ルフレ君とお茶をした日の夕食時、いつものように食事の乗ったお盆を持ってマルスの隣の席に行こうとすると、色んな人に呼び止められ隣の席を勧められた。
「なまえ、俺の隣空いてるぜ」
「肉分けてやるぞ」
「なまえさん、ここどうぞ」
「僕の隣空いてるよ」
アイク、ルフレ君、ロイと三人にも呼び止められ、不思議に思いながらもマルスの隣に行くとマルスは食事途中にも関わらず席を立ってしまった。驚きとショックで呆然としたけれど、直ぐに我に帰りやけくそになってマルスに聞こえるように「ルフレ君、隣いい?」と聞いてルフレ君の隣の席について食事をすることにした。目の前にはフォックスとファルコとカービィが並んでいて、右側にルフレ君がいて、左隣は私の知らない人だった。見慣れない服装で大きな剣のようなものを担いだまま目の前のフォックス達と会話をしながら食事をしていたが、私が席に着くと直ぐに声をかけてくれた。
「初めまして。僕シュルクっていいます。今朝からここでお世話になっています」
「こちらこそ初めまして。私はなまえ。よろしくね」
「宜しくお願いします」
金髪に少し日焼けしたような肌で、チャラい人かと思ったら、とても礼儀正しくて好青年だった。ただタイミングが悪かった。マルスに一緒に食事をとることを拒否されたショックがまだ続いていて、にっこりと笑おうとしたけれど思い通りに笑顔になれなかった。
その後ルフレ君も会話に交じって食事をしたが、食が進まなく食べ物の味がしなかった。
ルフレ君に、「顔色が優れないね」と早く寝るように促され、シャワーを浴びてから自室に戻った。
*
チェストの上のオルゴール付きのジュエリーボックスを両手で大事にとって、ベッドに寝転んだ。あのチョーカーを除けばこれはマルスから貰った唯一のプレゼントだった。といっても3遍回ってワンといえば買ってあげるよとかなんとか言われての条件付きプレゼントだったけど。ボックスを開ければ、私の好きな曲が流れた。それでマルスと仲が良かった時期を思い出して胸の苦しさを紛らわそうとした。
このまま無視され続けたらどうしようと思って泣きそうになるのを堪え悶々と悩んでいると、天井の方から嫌な音が聞こえた。
あ、これやばいやつだ、と瞬時に悟ったが身動きする間も無く天井が崩れ、男の人二人が落ちて来た。
今回は二人共気絶していなく、持っている剣先を床に突き刺し華麗に着地した。
「一体なんなんだここは」
「うわぁっ! 死ぬかと思った」
金髪で派手な髪形をした人と、銀髪でマントと全身燻銀の鎧が印象的な人は瓦礫の煙に咳き込み困惑していた。私も例に漏れず咳き込み、ジュエリーボックスを抱えたままベッドの端によった。
二人共マルスには劣るけれど顔が綺麗な一方でダークヒーローのような雰囲気を醸し出していて近寄りがたかった。
二人は部屋を見渡し、私の存在に気づいて銀髪の人は「瓦礫が飛んできてないか?怪我はない?」と私の肩に触れ優しく声をかけてくれ、金髪の人は「ここはどこだ?」と不躾に聞いてきた。
私が二人の問いに答える間も無く、物音を聞いてスマブラメンバー達が駆けつけてくれた。
「なまえ大丈夫か? ってそこのお前ー! なまえに気安く触るなぁー!」
「なまえさん! 大丈夫か?」
「大丈夫ですか!?」
「ぽよよ〜」
例によって誰かさんが、一番最初に来て、その後にルフレ君とシュルク君、カービィが続いた。他にも駆けつけてくれたけれど、マルスの姿はみえなかった。
「また人増えちゃったみたい」
私が困ったようにいうと、ちょうど鈍足でやって来たガノンドロフが怒りで叫びながらまたもやマスターに報告に行くと一言いって鈍足で走り去った。最近部屋が足りない、とぼやいていたので多分それで怒っているのだと思う。
「一見君の部屋みたいだが、すまない。めちゃくちゃになったみたいだ」
銀髪の人が申し訳なさそうに謝ってくれた。さっきからこの人がいい人過ぎてかなり好印象だ。話すとき顔がかなり近いけど。一方の金髪の人は「おい、そこの生物はなんだ?」とカービィに言っていて失礼な人だった。
「だからお前はなまえに近づくなぁ!」
変な緑のが割って入ってきたけれど、私は無視を決め込んでいた。
「今のは気にしないで。私はなまえ。この世界はー」
新しく来た二人に簡単に説明すると最初こそショックを受けたような顔をしたけど、ここの闘技場のシステムを話すと二人共顔を輝かせやる気満々みたいだった。
彼らの名前は、銀髪の良い人がカムイ、金髪のクールな人がクラウドというらしい。
また人が増えた上に私の部屋が破壊され、また私の不安が増大した。この先もっと嫌なことが起きる気がしてならなかった。