Lucky 7 背中合わせになった時、意外と彼女は小さいのだとエミールは気付く。そのまますぐ地を蹴ってアラガミの群れへ突っ込んでいってしまったから、ちゃんとした雰囲気は掴めなかったが。小型アラガミをショートブレードで吹き飛ばすオリエを振り返り、加勢するか否か迷うが、あの群れは彼女ひとりで充分だろう。相棒であるポラーシュターンを握り直して不敵に笑った。 「闇の眷属よ、正義の前にひれ伏せッ!」 目の前の大型アラガミへ向けて神機を振りかざした瞬間、真横から小型アラガミが突撃してくるなどエミールに想像出来ただろうか。横からの突進は大したことではなかったものの、ぐえっと大袈裟なまでの悲鳴と共に、エミールの身体はくるくると宙を舞ってぺしゃりと土に叩きつけられた。 * * * 「バっっっっっっカじゃないの!?」 幸いにも同行していたギルとエリナのお陰で大型アラガミは駆逐された。 しかし吹っ飛ばされてそのまま気絶していたエミールを発見するのに少しばかり時間が掛かり、先程回収されたのである。オペレーターに連絡して帰投までの時間を伸ばしてもらい、オリエはエミールの介抱をしていた。 「ったた、オリエ君……もう少し優しく、」 「あんな小型に吹っ飛ばされる人には優しくしませんよーだっ!」 ぺしり、オリエはエミールの傷口に消毒液を叩きつけながら舌を出した。 その時ふと、先の戦いでの記憶がエミールの中に甦る。随分と小さな身体だ。そんな少女が、あんなにも大きな敵へ果敢に挑む。騎士として、仲間として、頼もしくもあり、とても儚い。傷は痛むが、なんとなしにオリエの手を取る。 「ルミール?」 「……君の手は、小さいな。」 「成長期はこれから来ますー!」 そういう意味ではない。この手で彼女は、何を守り続けるのだろう。さわさわと揺れる風を背に、手のひらを合わせてみた。エミールよりも遥かに小さく、傷だらけの手のひら。このくらいの年頃ならこんなにも重い武器を背負って立つなどないだろうに。 「エリナといい、君といい……僕も負けていられないな。」 そう呟けば、オリエはしししっと笑った。意味は伝わらなかったかもしれない。だが、今はそれでいい。遠くの方で帰投準備が整ったことを知らせる仲間たちの声が、響いた。 |