Lucky 7



*Twitterで修行してましたその2



あの日から一番遠い僕ら

小さな頬に手を伸ばせば、幼い少女の体が僅かに震える。怯えているのかもしれない。ならば騎士として優しく接してあげなければ。優しく包み込むように抱きしめ、静かに撫でる。たったそれだけで、少女の涙を守る防壁は崩れてしまったようだ。誰かを犠牲にしない、そんな日から一番遠い日に涙は溢れた。

* * *

ハッピーエンドの来ない悲恋こそ美しい

「ばか…」
雨に打たれて冷たくなった青年の骸を抱き締めて、オリエは小さく呟いた。あのくらい避けられる、ブラッドの隊長舐めるなよ。悪態を吐いても、目は開かない。
「ねえ、起きてよ」
またあの馬鹿馬鹿しい騎士道精神を説いて。あたしに殴られてよ。何度名前を呼んでも、彼の声は返ってこなかった。

* * *

素直じゃないとこも可愛くてよろしい

「ルミール、」
何度言っても間違いを正そうとしない少女にエミールは仰々しく振り向いた。何だいと口に出す前に露骨に嫌そうな顔。呼んだのはそっちだろうに。だが騎士はそんな事で腹を立てない。況してや相手は年下の少女、優しくするのが基本だ。まあ、素直でない彼女も可愛いと思ってしまうのだが。

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もしも魔法が使えたならば

「あたしは神様じゃないからさ」
そう呟いて閉じられた児童書は魔法使いが魔法で世界を幸せにする話だ。オリエには思うところがあるのか、エミールに向き直って考える素振りを見せた。
「魔法なんて使えないし、使いたくもないかなー」
「ではその魔法は僕が君に使うとしよう」
君を、幸せにする為に。

* * *

長く一緒にいた影響

短い悲鳴と共にオリエは溜息を吐いた。いや、有り得ないでしょ。先程ギルに言われた言葉を思い出す。
「隊長、エミールに似てきたよな」
思わずギルの尻に蹴りを入れて宛がわれた部屋に逃げ、ベッドに潜り込んだ。それ程までに一緒にいたのだろうか。長くないはずなのに、彼の影響力とは恐ろしいものだ。

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ひねくれた告白

「きっと後悔するよ」
薔薇を受け取りながらオリエは言う。何を今更、エミールは笑いながら再度問い掛けた。
「僕のライバルよ、生涯の相棒として…このポラーシュターンに誓って」
これだけ言っても捻くれた発言なのが彼女らしい。
「まあ暇だし…構わないかなー」
耳まで真っ赤にしながら、彼女は呟いた。

* * *

声を張り上げる

華麗に吹っ飛ばされたエミール。くるくると美しい弧を描いて宙を舞うその様は、いつぞやか僕を殴ってくれ!と懇願していたときのリプレイのようだ。まあいい、回復ははエリナにまかせよう。だがオリエはどうしても言いたいことがあった。喉まで出たそれを、思い切り吐き出す。
「ばっかじゃないの!?」

* * *

永遠を現実にしてしまう人

明るく光る北極星。あんなに綺麗な輝きで作る宝石はきっと何よりも美しいのだろう。彼に教わった神機の名の元へ、手を翳せば、強くなれる気がした。
「エミールって、意外と凄いね」
囁くように呟いて静かに瞼を下ろした。もう疲れたから。そう言いながら笑う。そんな彼女の肩を抱いて彼は静かに涙した。

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だいたいあいつのせい

ぎゃーっと極東支部に悲鳴が響く。エミールが何事かとラウンジに入ると、料理番のムツミが青い顔で立っていた。話を聞けば、つまみ食い禁止の札を立てていたにも関わらず食料が空になっていたとの事。ああ、とエミールは苦笑を浮かべた。まあ十中八九間違いないだろう。
「恐らく、オリエ君の仕業だよ」

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惚れ直した?

敵の遠隔攻撃に手痛い一撃を喰らい、エミールは横殴りに吹き飛ばされる。これはまずい。体勢を立て直し、馬鹿正直に突っ込めば、巨体で直接攻撃される。万事休す。そんな時だった。彼の肩を蹴り高く跳躍する小さな影。勢い良く相手を叩き潰して、にんまりと笑いながら振り返る。
「ねえ、惚れ直した?」





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