Lucky 7



いつもと逆の位置にサーリャは後ろを振り向く。夫婦として宛がわれた天幕に明かりはない。布の隙間から漏れる月明かりが、嫌に眩しい夜だ。
彼の呼吸は酷く落ち着いているのに、前で抱き留める手にはうっすらと汗が滲んでいた。

「思うんだ。」

不意に漏れた声がサーリャの耳元を擽る。短いその一説だけではどうしてもじれったい。何が、そう促す前に拘束の力が強くなった。マークもノワールもそれぞれの恋人の天幕に出向いているから、この空気を打破することは出来ないかもしれない。

「お前が、俺を好きになった本当の理由が……ギムレーじゃないのか、そう思うと怖いんだ。」
「え……?」

不意を吐かれた思いの丈に、サーリャは頓狂な声を出す。
この男は、何を言っているんだろうか。サーリャが身じろぐたび、ルフレの身体が小刻みに震えた。ああ、それ程までに想っていてくれているのだろうかなど、考えれば考えるだけ黒く艶やかな感情が渦を巻く。この人は、本当に愛してくれているのだ。

「私が貴方に惚れた理由は、ギムレーなんかじゃないわ。ルフレがルフレであるから……愛しているのよ。」
「サーリャ、俺は……俺は……」
「いいの、それ程思いつめるくらい私を愛してくれているのだもの。ふふ……嬉しいわ。」

僅か緩んだ束縛からするりと抜け出して、向き合う。プロポーズの言葉は忘れない。だから首に抱きついて静かに囁くのだ。

「ルフレ、愛しているわ。」




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