Lucky 7



一度だけ、彼女は泣いたことがあった。
ティアモは強がりだから。そうやってヘンリーは呟いて、誰にもその涙が見えないように覆い隠してあげてただ、ただ、子供をあやすように背を撫ぜた。
前に仲間に聞いたのは天馬騎士の先輩達の死。それを最後にティアモは泣かなくなったという。まるで泣くことが罪だと言うように。

「ティアモは不器用だね。」

いつもの間延びした声は、出なかった。出そうとしたのに。空気を和らげようとしたのに。ただ、彼女は声を殺すように泣き続けた。
あのセレナですら、母の泣き腫らして真っ赤になった目に驚いていた。それくらい、ティアモは泣かなかった。
ねえ、ティアモ。ヘンリーは小さな声で囁いた。彼女にだけ聞こえるように。別段賑やかな場所ではないのに。ここはふたりだけの天幕の中なのに。

「明日、星を一緒に見ない?」

セレナも連れて、家族3人水入らずで。泣き続けるティアモはヘンリーの胸の中で静かに頷いた。
心臓の音と、涙の落ちる音だけが、ふたりきりの天幕に響いた。




Lucky 7