Lucky 7



非常に変わった男性だった。クロム様が婚約をなされて、ルキナ様が生まれた後に出会ったとても不思議な人。
彼はするりとあたしの心の隙間に滑り込んできた。然も、昔から一緒だったかのように。
変わらぬ表情で笑うその顔に、一時は不信感を募らせていたけれど、優しい声色が、暖かな視線が、呪術師であるはずの彼から、ヘンリーから伝わってきた。
失恋の傷を癒すつもりだったのか、一度「クロムがティアモを見て欲しいなら、そういう呪いをクロムに掛けてあげるよ?」と言われた時は全力でお断りした。
だって、そんなことをしたらクロム様も、奥様も、皆が悲しんでしまうでしょう?
ヘンリーには理解出来なかったのか「そっかー」と詰まらなさそうにしていたっけ。でも、そんな一途な素直さが、いつの間にか心の内側に潜り込んでいた。するりと滑り込んで、がっちりと奥に住み着く。居心地の悪さはなかった。

「ねーねーティアモ。ティアモは僕のこと、好き?」
「またそれ?……ふふ、何度だって答えは一緒よ。」
「そっかー、じゃあずっと一緒だねー!」
「ええ、そうね。」

あたしの左の薬指に飾られた銀色の指輪。それを贈ってくれたのはクロム様ではないけれど。
ううん、クロム様じゃなくて良い。
ヘンリーから贈られたから、結婚の話だって頷いた。一生一緒にいようなんて言われたら、嬉しくなってしまうのは当たり前じゃない。だからそっと、あたしはヘンリーの隣に寄り添うのだった。




Lucky 7