエ君。」 面会謝絶と吊るされたプレート。延命措置の為に繋がれた夥しい数のチューブ。彼女を守る為に囲われた、真っ白な箱。定期的に鳴り続ける電子音が辛うじて彼女の生を伝えている。 ぴ、ぴ。弱々しい音は、彼女の命の音。いつもなら元気に走り回ってるのに。こんな音でしか、彼女を感じ取ることが出来ない。 「エミール、そろそろ行くぞ……」 極力抑えたコウタの声は少しだけ震えていて。後ろでエリナがぎゅっとベレー帽を握り締める。ブラッドは任務が立て続き、交代で見舞いに来ていた。 入り口にはフルーツの盛り合わせがある。ハルオミが見舞いの品だと言って置いていったものだ。目覚めたら腹減ったって言うだろ、なんて茶化しながら。 ぴ、ぴ。まだ、生きている。ぴ、ぴ。まだ、終わってなどいない。しぶとい彼女だ、きっと大丈夫。エミールは最後にもう一度だけ血の気の失せた少女の顔を見つめ、静かに病室を後にした。 |