melone side



雨の日の午後3時。任務の帰りがけに暇だからとアジトに寄ってみれば、ナマエが腹を出してソファに横になっていた。着ているパーカーとタンクトップが上へズレて、薄らと割れた腹筋や1本の筋となったへその線が丸見えになっており、ごくりと生唾を飲み込んだ。

──犯したい。『ベイビィ・フェイス』でなく、実際に孕ませて細いへそが広がり、シワが寄るのを見たい。

突然下半身から迫り上がってきた思いのままに、革手袋をローテーブルに脱ぎ捨て、床に片膝をついてナマエの横腹に触れた。

「ん……」

ナマエは息をつくような乾いた声を漏らす。起きたかと思ったが、顔を確認する限り穏やかな表情で眠っている。
そっと人差し指の先でへそに触れた。切り込みのように細長いへそに指が沈んでいく。腹筋で引き締まっているといえど、そこには女性らしい柔らかさがある。心地がいい。
それから、女性の秘部を広げるように親指と人差し指でへそを横に開く。暗くてよく見えない。
締め切っていたカーテンを開き、それからソファの横にあるフロアランプを付けた。これでよく見える。
もう一度へその中を見ようと、今度は両手の指を使って開かせた。そこには数本のシワが奥へ収束するように放物線を描いている美しい光景が広がっていた。

「スゴク……ベリッシモ……良いシワだ……」

今から孕ませて広がっていくであろうへそに口付けようと、へその切り込みを広げたまま唇を寄せていこうとすると、ナマエが突然むくりと半身を起こした。

──チッ。もう起きたのか。これでは犯せないじゃあないか。

「よく眠れたか?」

「……きゃああああああ!!!」

「ぐわァッ!」

思いっきり拳で頬を殴られ、よろめいた。寝起きなのにこの力……相当健康だ。

「な、何してたんス?」

「まだ何もしていない。これからするところだったのをおまえが邪魔した」

ローテーブルに脱ぎ捨てていた革手袋を手に嵌め直した。

「何する気だったんスか!?」

「へそにキスしようとしただけだ」

「なんで!?」

「おまえのへそが堪らなく美しかったからだろう」

「は?意味わかんないっス!怖い怖い怖い!」

ナマエはタンクトップで隠れた腹を上から摩る。

「もう信じらんないっスよ!もうそんなことしないで!」

「わかった」

こうでも言わないとナマエは煩いから、大人しく言い返さないことにした。

「その返答はわかってないっスよね!?」

「いや、わかった」

「本当っスか〜?」

ナマエが疑うように眼を細める。なんとなく、その細めた瞳を覆う瞼や口角の下がった唇を舐めたいという衝動が湧き起こり、自分の性器がむくむくと膨張するのを感じた。
今ここでナマエを押し倒して犯せば、ナマエはその表情豊かな瞳を細めて感じてくれるのか、それとも涙を流すのだろうか。愛らしい小さな唇から吐息を漏らすのか、それとも暴言が飛び出てくるのか。
いつも他人の反応など興味がないのだが、ナマエの反応を楽しみたいという欲求が募る。

──犯したい。反応を見たい。孕んだ腹から覗くへその中が見たい。

欲望がオレの中で渦巻く。

「大体メローネは──」

「帰る」

「えっ?帰るの?」

彼女の小言を聞いていると、その忙しなく動く唇ばかりに眼がいって発情するだろう。そして、ナマエが話せなくなるように彼女の口中に自分の性器を突っ込むだろう。
欲望のままに動きたいが、リスクが大き過ぎる。リスク回避の為には帰るのが一番だと思い、大人しくアジトを出た。
数歩歩いたところでポツリと顔を打つ雨でハッとした。天を振り仰げば、はっきりと目視できる程雨が降っている。何故気付かなかったのかと驚くくらいの雨量だ。そういえば、傘をアジトに置いてきた。
戻ろうか迷って、やめた。そんな気分ではなかったし、多少濡れても構わない。
歩き出したところで後方で扉の開く音と共にナマエが傘をさしながら走り寄ってきた。

「メローネ!傘、忘れたっスよ?」

ナマエが雨で濡れるのにも関わらず、オレを入れるように開いた傘を背伸びして差し出した。
さっきまで怒っていた癖に何故オレに構うのか理解不能だ。
オレは傘を受け取り、雨に濡れているのにも関わらずにオレを見続けるナマエを見つめ返した。

「なんスか?」

「おまえこそなんだ?濡れてるぞ」

「そうっスよ。いや、すぐに戻ろうと思うんスけど、メローネが変な眼で見てくるから」

ナマエはフードを被り、眼が隠れないように片手でフードの先を摘んで上にあげながら話す。

「変な眼で見てはいない。先におまえが見てきた。風邪を引くぞ」

ナマエが濡れないように、ナマエに身を寄せて傘の下に入れてやった。

「もう戻るからいいっスよ」

「女は体を冷やすな。母体は大事にしろ」

「あーっ!やっぱり、私のこと母体として見てるんスねーっ!」

ナマエは叫ぶと、両手でオレの体を押してアジトに走って行った。バタンと大きな音を立てて扉が閉まる。

「女は感情的でよくわからんな」

特にナマエのことは一番わからん。オレの言動一つ一つにナマエがどう反応していくのか一生予測できる気がしないが、不思議なことに常々ナマエの反応については予測と結果の差異を時間をかけてでも埋めていきたいと思っている。予測と結果が一致する前にどちらかの寿命が尽きてしまいそうだが。

←back
ALICE+