Lucky 7



「ソール!避けて避けて!」
「へ?」

間抜けな声と同時に響く飛竜の雄叫び。風圧に負け、びゅう、と横倒しになる。
ミネルヴァちゃんめ、内心で少し毒づくもミネルヴァの後ろから走ってくる愛しい妻の姿を見止めてすぐに霧散した。ああ、今日も可愛いなあ。

「怪我はなかった?」
「うん、大丈夫。ちょっと転んだだけだよ。」
「見せて。……擦りむいているわ、化膿したら大変。」

そう言うが早いか、セルジュは軽鎧の裏から刺繍を施したハンカチを取り出した。
……あれって。

「セルジュ、それってあの時のハンカチ?」
「あらあら、良く気付いたわね。」

優しく微笑む表情に思わず釣られる。間違いなく、弛んでる。
自覚症状がありそうなほどに笑うと、セルジュは僕の頬に付いた泥をハンカチで拭いてくれた。良妻過ぎてもうどうしようもない、今すぐ抱きしめたい衝動に駆られるも、ふん、という鼻息に全て押し退けられた。
ミネルヴァちゃんめ。本日何度目か分からなくなった可愛い悪態も、目の前の愛しい妻によって優しく掻き消される。

「ソール?」
「ん、なにかな?」
「凄く幸せそうな顔をしているわ、何かいいことがあったの?」
「うん、君に会えた。」

なんて笑えば、セルジュは「褒めるのが上手ね」と殊更に笑ってくれた。
ああ、こんなにも穏やかな日々がもっと、もっと、続きますように。そう願うのは、悪いことじゃないと思うんだ。




Lucky 7