「ハッピーエンドロマンス」の
前の日の夜の出来事です。
2ページ目に年齢制限かけてます。
※サンジ視点です!






困った事になった。
こんなはずじゃなかった。
おれは純粋に、今すべき事を、
彼女の苦痛を和らげる1番の方法を選んだ。
…つもりだった。
心の奥ではどこかあられもない展開の期待を
全くしていなかったと
胸を張って神に誓えるかと問われると
口を噤んでしまう。
そもそもおれは神なんざ信じちゃいねェが。


真っ白で清潔なバスルームに
繊細な生地のワンピースを洗う
じゃぶじゃぶという音をわざとらしく響かせて
ついでに頭の中の邪な考えも洗い流せやしねェかなんて
くだらねェ事を考えるくらいには混乱していた。


おれは、無意識でタバコを探したが
バスルームは禁煙、と言う表示を思い出して
思いっきり舌打ちをした。


半日ほど前に到着したこの島はとても栄えていて
表の港町では色んな市場やレストラン、
大きなモールなどが立ち並ぶ、活気ある街だった。


この島には海賊も沢山上陸するらしく
特別におれたちだけが目立つことはなさそうだった。
とはいえさすがにウチは顔の知れた賞金首ばかり。
だから変装をしておれ達は街に紛れ込み、
適当な酒場で酒盛りをした。


おれ達が到着したのは夕方で
まだ陽は半分ほど顔を出していたが
皆がうまい具合に酔い始めた頃には
陽はすっかり落ちており
外は昼間の表の街とは全く違う顔になっていた。
煌びやかなネオンに彩られ、
華やかだがどこか品があった。
ロマンチックでゴージャスな街並みに
おれ達は完全に浮かれていた。


まだ酒場でぎゃーぎゃーと騒いでる野郎共を置いて
おれとナミさんとロビンちゃん、そしてNAMEちゃん
(あとついでにウソップも)は
酒場の主人に教えてもらった
この街でも最大規模というカジノへ向かった。


変装も兼ねて着飾っているナミさん、ロビンちゃん、NAMEちゃんは
いつも以上に華やかで、妖艶で、最高に綺麗だった。
3人とも似たテイストのドレスだが
それぞれのキャラクターや
スタイルに合わせて少しずつ違っていた。
おれは何度も、目の前にいる女神達にメロリンラブ…
ああ、こんなに美しいレディ達と
毎日一緒に冒険をしているおれは
なんて幸せ者なんだ…!!!
と、涙と鼻血が止まらなかった事ははっきりと覚えている。


そしてカジノに入った瞬間ナミさんは
一瞬で目にベリーのマークを輝かせ、
ロビンちゃんの腕を引いて店の奥へと入っていった。

NAMEちゃんはキョロキョロと店内を見回していたが
立ち寄ったポーカーのゲームを興味津々で見ていて
気づいたら参加してすっかり大盛り上がりをしていた。

今日のNAMEちゃんは
酒場にいた時から珍しく大量に酒を飲んでいた。
普段からあまり酒が強くないNAMEちゃんの事が
おれは少し心配で
NAMEちゃんの後ろで見守っていた。
といいつつおれも、いつもと違う場所に浮かれて
いつもよりも少し、多めに飲んでいたと思う。

ウソップは、ナミさんとロビンちゃんの方へと行かせた。
あんな美女たちを女性だけで
こんな場所に居させるわけにはいかねェからな。


「ロイヤルストレートフラッシュ!!」


NAMEちゃんはポーカーの才能があったのか
次々と役を作り上げていった。


「サンジ!見て見て!すごくない??
私転職できるかも〜!!!」


完全に出来上がっているNAMEちゃんは
きゃっきゃと大はしゃぎしていて、
次々と勝ち続けている事に気分を良くして
どんどんアルコールが進んでいる。


「NAMEちゃん、お酒はそろそろ控えた方がいいよ」

「うるさい!サンジ!今日は無礼講だ!!!」


そう言って赤く染まった頬で、おれのネクタイを掴み、
鼻先が触れそうなほどにぐいっと顔を近づけられれば
おれはひたすらに鼻の下を伸ばし
ハートをまき散らす事しか出来なかった。
おれのバカ野郎…!!
NAMEちゃん、可愛過ぎるぜ…!!!


ただそれからというもの、あれよあれよという間に
NAMEちゃんは負け続け
いよいよ有り金を全部失ってしまった。

だが、相手の野郎がイカサマをしていたのを
おれは見逃さなかった。
というよりも、誰が見ても明らかだった。
NAMEちゃんは相当酔ってたから
どうせ気づかないと
完全に舐めきっているのだろう。
恐らくその為にNAMEちゃんを煽って
酒をどんどん飲ませたこのクソ野郎を、
締め上げる事など造作なかった。
もちろん、大騒ぎにならない程度に手加減をして。


「NAMEちゃん、もう帰るよ?」

「やだぁ!サンジ!まだやる!
負けたままで帰れるかー!!!」


まだ状況を把握しておらず
有り金をスッたままだと思い込んでいる
NAMEちゃんは抵抗をしていたが
その手にも足にもまったく力が入っていなかった。

ちょうど酒場からやってきた野郎共に
ナミさんとロビンちゃんの事は任せて
おれは先にNAMEちゃんを船に連れて帰る事にした。


「NAMEちゃん、大丈夫?」


おれの腕にしがみつきながらふらふらと覚束ない足取りの
NAMEちゃんが心配で声をかけると、
ゆったりと頷き、おれの腕に擦り寄ってきた。


着飾ったNAMEちゃんのドレスの生地は薄く、
おれの腕にはNAMEちゃんのいつもよりも熱い体温と
柔らかい感触が、直に触れてるかのように伝わってきて
ごくりと喉が鳴ってしまった。

おれは冷静さを取り戻すように頭を振った。


「船に戻ろう」


必死で平静を装って、優しい声を意識した。
夜も更けているのに外は少し生暖かくて
おれに寄り添うNAMEちゃんの肌は、
しっとりと、少し汗ばんでいた。

肌を撫でる夜風が吹いた時
NAMEちゃんから甘いけれど凛とした、花の香りがして
腕から伝わるぬくもりと、甘い香りに頭がくらくらした。


船に戻ろうと言ったものの、
停泊させている場所からは遠く
戻る時のことを一切考えていなかった事に気づいた。

普通の状態ならまだしも、
この足元のおぼつかないNAMEちゃんを連れて
船まで戻るのは、抱き抱えて行く方が早いか…
などと考えあぐねていると突然、
NAMEちゃんがおれの腕を掴む力が強くなった。


「NAMEちゃん?どうした?」


何かあったのかとNAMEちゃんの顔を覗き込むと
真っ青な顔で口元を押さえていた。


「きもちわるい…」


マズい、と思った時にはNAMEちゃんは走り出していて
近くの路地に顔を半分突っ込んで
思いっきり戻していた。

おれはNAMEちゃんの所に駆け寄り、背中をさすった。
顔を覗き込むと目に涙を浮かべていて
見ないで、と何度も言いながら
肩を震わせる姿に胸が高鳴ったおれは
もう既におかしくなっていたのかもしれない。
涙なのか汗なのかで湿った後れ毛が首筋に張り付いていて
とても、扇情的だった。


嘔吐で汚れてしまった服をどうにかしないといけないのと
いまだふらふらの状態のNAMEちゃんを
休ませなければと思い、
近くにあった宿を取る事にした。
正直なところ、おれも結構酔っていて
船まで帰る事を想像するとうんざりして
このまま早くどこかで休みたかった。


飛び込みだったからかその宿は
スイートルームとまではいかないが
ナミさんにバレたら怒られそうなほど
かなり値の張るダブルが一部屋しか空いていなかった。


おれは、せめてツインはないかとフロントでごねた。
今の状態で、いやどんな状態であっても
ダブルなんて、休息が取れるわけがない。
特にお互い酔いが回っている今、
一晩中理性を保つために我慢し続ける事を
想像して背筋が凍った。


「NAMEちゃん、ダブルしかないらしいから…
別の宿、探そうか。」

「なんで?ダブルでいいじゃん!」

「えっ」

「この宿きれい!ここにしよう?」

「イヤ…」

「おねがいします!」


NAMEちゃんは、はしゃいでにこにこしながら
ホテルマンと話を進めている。
完全にまだまだ酔いは回り続けているようだ。
普段のおれなら、こんなチャンスは二度とない、と
大喜びして踊り狂うだろう。
だが、今は状況がマズすぎる。

なんといっても、
相手が他でもないNAMEちゃんだからだ。


そうこうしている間に、
NAMEちゃんに促されるまま
手続きを済ませていたおれは
気づいたら、部屋へと通されていた。


そして気づいた時にはなぜか
NAMEちゃんは手に酒瓶を持っていた。


「NAMEちゃん!?それどうしたの?」

「さっきのホテルマンにもらった!
まだまだ飲み足りん!」


鼻息荒く言うNAMEちゃんから
酒瓶を取り上げようとしたが
うるうると上目遣いで、やめて…などと言われてしまい
おれはあまりの可愛さに
膝をつくことしか出来ず、無力だった。
酔っていても、そうしたらおれが
強く出れない事をわかっているんだろう。


「うわあ〜!!すごい!!
ふかふかのベッド!
見て!プールまである!!」


そう言ってベッドへ走り出そうとした
NAMEちゃんの腕を咄嗟に掴んで静止した。


「なに?」


不服そうにおれを見上げるNAMEちゃんも可愛い。


「その服のままじゃ、ベッドが汚れちまう。
服はおれが洗うから、服だけでも着替えておいでよ」

「えー!めんどくさい。ここで脱ぐ」

「えっ!?!」


そう言って徐にNAMEちゃんは
後ろ手に背中のジップを下ろしはじめたので
おれは慌てて近くにあったバスローブを
NAMEちゃんに渡した。


「ふ、服…洗ってくるね」


そう言って、NAMEちゃんが脱ぎ捨てた服を拾い
おれはバスルームへと急いだ。


顔は背けて、見ないようにしたけど
スケベ心は抑える事ができず
視線だけはどうしても動いてしまう。
すぐ逸らしたものの、
横目で見えた、なめらかな身体の線が頭から離れなかった。


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