Lucky 7



泉の畔で涼んでいると、ぱたぱたとふたつの足音が近付いてくる。誰か見ずとも解る。
カムイの後ろでぴたりと停止し、弾んだ息を整えているようだ。

「お母さん!見て!」
「カンナと見つけたの!」

振り返ると、可愛い我が子がふたり。手にはきらきらと光る石ころ。カムイはふたりの手から石を預かり、陽の光に翳した。眩しいくらいに輝くそれは、ふたりの笑顔と同じくらいに煌めいていた。

「素敵ですね、何処で拾ったのですか?」
「あっち!」

指差した方角は桜の樹がある辺り。成る程どうやらもう少しあるようで、その周辺だけきらきらとしている。ふたりは母の顔を伺うと同時に「凄いでしょ?」とでも言いたげな表情をしていた。カムイは素直に微笑むと、ふたりを手招きする。

「わっぷ!」
「きゃあっ!」

小さなふたつの身体を、抱き締めた。一緒に過ごせなかった時間は残酷で。気付かぬうちに大きくなったふたり。けれどカムイとスズカゼの血を引いた、愛しい我が子たち。本当なら、ずっと、ずっと、思い出を共有したかった。こうやって些細なことで褒めたり、悪さをしたら叱ったり。母親らしいことをしたかった。

「……お母さん、泣いてるの?」

ミドリコの控えめに訊ねる声が聞こえる。カンナも不安そうに母の顔を見上げた。それでもカムイの眼から涙は止まらなかった。何度も何度も。ぽたぽたと溢れ続ける涙を拭う術を知らず、嗚咽を押し殺すように。
空はその心を映すように、どんよりとした雲が泳いでいた。




Lucky 7