lion
キャットちゃん。私は彼にそう名付けた。彼は本名を教えてくれなかったからだ。夜に人をホテルに呼びつけておいて、終わったらそのまま雀荘にいく。そんな自由気ままに生きる彼にはぴったりの名前だと思う。
「キャットちゃん、今日はゆっくりがいい」
入ったばかりの部屋のベッドにダイブして、服を脱ぎ出す彼を見上げた。呼び名に反応して彼は顔を歪めた。
「だからその呼び方は止めろって。ゆっくりってどうやればいいんだ?」
「前戯長くして」
「我慢できん」
「盛りのついたキャットちゃん」
「てめぇ」
彼はちょうど上半身裸で悪趣味な指輪を全て外したところで、私に覆いかぶさり服を強引に脱がしてきた。いつも彼はキャットちゃんの名に相応しくなくて、とても強引で激しいセックスをする。私のその時の調子にもよるので正直2回に1回以上は痛い。全然優しくもない。ただ彼の性欲を満たすためだけの行為。それでも応じる私は彼のことがとても好きなのだ。整った顔に大きな体。俺様な性格。とても魅力的な人だと思う。恋愛感情的には今すぐにでも結婚したいと思う。けれど、職業的、性格的には結婚には向かない人。いつか縁を切らなくてはいけない。結婚を考える歳になるまでに別れないと。そう思って数年、もうそんな歳になってしまった。
「ハア……ハア……あー、疲れたぜ」
「キャットちゃんてさー」
「ん?」
「結婚できない男だよね」
「ああ? 結婚なんて考えたことねーよ」
「考えてもできないからいーよ」
「馬鹿にしてんのか?」
「や、やめて!」
笑いながら私の脇腹をくすぐってきたので思わず身をよじらせた。くすぐったくて何かを考える余裕がなくても、彼の笑顔はとても魅力的で何時もながら目を奪われる。
じゃれあいはセックス並みに直ぐに終わって、私が湯舟に浸かっている間彼はシャワーを浴びて身支度を整えた。
「おい、雀荘行くからじゃあな」
やっと湯舟を上がった頃、彼は会った時と同じくホストのような格好で、浴室の扉を開け、私に手を振り行ってしまった。残された私は寂しくて仕方がなかったけれど、また魅力的な彼に会えるという思いを活力に、今日も明日の仕事の為に家に帰った。