Lucky 7



彼の朝は早い。
タグエルである私より早く起き、火を起こし、朝食の下拵えをしていた。全く、今何時だと思っているのかしら。眠い目を擦り、私は川へ足を運んだ。ぱしゃぱしゃと水を浴びれば眠気も何処かへ消えてしまった。四つん這いになりぶるる、と身体を振れば大方の水滴は飛んでいく。

「べ、ベルベットさん!?」
「あらフレデリク、お早う。」
「おおお、お早う御座います!」

顔を真っ赤に染めて在らぬ方向を向く私の夫。何かあったのかしらと首を傾げると、フレデリクはぶんぶんと頭を振り、慌てて陣営地の方へ走っていった。
……ああ、そう言えば今し方水浴びをしたから何も身に纏ってなかったわね。
タグエルは普通の事でも、人間には普通じゃないみたい。全く、少しだけ面倒くさい。
川べりに置いておいた防具を身に纏う途中、フレデリクが顔を真っ赤にして帰ってきた。手には、毛布?

「ベルベットさん!」
「何かし……きゃ!」

ばふん、と間抜けな音がして薄手の毛布が私の身体を包む。それと同時にフレデリクが抱きついてきた。一体全体何がなにやら。

「……わ、私以外の男性がいた場合は、その……貴女の肌を晒さないでください。」
「え、どうして?」
「…………妬いてしまいます。」

消え入りそうな声で呟かれた言葉に思わず此方まで真っ赤になってしまう。全く、なんて独占欲の強い。
でもそれでも悪くない、そう思う私もいた。




Lucky 7