illuso (1/2)


 
兄貴のことは元々かっこいい人と思っていた。それが面倒を見てもらうちに好きになってしまった。兄貴は暗殺稼業で心が病む中の癒しだ。でも、兄貴は私に興味が無い。ペッシが弟分であるように、私は兄貴にとってただの妹分だ。辛い。

「ただでさえ辛いのに、なんでイルーゾォしかいないんスか」

昨夜、ギアッチョから「翌日の夕方頃に集まるように」とメールが来たのでアジトの居室に行くと、そこにいたのはイルーゾォだけだった。ひとり掛けのソファにふんぞり帰って座っている。ローテーブルには酒瓶とグラスが置いてある。集会前に飲むとかやる気がなさすぎる。

「後から来るだろう」

「あ、そっスか」

適当に答えて横向きの3人掛けソファに座った。

「ほら、やる」

「わっ」

突然イルーゾォにペットボトルの水を投げられ、一度掴み損ねて床に落ちそうになったところをギリギリ掴み上げた。

「どんくせぇな」

「格下相手しかいないから油断してたんスっ!」

ムッとして言い返せば、イルーゾォはイラついたように舌打ちをした。

「でもまあ、ありがたくもらうっス」

職業病でペットボトルに穴があったり、キャップが緩んで無いか確認した。それからキャップを取り、水をゴクゴクと飲む込んだ。

「ぷはぁ。やっぱり水が一番美味しいっス」

「本当に色気がねぇ奴だな」

「なんスか?無駄口叩くと刺すっスよ?」

今日はポケットに隠し持っているフォールディングナイフを手に取り、イルーゾォを睨んだ。

「おれを刺す、か。おもしれぇ。まあ、そいつは無理になるだろうな……絶対おまえはおれを好きになる」

「は?どういう……何を……?」

体から力が抜け、頭がぽわぽわしてきた。イルーゾォの姿や壁、ソファ、視界に映るもの全てが霞みだした。世界がぐるんと回る感覚がして、横に倒れた。鈍る思考回路ですぐに原因の予測はできた。薬、盛られた。



*



目が覚めると、そこはソファの上で視界には鼻にツンと来るような香水を漂わせた上半身裸のイルーゾォがいる。なんとなく下半身が重い。多分乗られている。

「イルー……ゾォ」

呂律の回らない舌でなんとか言葉を紡ぐ。イルーゾォはそんな私の頬に手を伸ばして撫でてきた。

「そんな愛おしそうに名前を呼ぶな」

「し、ね」

鈍る頭で確認したところ、服を脱がされ下着姿にされていた。せめてもの抵抗でイルーゾォを睨んでやる。
この状況で一瞬で悟った。ギアッチョからのメールは、本当はイルーゾォが送ったんだ。それでおびき寄せた私を犯す為にペットボトルに何かしらの細工をして、睡眠薬のようなものを仕込んだんだ。

「エル……セブン……」

スタンドでイルーゾォをブッ飛ばそうとしたけれど、スタンドが出てこない。ああ、まさか。

「無駄だ。ここは鏡の中なんだからよォ」

最悪だ。もう、逃げられない。このままイルーゾォにされることを思うとゾッとする。いっそのこと寝ている間に終わらせて欲しい。

「イルーゾォ……これはチームの、ルール違反……っス」

「ああ。傷つけることはルール違反だ。だがよォ、これは愛し合うって言うんじゃあねぇか?」

イルーゾォは私の頬にやっていた手を唇に滑らせ、人差し指で私の唇の輪郭をなぞる。
力を振り絞り、イルーゾォの指を噛みちぎろうと上下の歯で指を挟んだ。けど、力が足りなくてまともに噛めない。

「ああ……いい甘噛みだ」

「んっ……んあっ」

口の中を指でかき回され、呼吸が苦しくなる。イルーゾォは私の唾液のついた指を唇からそっと抜き出すと自身の唇へと運び、とろりと垂れる透明の液体を舐め上げた。うへぇ、吐きそう。

「ああ、そういえば、初めてだったんだよな?まずはキスをしないとな。おれの唾液も味わえ」

「やっ……」

イルーゾォが覆いかぶさってきて、私の両頬を包み込んできた。顔を固定され、左右に逸らせもしない。
閉ざしていた唇を食むように何度も口付けされ、緩んだ唇の間に舌を挿しこまれた。舌で押し返そうにも、口内を舐め尽くすように舌を這わされる。イルーゾォと私の唾液が混じりあう。凄く酒臭い。本当に最悪。
しつこくキスをされ続け、薄くなる呼吸でなんとなく、下腹部に硬いものが擦りつけられる感覚がする。
ぼーっとする頭で気づいたけれど、なんだか体が熱い。じくじくというか、なんかぞくぞくして下半身の辺りが疼く。睡眠薬意外にも絶対何か入ってる。

「ハア……なんて顔してんだよ、ナマエ。誘ってんのかァ〜?」

イルーゾォに手のひらで頭から頬へと手を滑らせ撫でられる。近距離で睫毛の長いチェリー味の飴玉みたいな双眼と眼が合い、何故だか心臓がとくりと跳ねた。
嫌で嫌で仕方ないのに何故か体は熱を帯びる一方で、心と体の乖離に頭がおかしくなりそう。もうこれ以上は耐えられない。

「さっさと、挿れて……おわ、らせて……!」

「おいおい、そんなこと言って、本当はおれのを咥えてぇんだろ?」

下着の上から割れ目を強く擦られた。初めて男の人に触られて怖くなった。

「たっぷり愛してやるよ」

ブラをずらされ、露出した胸を強く掴まれ、吸いつかれた。もう一方の手は私のショーツに伸びてきて、入り口のあたりを触ってくる。胸はもういい。下だけは怖くて嫌。眼を瞑り、脚を閉じようとすれば、邪魔だとショーツを剥ぎ取られて膝を割られた。

「あの口の悪くてクソ生意気なナマエがこんなあられもない格好をするとは。プロシュートのアニキに見せてやりてぇなあ、おい」

イルーゾォがにやにや笑いながら煽ってくる。もうイルーゾォの顔なんか見たくなくて怠くて重くなった両腕で眼を覆った。
意識を外に向けようとした。何か楽しいことを考えよう。港のベンチでゆっくりしたり、夜の酒場でお酒を飲んだり……ああ、ダメだ。どれも記憶の中では兄貴が隣にいた。兄貴のことを考えたら、心が壊れてしまう。
突然体の芯を貫くような痛みを覚えて、体が跳ねた。

「いっ……たぁッ」

「本当に処女とは驚きだな。だが、これから気持ちよくなんだよ」

顔を覆っている腕の隙間からイルーゾォの動きを見れば、イルーゾォはローテーブルに置かれた小瓶を手に取って横に傾け、指にとろみのある液体をまとわせた。その指を私の割れ目へとあてがい、下から上へと擦り上げながら塗り込まれた。その液体の所為なのか、割れ目の辺りがじんじんとした熱を持ち、行き場のない高揚感に襲われる。

「なに、したのっ……?」

「このまえ暗殺した要人が色々持っていてよぉ。事前の情報ではEDで病院通いっつーのは知ってたんだが、何日か尾行していたら驚いた。自分にも女にも薬を使ってる。しかも女の感じようったら、獣だな。あれは。それで、ちょいと拝借したって訳よ」

イルーゾォの話が本当なら要人と女の性行為を見ていたってことで、仕事といえどドン引きだ。だけど、薬を塗り込まれる前から体は熱かった。睡眠薬の他にも何が入ってたのか怖い。
イルーゾォの指が中をこじ開けながら入ってくる。一度も感じたことのない痺れるような気持ちよさに自分でもびっくりする。

「や、めっ……」

「なんだ、感じてんのか?」

「ちがっ……んっ」

くちゅくちゅと水音を立てながら中をかき乱された。快感に耐えられないという矛盾する感覚から逃げようと腰を浮かせるけど、どうにもならない。脳に響くようなひりひりとした感覚が疼いた折、割れ目から指を抜かれた。
脚を閉じ、顔を覆っている腕の間からイルーゾォを見れば、ボトムも下着も下ろして全裸になっていく。何度も私の下腹部に擦り付けられた性器は肥大していて、まともに初めて見る男の人のものに見ているこっちが恥ずかしくなった。
今からあれを挿れられるなんて嫌。イルーゾォに抱かれた女になりたくない。私のプライドが許さない。だけど、体は怠くて動かないばかりか熱を持ち、膣内が行き場のない疼きを覚える。

「ちゃんとゴム付けてやるからよ」

「やだ……やめ、て」

まだ、呂律が回らなくて、必死に舌を動かしながら話した。

「ああ?ナマがいいってことか?」

「あんたなんかに、抱かれ……たくないッ」

「なら、なんでこんなに濡れてんだ?」

入り口を指で触られ、体が反応してぴくりと跳ねた。それをイルーゾォは見逃さなくて、大袈裟にフハハハと笑い始めた。

「あー、クソ生意気な女を屈服させるのは最高だなぁ、オイ」

「あっ……やっ」

イルーゾォが両手で私の足を開かせ、薄いゴムの被った男性器を割れ目へあてがうと、顔を覆っていた私の腕を無理やりどかして眼を合わせてきた。顔を背ければ、正面を向かされ、おれを見ろと言う。

「今からおまえはこのイルーゾォと交じり合うんだよ」

「しねっ……」

咄嗟に暴言を吐いたものの、イルーゾォの性器は簡単に入ってきた。体が勝手にイルーゾォを受け入れてしまう。膣がイルーゾォのでいっぱいで苦しいはずなのに、初めてで痛いはずなのに、何故だか知らないけど脳にぐわんと響くような心地よさがあった。
イルーゾォの腰の動きに合わせてイルーゾォの束ねた髪が激しく揺れ、肉と肉がぶつかる弾けるような音が何度も頭に突き刺すように鳴り響く。

「あー……うーっ……やぁ……んーッ」

「ああ?気持ちいいのか?ん?」

必死に感じないようにする為に唸るような声を出せば、イルーゾォが性器をグリグリと私の中に押し込めるようにすりつけながら、私の頬を包み込むように手を添えて唇を合わせてきた。
舌を絡めとられ、口内も膣内も激しく犯された。イルーゾォの厚い胸板を手で押してもびくともしない。がちがちに割れた腹筋や、筋のくっきり浮き上がった腕も見せかけではないみたい。
嗚呼。イルーゾォに犯されてる。私、何してるんだろう。私は兄貴が好きなのに、今でも兄貴を想っているのに身体はイルーゾォを受け入れ、あまつさえ感じている。私、おかしくなっちゃった。
イルーゾォは唇を離し、ソファに片手をついて腰を私に打ち付け続けながら、私の胸を弄る。胸を吸われた時は気持ちよくなかったのに、今は触られただけで気持ちいい。
心と身体の乖離に耐えられなくて、つうっと涙が横に流れる。

「イルーゾォ……」

イルーゾォの瞳を見つめて、声を絞り出した。

「なんだ?気持ち良すぎて涙でてんのか?」

束ねた髪を揺らし、私に体を重ねるように近づいてきた。そこで重たい腕を伸ばして、イルーゾォの首を絞めようとしたけれど、首元に手を置くので精一杯だ。

「し、ねっ!」

「照れてんのかァ、おい?こんなに中を濡らしているのに何言ってんだ?」

指で割れ目の上の方を擦られた。ぴりぴりとした感覚に体が跳ねる。

「あとで……んっ……ころ、す……あんっ……ス」

自分でも馬鹿みたいに甘い声がでてしまったことにはっとして、無理やりスをつけて誤魔化した。

「おい。喘ぎながら、物騒なことを言うな。このイルーゾォを感じてるのは事実なんだからよォ。いい加減認めろ」

イルーゾォの動きは更に激しくなり、身体の芯が焼かれてしまいそう。
イルーゾォは私を抱きしめるようにして、私の首に顔を埋め、強く吸い付いてきた。体を離そうとイルーゾォの肩を両手で押すけれど、その手もいつの間にかイルーゾォの首の後ろへと移動した。
下唇を噛みしめ、ぎゅっと眼を閉じた。腰が浮きかけ、意識が朦朧とする。ああ、なんか変。



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