Lucky 7



駆ける、駆ける、風よりも速く、世界よりも早く。飛び込んだ朗報を胸に、一刻も早く彼女に会いたかった。
鼓動が煩い、まるで自分のものではないようだ。
こんな時に限って足というものは自分の思考に追いつこうとはしない。速く、早く。息を切らせ、扉を破る勢いで開く。
眼前に拡がるのは、元気に泣く赤子と、愛しい、妻。

「ルフレ……っ!」
「元気な男の子ですよ、ロンクーさん。」

ふぎゃあ、ふぎゃあ、と泣く我が子にそっと近付いた。ルフレは静かに微笑んでいる。そっと、そっと、壊れ物を扱うかのごとく、赤子の頬を撫でた。
泣いている、温かい、柔らかく、世界でふたつめに出来た、守るべき命の結晶。
途端、ぽつりと雨が降る。ぽたり、ぽたり、愛しい彼女を包む寝具へ、双眸から大粒の涙が零れ落ちていた。

「泣かないでください、こんなに素敵なことが……」
「いや、違う……そうじゃない、」
「ロンクーさん?」
「……嬉しいんだと、思う。」

こんなにも愛しいと思えることが、世界にはあるのだと。全てを悲観し、壁を作り続けた男にとってこれほどまで幸せなことはないのだろう。
女嫌いの彼にとって、この日こそ奇跡なのだ。
マークと名付ける赤子の頬をもう一度だけ撫ぜ、ロンクーは優しく微笑んだ。




Lucky 7