Lucky 7



彼女のコンプレックスを、随分前に知ってしまった時は「そんな些細なこと」と思った。けれど、彼女を、リズを知れば知る程その苦しみを知ってしまったような気がした。
ヴェイクは思う。自分とクロムの間には戦友という絆がある。リズにもクロムときょうだいという絆がある。時間を紡いで、想いを乗せて。
それが、もしなくなったら。
意外と繊細なリズのことだから苦しくて苦しくて、どうしようもなくなってしまうのではないか。夫婦という絆を紡いだ間柄でも、血縁ばかりはどうすることも出来ない。そんな自分が救いようもない無力で、腹が立つ。目の前で泣き出しそうなその小さな姿を、どうすれば笑顔に変えられるのか。
悩んだところで、答えは単純明快。多分、リズも答えなどとっくに出しているのだ。

「なあ、リズ。お前は男と女ならどっちがいい?」
「え?何の話?」
「子供だよ、俺様とリズの子供。」
「え……ええっ!!?」

突拍子もない質問に、思わず大声が上がる。
流石に空気を読まなさ過ぎたかと思いつつも、口から出てそのまま行動に移すヴェイクは、己を止める術など知るはずもない。

「いつか俺様たちの間にもガキが出来てさ、クロムんとこみたいになるんだぜ。」
「それは、そうだけど……」
「嫌か?」
「いっ、嫌じゃないよ!……ただ、驚いたと言うか、ヴェイクの口から子供って単語が出るとは思わなかったと言うか……」

口の中でもごもごと呟くリズが、阿呆みたいに可愛く見えたのは多分、旦那の欲目と言うものだろう。
男でも女でも、リズを救う絆になってくれるなら。ヴェイクはそう心の内で呟きながらぐしゃりとリズの頭を撫でた。
段々と天幕の外が暗くなる。もう、夜が来る。明日は早朝から賢者の里へ向かうと、クロムが言っていたのを思い出す。
そして、ふたりは知らない。明日に二人の愛を受けた子と出逢うことを。




Lucky 7