ルフレ君が来た日の夜の内から次々と異界から人が集まった。目撃したスマブラメンバーの証言いわく、皆落ちてきたらしい。私の時は気づいたら湖にいたわけだから私も落ちて来たのかな、なんて思った。
その日は乱闘が終わりいつものようにシャワーを浴びてから外の鍛錬所で鍛錬中のはずのマルスに会いに行くと、マルスは女の子を抱きかかえていた。医務室に向かう所らしい。
「マルス、その子誰?」
「さあ? また落ちてきたみたいだけど、とりあえず邪魔だから医務室まで運んでくるよ」
女の子を抱える姿にショックを受けながらも聞いてみれば案外気絶した子に対する酷い返しだったので安心した。
「そう。何か手伝うことある?」
「じゃあその辺掃除しといて」
「いや、ついてくから!」
「はぁ」
「じゃあ医務室に先に行ってキノピオ達に準備させとく」
「へえ。出来る子になったじゃないか」
不意打ちで褒められたものだから、嬉しくてドキドキしてしまい、返す言葉に詰まった。「じゃあ、先行くね」とだけ言って医務室に走って行った。
医務室には緑の物体がいて、鼻を保冷剤で冷やしているようだった。私はそれを無視しようと思ったけど、それは私が入ってきた瞬間には立ち上がり、「なまえ!」とか言いながらまたもや鼻血を噴射させていた。
「うぇ、気持ち悪い」
「本当にこの前はごめんな!」
「謝っても許さない」
思い出すだけでも恥ずかしくて顔から火が出そうな程だった。それに加えてマルスにも見せたことのない裸体を見られてしまい、怒りが収まらなかった。私はリンクを無視して、空いているベッドを探した。
「何で医務室? 具合悪いのか?」
無視して、キノピオ達がいないことを不審に思ってコールボタンを押しにベッドの頭の方に向かい、壁に取り付けられたコールボタンへと伸ばした腕を掴まれた。
「なに? 触らないで」
「ちゃんと聞いてほしいんだ」
「聞きたくない。話しかけないで」
掴まれた腕を振り上げ離れようとすると、勢い余ってバランスを崩してしまった。ベッドに仰向けに倒れてしまい肩を打った。おまけにリンクが一緒に倒れこんできてリンクに押し倒された体勢になった。
顔が限りなく近く、リンクの小さな鼻腔から詰め込んだティッシュが丸見えだった。それでも完璧に整った顔立ちにさして影響を及ばさず一瞬見とれてしまった。
こんなときに間の悪いことにマルスが到着してたようで、扉を勢いよく開けこちらを冷たい目で見下ろすように見ていた。
「マルス……」
「へえ。準備ってそういうことだったんだ」
「違うの!」
思いっきりリンクを蹴っ飛ばし、マルスに走って近づくと今度は私が蹴られて床にびたんっと尻餅をついてしまった。
なんかデジャビュなんだけど……。
「そこで這いつくばってれば?」
「話くらい聞いてよ!」
「なまえ大丈夫か? マルス、俺の所為なんだ! なまえは悪くないぞ!」
余計なことにリンクが私を引っ張って起こしながらマルスに食ってかかった。
これ以上マルスに勘違いされたくないよ。
「僕は別になんとも思ってないよ」
マルスは近くのベッドに抱えていた女の子を下ろし、コールボタンを押した。そして私なんかに目もくれずスタスタと医務室からでていってしまった。
「マルスに嫌われちゃったじゃない!」
キッとリンクを睨みつけるとリンクは何故か顔を赤らめた。「か、可愛い」とかなんとか聞こえた気がしたけど、これ以上一緒にいると他の人にも勘違いされそうなので後は任せて私はやけ食いしに食堂に向かった。