Lucky 7 *Twitterで修行してましたその5 入れ替わり(エリナ視点) 何してるの、と訊くのも馬鹿馬鹿しい。バカじゃないのこのふたり。エリナは眼前で繰り広げられた茶会に溜息を吐く。エミールの茶器を使うオリエ、オリエの茶器へ紅茶を注ぐエミール。「カップ間違えてさー」と呑気に話す子がブラッドの副隊長だなんて。入れ替わりのカップから甘い香りが溢れていた。 * * * 泣いているの?と声が聞こえた。泣いてなど、そう答えようとしたが声は出なかった。弱虫だね、随分手厳しい言葉を浴びせられ。気付けば、小さな背中が自身の背に触れた。 「大丈夫、ルミールはあたしが守ってあげる」 だって弱いんだもん、と辛辣なそれを受け。もう何を思い悩んだか、思い出せなかった。 * * * 誰だこいつを甘やかしたのは(コウタ視点) 日に日にふくよかになる少女の頬を、思い切りつねってみた。ひぎゃ、と間抜けな声が返ってくる。うん、柔らかい。 「あのさ、」 「へい」 「間食止めないと太り続けると思うよ」 「べーっだ!」 頭が痛い。誰だこんなに菓子を与えてるのは。いや、見当はついてるけど。コウタは大きく溜め息を吐くのだった。 * * * ずるいのはどっちだ 跳ね回る姿を見慣れたのはいつ頃だったか。まるでアーカイブで閲覧したことのある兎か、栗鼠のようだ。そんな彼女はいつでも言う、ルミールはずるい、と。何がずるいのだろう。訊けば少女は語る、あたしも大きな武器で戦いたいと。突拍子もない発言に面食らう。此方からしたら、ずるいのは君も一緒だ。 * * * 例外的に 腕の一本奪われても、と彼女は笑って語る。 「冗談はやめたまえ、本当にそうなるかもしれない」 「ん、ルミールを守る為なら安い犠牲でしょ?」 何を言うか、この娘は。出来れば空耳であってくれと願う。だがそれも叶わず。 「ルミールは例外的措置!」 屈託なく笑うそんな君が、悪魔に盗られたと錯覚した。 * * * いつから当たり前になったの 隣にきみがいた。示し合わせた訳じゃない、いつものように気紛れで。戦場に赴けば、背を預ける善き理解者として。気付いた時には当たり前になってた。ブラッドのあたしと、極東第一のきみ。ねえ、と声を掛けてみた。何だい、と声が返る。それが少しだけむず痒くて。何でもない、そう誤魔化して笑った。 * * * 言わなくても分かるから 明るい空に大きく手を伸ばしてみた。フライアの庭園は今日も静かである。花畑の真ん中に鎮座した墓石の前に座って、ころんと転がって。 「ロミオ、あたし頑張ったよ」 見てた?なんて呟いて。後ろに人の気配。誰かなんて、言わなくても分かってる。 「ルミール、あたし頑張ったよ」 もう一度だけ、呟いた。 * * * つくづく敵わない まったくこいつは。毎度の様に小型アラガミに吹っ飛ばされて腰を強打し悶絶しているエミールを見てオリエは嘆息する。騎士道精神はごもっともだが、こうしょっちゅう吹き飛ばされているようでは気が気でない。 (…あれ?) そこで気付く。いつでも彼を意識している事を。ああ、つくづくきみに敵わない。 神機の調整を兼ねて訓練室へ足を運ぶ。時刻は夜、もうすぐ施錠の時間だ。 (む?) 激しい訓練の音。覗き見は騎士道に反するがそっと扉を開いて中を見る。そこにあるのは、汗だくのオリエの姿。朝から姿を見ないと思えばずっと訓練をしていたのだろう。 「流石僕のライバルだ」 まだ君には敵わないけれど。 * * * 覚めたくない夢 「夢を見たんだ」 幸せでアラガミなんかに怯えなくていい、そんな夢。一生この夢から覚めたくなくて。 「でもね、ルミールの顔、思い出したんだ」 こんなくそったれな世界を必死で変えようと足掻く、そんな横顔を。誰よりも世界を愛する、きみの顔を。 「だから、こんな夢はもう終わっていいと思ったんだ」 * * * 何回言ったら信じてくれますか 好きだって、何回きみに言ったかな。その度きみは笑って頭を撫でる。ねえルミール。きっときみは勘違いしてるよ。冗談なんかじゃこんなこと言わないよ。ねえルミール。 「あたし、ルミールのことが好き」 何回言えば、きみは信じてくれるの。何回言えば、あたしの気持ちは届いてくれるの。分からないよ。 |