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アルム達と解放軍に入って、出会った人に一目惚れをしてしまった。ラム村なんて田舎にはいそうにない、年上のしゅっとしたかっこいい人。地方都市の平民なら村出身の私でも相手してくれるのかな。そんな淡い期待を抱いて彼の周りをうろちょろするようになったけれど、全然相手にしてもらえなかった。
解放軍のアジトの隅で破けた服を繕っているエフィに相談することにした。彼女は片想い歴が長いけれど、アルムとは仲がいいから参考にはなりそう。
「エフィ、どうしたら興味持ってもらえるかな」
「うーん。私は見守るだけで幸せだから」
「流石エフィ!恋する女の子の鑑だわー。で、どうしたらいいと思う?」
「私の話聞いてた?」
エフィに相談しても埒があかないので、シスターに相談することにした。
「シルク、私パイソンが好きになってしまったの」
「は、はぁ。それをお悩みなのですね」
「そうです。どうしたら相手からも好かれるようになりますか?」
「そういったことは私もわかりません。ですが」
ですが、私はその後の言葉に期待をした。
「ミラ様に祈りを捧げれば願いは届くでしょう」
「おっけー。どうも。参考になったわ」
シルクも駄目だわ。こうなると残りはクレアに聞くしかない。クレアは美人で綺麗だし良い人だけど人を田舎者扱いしてくる最悪な女だから出来れば相談したくなかった。
「クレア、出来ればあなたに聞きたくなかったけど、どうしたらあなたみたいにモテるの?」
「あら、あなたおモテになりたいの?」
「そうよ。悪い?」
「そんな風に眉間にしわを寄せていたら殿方に嫌われてしまいますことよ」
笑顔でそっと眉間を伸ばすように撫でられた。なるほど、男性はクレアの見た目だけでなくこの優雅な仕草にやられるのかもしれない。女の私ですら惚れかけた。
「わたくし、好きな殿方にはおモテになりませんの」
「確かに」
クレアはアルムに擦り寄るもエフィよろしく全然相手にされていなかったのを思い出した。
「あなたはその性格を直した方がよろしくてよ」
「え?何?喧嘩売ってる?」
「お話になりませんわ」
「全くだわ」
クレアも仕草以外参考になることがなかった。収穫はほぼゼロ。こうなりゃ男性陣に相談するしかない。
「ロービーンー!」
グレイと二人で話しているところのロビンを呼ぶと二人して私を見た。
「あ、グレイはいいの。ロビンに大事な用があるの」
「ちぇっなんでい」
グレイはすねたようにいいつつも、にやりと笑うとロビンの肩を強く叩いた。ロビンもグレイに変な笑いを返した。同郷だけど、私にはよくわからないサインだった。
二人で人気のないところに移動して聞いてみた。
「パイソンのことが好きなんだけど、どうしたら彼に気に入られると思う?」
「うっわ。最悪」
ロビンの返事はそれだけであとは何も聞き出せなかった。
もうこうなったらパイソンの幼馴染のフォルスとやらに聞いてみるのが手っ取り早いと思い、パイソンの目の前でフォルスを借りるという大変恥ずかしい思いをして、狭い小部屋でフォルスと二人になった。
「それで、鍛錬中の僕をこんなところに呼び出してなんのつもりなんだ?」
「ちょっとお伺いしたいことがあって。えーと、パイソンって町にいた時はどんなだったの?その、女性事情ってやつ」
「何故そんなことを聞く?」
「そんなのどうでもいいでしょ。例えば町にいた時に付き合ってた子とか」
「何故そんなことを聞くんだ?」
「しつこいわね。パイソンのことが好きだからこっちは休憩の時間割いて聞いてるんでしょうが!早く答えなさいよ」
「なに?これからソフィア城奪還へ向かうというのに恋愛なんかにうつつを抜かすというのか?今は大事な時期なんだ。すまないがあいつに構うのは止めてくれ」
「はぁ?幼馴染なら、こんな時だからこそ恋愛応援しなさいよ」
「そのこんな時が終わっても君みたいな人を幼馴染に紹介なんてしたくない!」
「なんですって!どう意味よ!」
侮辱されついかっとなってしまい、手が出た。力を込めた握り拳はフォルスの頬を強打し、フォルスは倒れた。我に帰って、慌てて助け起こそうとするも手を払いのけられ完全に嫌われてしまった。好きな人の幼馴染に嫌われるなんて最低。
しかし意外や意外、その日の夜にフォルスを殴り倒した女として解放軍中に知られ、興味を持ったパイソンに話しかけられることになった。
「フォルス殴ってよかったわ」
「そう言うことは心にとどめておいた方がいいよ」
にこり、と腹に何か黒いものを感じさせる笑顔でエフィが言った。