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膝まで丈のあるローブを羽織ってローブの前がはだけないように押さえて恋人のロビンがいる天幕まで走った。天幕に入って直ぐに笑顔でローブの前を開けて裸を見せると、そこにいたのはロビンじゃなくてパイソンだった。
パイソンは一瞬驚いた顔をしてから、にやりと笑った。
「なに?俺とやりたいの?」
「間違えましたっ!」
ローブで体を隠して自分の天幕に戻った。もう誰にも会いたくなくなった。穴があったら入りたい。顔から火が出るほど恥ずかしい。
*
次の日、野営地を引き払う為にしゃがみ込んで天幕の片付けをしているとロビンが来た。ロビンはしゃがみ込んで手伝う振りをして手元を適当に動かしていた。
「なんで昨日来なかったんだ」
「ごめん。そんな気分じゃなくて」
「あれ?今日は服着てんだ」
パイソンが上から声をかけてきた。どきりとして、何も言えずに固まってしまった。パイソンは笑いながら通り過ぎてしまった。
私は彼の後ろ姿を目で追った。遠くに行くまで安心できなかった。やっと見えなくなった頃、天幕の片付けに意識を向けるとロビンがじと目でこちらを睨んでいるのに気がついた。
「服着てるってどういうことだ?まさか昨日……」
「違う!昨日ロビンに裸見せようと思ったら天幕間違えてパイソンに見せちゃったの!」
「あいつにか!?くそっ。ぶっ飛ばす!」
「やめて!」
立ち上がりパイソンを追いかけようとするロビンの服を掴んで止めた。
「私が間違えちゃったのがいけないの!喧嘩だめ!」
「わかった。ったく、今日は外でするか。またアルム達が見張りでいない時って時間限られてるしな」
「うん。後で時間決めよう」
「昨日、できなかった分楽しませてくれよな」
ちゅっと音を立ててロビンは私の頬にキスをすると、行ってしまった。今日はちゃんと服を着て行こうと思った。
*
その日、パイソンが私と通り過ぎる度にからかってきた。「スカートの下も昨日と同じ感じ?」とか、「それ、昨日のローブなの?」とか。
耐えきれず、夜ロビンのところに行く前にパイソンをとっちめに彼の天幕へと行った。彼の天幕には彼一人しかおらず、胡座をかいて矢羽を整えているところだった。
顔を上げて私を見るとあのにやりとした笑みを浮かべて、矢を置いて立ち上がった。
「なに?またフォルスいない時狙ってきたの?」
「もう私に構わないで」
「嫌なの?」
「嫌」
「へぇ。俺は結構楽しいんだけどな」
「なんでからかうの?」
「なんでからかうかってわかるだろ」
「楽しいからっていうんじゃないでしょうね?」
「それもあるけど、好きだからだよ。おまえのことが」
「好きって……」
真面目な顔で言われて動揺した。パイソンが私を好きって……。
「い、いつから?」
「おまえの裸見たときから」
「は、はぁ?なにそれ?信じらんない!」
「いや、男にはあるんだよ。そういうことが」
「最低!」
物を投げつけたい気分になったけど、あいにく手元には何もなかったので退散することにした。外に出ようとすると腕を掴まれた。
「なぁ、待てよ」
「嫌。離して」
「おまえ、村出身だろ。都市の男とやったことあるか?」
「な、なんてこと聞くの!?」
「イったことあるのか?」
「いったって?」
「正しいシカタ、知りたくないか?」
パイソンは囁くようなねっとりとした声で言った。前々から思ってはいたけどパイソンは軍の中でもどこか色っぽいところがある。蛇を想起させる切れ長の眼で見つめられ、ノーとは強く言えず、近づけてくる顔から逃げることができなかった。
唇が合わさり、呼吸が困難になる程長くて濃密なキスをされた。舌を絡め取られたり、歯列をなぞられたり、どれも今まで見聞きもしたことがないことまでされた。唇が離れる前には腰が抜けてしまった。
「キスだけでこんなんなるの?」
笑いながら覆いかぶさってくるパイソンに未知に対する不安とドキドキ感を感じ、抗えなかった。もっと知りたいと思ってしまった。本当の気持ち良さとパイソンのことを。ロビンのことが頭によぎったけれど波のように押し寄せてくる気持ち良さに全てがどうでもよくなってしまった。