Lucky 7



すっかり馴染となった木陰に腰を下ろしてカムイは空を見上げた。穏やかな風、優しげな木漏れ日。あの暗い砦の中で過ごした時間とは全く別物で。頬を撫でる微睡は、憔悴しきった心を癒すには充分過ぎる。

「カムイ様。」

ふと背後から掛けられた声。すっかり当たり前になった、臣下のものだ。彼は落ち着いた物腰で彼女の隣に腰かけた。あたたかい。お天道様に照らされているからではなく、たぶん、別の意味で。話す会話もなく、ただただ、静かに時間は過ぎ去っていく。
そんな時だった。はらりと舞った一枚の花弁。桃色のそれは桜と呼ばれる白夜王国の名物だ。桜、サクラ。出会ったばかりの妹の名前を思い出してくすりと微笑む。

「カムイ様?」
「スズカゼさんの隣だと、綺麗なものもより美しく見えますね。」

なんて呟けば、彼は真っ赤な顔でそっぽを向き「カムイ様は意地悪です……」とひとりごちた。
自分はまだ、この国を何も知らない。綺麗なもの、美味しいもの、優しいひと、楽しい行事。あんなことが起きたばかりで知りたいだなんて烏滸がましいのかもしれないけれど。優しい臣下と一緒に、いつか復興された白夜王国を見て回りたい。穏やかな風が頬を撫でる中、カムイは嬉しそうに思いを馳せた。




Lucky 7