Lucky 7 *Twitterで修行していました それ以上は許さない 神機が吹き飛ばされる音を聴いて思わず振り向く。見えたのは中型アラガミに追われるエミールの姿。やれやれまったく。群れていた小型を追い払い、あたしはショートブレードを構え直す。途中でチームは分断された。援軍は望めない。貸しひとつ。あとで紅茶を集ろう。 「それ以上は許さないよーっと!」 * * * 彼女が極東支部に来てから数日。随分仲間と打ち解けたようでほっと一息吐く。彼方に居候していた頃は自由すぎる彼女に散々振り回されていたが、どうやら今のところ問題はないようだ。 (はて?) 紅茶を啜り、ふと疑問が過る。何故彼女を気に掛けるのか。まあきっと騎士として見捨てられないからだろう。 * * * 幸せにするよ アラガミ討伐も終わり、帰投準備を待つ時間。同行するコウタ隊長とロミオはどこぞへ走って行ってしまったので、今現在ブラッド副隊長・オリエ君と二人きり。先の戦いで酷く疲弊しているのが見てとれた。 「君には幸せになってほしい…いや、寧ろこの僕がッ!幸せにしてあげ「結構」…」 一刀両断だった。 * * * 神様なんていない 馬鹿だね、と彼女は呟く。そんな傷だらけになってさ、と彼女は涙する。そんなんじゃいつかいなくなっちゃう、と彼女は泣き喚いた。その姿は年相応の幼い子供。 「君を守れるならば本望さ」 強がりでも何でもないただの感想にエミール、と呼び掛けが聴こえた。 「守ってくれる神様なんていないんだよ」 * * * 宛名のない手紙 するすると綴る文字達は、言葉を失ったようだ。上手く書けない。どうやって伝えればいいんだろう。筆の止まった手紙はぐしゃぐしゃに丸められて、辺り構わず投げ捨てられる。いつも好き勝手しているのに怒られたことがない。その感謝を綴ろうと思ったのに。 「やーめた!」 宛名のない手紙は、届かない。 * * * 声を聞かせて 傷だらけで戻ってきた少女は、何でもない、平気だと笑いながら気絶した。どうしてそう笑えるのか。医務室に横たわるオリエ君の手を握り、目覚めてくれと何度も願う。騎士にあるまじき狼狽だが、考える余裕すら失っていた。 「オリエ君、頼む…声を聞かせてくれ」 知らず漏れた声は弱々しく部屋に響いた。 * * * 君が微笑む ウザいし、馬鹿だし、暑苦しいし。言い出したらキリがないけど、気付いたら好きだった。好きだなんて言わないけど。言ったらきみは調子に乗るから。エミール、本当は名前だってちゃんと覚えてるよ。その暑苦しいまでに愚直な騎士道が好きなんだ。ねえ、エミール。そんな風に呼べば、きみは微笑むから。 * * * 愛情表現 勢いよく助走を付け、そのまま床を踏み切る。高く飛び、そして目当ての背へと飛び乗った。 「ルミール!遊べー!」 「おっ、わっ、オリエ君!今ポラーシュターンの整備中なので後に…」 「遊ばないと食べちゃうぞー!」 彼の言葉も何のその。キャッキャとはしゃぐオリエにとって、ただの愛情表現なのだ。 華奢なカップに口を付ける少女を見つめ、ふうと溜息を吐く。子供っぽさが抜けきらない、否、現時点で子供なのだが。そんな彼女に振る舞う紅茶にはどうも熱が篭る。大型アラガミから救ってもらった恩義、それを振りかざして誘う茶会。そんな日々がいつもを少しばかり潤わせる。ああ、此処まで想うとは。 * * * こっち見てよ 凄い下らないことだって分かってる。別に羨ましくなんてない。ただ、ちょっとだけエリナに憧れたりする。エミールの傍にずっといるんだもん、いいなーって。ただそれだけ。 「ルミール、こっち見てよ」 そう言いかけた言葉を飲み込んで、あたしは今日もエミールの背中にひょいと飛び乗るんだ。 * * * 隠しきれない 肌はあまり白くない。日に焼けやすい自分の体質故だろう。女の子らしいかと聞かれれば否。 「オリエ君は女の子らしいではないか」 「えー、どこがさー」 「そう悩む所が、僕には可憐な少女に映える…そう、まるで北極星の様にッ!」 どうしてそうやって言えるのか。この赤い頬を隠しきれないじゃないか。 * * * ねえ、ダーリン 「ねえ、だーりん」 「ぶっふぉぉ!!!」 「うっわ、ルミール汚いー」 優雅に紅茶を飲んでいたエミールが吹き出すのも無理はない。明らかに犯罪臭のする呼び方をする、目の前の少女は成年すら迎えていないのだ。オリエは楽しそうに雑誌を読んでいる。ああ、この奇行の原因はこのティーン雑誌なのだろう。 |