Lucky 7



*クロマリとルキナ親子、ブレディ不在



陽が傾く頃に、マリアベルは決まってクロムの天幕へ訪れる。後ろには嬉しそうなルキナも一緒。時々ブレディが不貞腐れた顔で付いて来る時もあるが、今日はいないようだ。
聖王の色を継ぐ夜空のような蒼い頭がふたつ並ぶ姿を見て、マリアベルは思わず笑った。

「お母様?」
「マリアベル、どうした?」

まったく同時のタイミング、もうここまで来たらもっと笑ってしまう。マリアベルはいいえ、と口元を覆い隠しながら控えめに呟いた。
夫と娘が、まるできょうだいのように見えてしまっておかしい、なんて言うのも馬鹿馬鹿しい。
特別何かがあるわけではないと気付いたふたりは、クロムの机に散らばった書類を片付けてティーセットを乗せる。軍の先陣を切る夫を少しでも癒したいとマリアベルが始めた日課は、以前彼女が息子に吐いた嘘をまことにしてしまったものだ。

「今日はオリヴィエさんが譲ってくださった茶葉ですの、果実の香りをまぶしているそうですわ。」
「わあ、凄くいい香りですね!」
「ああ、確かにこれなら疲れも癒えそうだ。マリアベル、お前にもだが……オリヴィエにも感謝しないといけないな。」
「そうですわね、明日お会いした時にお礼をお願いしますわね。」

そう言いながら手際よく紅茶を淹れるマリアベルに、クロムは優しい視線を向ける。
そして、ルキナはこの時間が大好きだった。失ってしまった絶望の未来にはなかった温かさ。母の温もり、父の微笑み。全部、全部、護っていかないとと、小さな心に秘めた。




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