prosciutto side


 
「何?私の顔に何か付いてるの?」

先程から隣を歩く袴姿のナマエを見つめていると、ナマエはあざとく首を傾げて上目遣いでオレを見つめ返してきた。

「綺麗だ。黒髪の女だからこそ似合うもんだな」

感心したから素直に褒めてやった。今までナマエを褒めたことなど一度もねえが、今日ばかりは褒めずにはいられなかった。それ程今日のナマエは際立って綺麗だった。
一筋の乱れもなく、真っ直ぐに腰近くまで伸びた艶やかな黒髪をハーフアップにし、煌びやかな花飾りを付けたヘアスタイルと、タイショー時代とかいう昔の女学生の格好はイイ具合に調和している。それにナマエの顔とスタイルによく似合っていた。控えめな顔立ちにスラリとした体躯は混血のいいとこ取りだ。袴は顔が派手すぎず、幾らか身長のある方がよく似合う。

「え……あ、ありがとう……」

ナマエは珍しく照れたように顔を背けた。
そんな態度を取られると、こっちの調子が狂う。ナマエにはいつも通りでいられた方がマシだ。
チームの仲間であるナマエは悪魔に取り憑かれたような女だ。声は馬鹿みたいに高くて甘ったるく、常に上目遣いで、いつも変な角度に顔を傾けながらオレに微笑みかけてきていた。それがモテると勘違いしてんのか知らねーが、ヤバそうな女に見えることは確かで、あんまり関わらねえようにしていた。
だから本当はこんな興味もねえイベントに一緒に参加なんてしたくなかったが、ナマエがつい先日、オレの弟分のペッシを助けたからその礼のつもりでデートに応じた。
実際初めてナマエとデートをして思ったが、ナマエは言葉にあまり気持ちを出さず、行動でもなかなか自己を表現しない女だ。オレへの好意のアピールは馬鹿高い声と上目遣いと、顔を傾け過ぎてんのと、常に笑顔であることだけで、あまりオレに接触しようとはしなかった。オレを惚れさせようと必死な女なら腕を絡めてきて胸を押し当ててくるもんだが、ナマエはそういうことはしないようだ。

「確か全部回りたいんだったよな?」

今歩いている廊下にちょうどあった案内板を見てナマエに聞いた。

「そうね。せっかくだし、全部見たいわ」

「なら、次は見世物小屋だな。不穏な響きだが、蛇男とか出るフリークショーか?」

「多分、幽霊屋敷のことよ」

「幽霊屋敷か……」

この後ナマエにキャーキャー言われて抱きつかれるのだろうか。だとしたら、面倒だ。面倒だが──
ナマエの袴姿をもう一度確認すると、別に行ってやってもいいと思えた。



*



「これは機械仕掛けか?よく出来てんな」

地面から飛び出し、さっきまでナマエの足首を掴んでいた血塗れの青白い手を足で突いた。オレの足を掴もうとわしゃわしゃと指の関節を曲げ伸ばししている。センサーかなんかで反応して手が動くようだ。

「さっきからだんまりでどうした?」

俯き気味のナマエの顔を覗き込むと、ナマエは驚いたように身を引いてオレから距離を取りやがった。
さっきから予想と違う行動ばかり取られてマジに調子が狂う。ナマエはここに入った瞬間から、急に黙り込んで身を縮めていた。アジトでホラー映画を観ていた時は怖がった振りをしていたから、今回も演技かと思ったがどうやら違うようだ。映画で観んのと実際に体験するのとじゃあ怖さが違うようだ。ナマエが地面に埋まる手に足首を掴まれた時、人が殺される時にあげる悲鳴と全く同じ悲鳴をあげていた。演技では無理な悲鳴だ。それに心の底からビビっているような面をしていた。
よくこんなビビりで暗殺なんて仕事をこなしていたなと感心するが、幽霊や悪魔の類は別物ってことなんだろうな。

「なんだ?オレにもビビってんのか?」

「べ、別に……」

オレと視線を合わせようとしない今のナマエはいじらしく見える。普段はオレに対して必死なクセに、マジにビビってる時はこうも真逆の態度を取るとはな。初めてナマエに好感を持てた気がする。

「手ェ握っててやろうか?」

「っ!」

スラックスのポケットに突っ込んだままだった手を出して、ナマエの手を取ろうとすれば引っ込められた。
流石にここまでこっちが歩み寄ってやってんのに拒否られんのは気分が悪い。

「オイ。今日はずっと手を繋ぎたいような面してただろ?何拒否ってんだ?」

「そ、そんな顔してないし……私、今、無理で……」

「ガタガタ言ってねえで、行くぞ。オレが誘導してやっから眼瞑ってろ」

「でも……あっ」

オレを拒否り続けるナマエの手を無理やり掴んで握った。ナマエの手のひらは女にしては温かく、しっとりとしているどころか濡れている感触がする。ナマエが何故手を繋ぐのを拒否った理由がわかったが、指摘する気にはなれなかった。「手が汗まみれだ」なんて指摘したらナマエは暴れてでも手を放させるだろうからな。
ナマエの手を引いて暗く、入り組んだ道を進んでいった。途中、生き物のようなものが顔の前を横切ったり、道の両端に晒されている拷問首が突然足元へ転げて来たりと、気味の悪い演出が続いた。幾らかして出口に近づいて来たのか、遠くに光が見えてきた。が、出口らしきところの手前、道の真ん中に女の幽霊のようなもんがいた。その女の左手が何かで塞がっていて、右手でこっちを手招いている。女がいるせいで道の両端はひとり分の幅しかねえ。

「一旦止まるぞ」

「え?もう出口?」

「オイ。眼はそのまま瞑れ──」

「きゃあああああああ!!!!」

ナマエは人が殺される時にあげるような悲鳴をあげると、オレの手から逃れて来た道へ走りだしたが、地面に蹴つまずいて倒れた。

「大丈夫か?」

砂利の上に突っ伏すナマエに近寄り、助け起こしてやった。

「無理無理無理!もう無理!誰か助けて!!!」

「オイッ!」

オレを置いて再び走り出すナマエの後を追いかけた。ナマエが途中退場口から出るのを見て、数十秒遅れてオレも外へ出れば、ナマエの姿は見えなくなっていた。

「クソッ」

怒りで壁を殴るように手をついた。途中退場口から出るだけでも屈辱だった。「女を最後までエスコートできなかった」ってことだ。その上逃げられたとなりゃあ、あまりにもお粗末過ぎる。

──見つけたらタダじゃあおかねえ。

ナマエを見つけたらどうやってこの屈辱を晴らすかを考えながらナマエを探し回った。



*



見世物小屋から離れた棟の廊下でナマエを見つけ、捕まえた。
どうやらオレを置いて帰る気らしく、袴に似合わねえハンドバッグを持っている。

「離して!これレンタル品だから汚れちゃうと困るのよ!」

ナマエは嫌そうに眉を歪め、オレの掴んだ腕を振り払おうと躍起になっている。
今目の前にいるのが、普段オレに色眼を使っていた女と本当に同一人物かと疑う程オレへの態度が豹変している。何故ここまでオレを嫌がるのか理解できねえが、原因はさっきの見世物小屋で起こったこと以外には考えられねえ。まさか最後までエスコートしてやれなかったからオレへの興味が失せたのだろうか。

「どういう心境の変化だ?オレが頼りなかったのか?」

「そかもね!」

ナマエはそう言った直後、「あっ」と小さく漏らして慌て始めた。

「べ、別に頼りなくないわよ?プロシュートはすっごく頼りになるけど、私があまりにもアレが苦手過ぎて怖かったの……あなたにみっともないところを見られて恥ずかしいから、さっきのことは忘れて欲しいわ!」

ナマエはまるでオレを気遣うように早口で捲し立てた。
最低の気分になった。一連の態度から、ナマエはオレを頼りなく思っているように見える。女にそう思われんのは男の恥だ。ましてや、あんだけオレに媚びてた女に見放されるような態度を取られんのは我慢ならねえ。ナマエに逃げられてから蓄積されていくこの屈辱感を晴らすには、やはりアレしかねえようだ。──もう一度幽霊屋敷に行ってナマエを怖がらせずにゴールする。それしかねえ。

「みっともなくねーし、オレは頼りになる男だ。次は必ずオメーをゴールまで導いてやるから来いよ」

ナマエの腕を掴んでいた手を離し、ナマエの手を取って指同士を絡めるように繋いだ。今度はナマエの手のひらは湿っていなかった。

「私嫌よ!もうあんなところに行きたくないわ!さっきの幽霊怖かったんだから……!」

「オレがいるから大丈夫だ。完璧な方法を考えてある」

「完璧な方法……?」

ナマエは疑っているようだが、どんなに怖がりでも必ずゴールできる方法が確実にあるのは確かだ。
嫌がるナマエの手を引いて見世物小屋の入口に戻った。
2回目の入場料を払い、中に入ってすぐにナマエを横向きに抱き上げた。

「きゃっ!なにするのよ!?」

「これならずっと眼を瞑っていられるだろ?あの女の幽霊の横もオメーが足を引っ込めれば問題なく通れる」

「そうだけど……だからってこれは……!」

「オレに抱き上げられて嫌なわけねーよなァ?」

「嫌じゃあないけど……出口まで遠いでしょ?私重いから保たないかも……!」

「ナメてんのか?ペッシを背中に背負ってもオレなら余裕だ。しっかり捕まってろ」

「……」

オレが歩き出すと、ナマエは観念したように両眼を閉じてオレの首に腕を回してしがみついてきた。顔をオレの胸元に寄せてくる辺り、意地でも周りを見たくないようだ。
ナマエはそんなに重くねえから10分もかからねえ出口まで運ぶのは余裕だ。問題は部屋が暗く、地面が砂利に覆われていて歩きづれえのと、足を捕らえてきたり、宙を横切ったりする仕掛けがあることくらいだ。
幸い一度体験した仕掛けはわかっているから、それを思い出しながら暗い砂利道を慎重に歩き、邪魔くせえ仕掛けを躱していった。それからナマエがさっき逃げ出した要因である、白い着物を着た女のところまで来た。ここからは何が起きるかわからねえが、気にしても仕方がねえからそのまま女の右横の道を通ることにした。女の真横を通り過ぎる時、横眼で女の面を見たが、黒眼の極端に小さい瞳でオレの顔を凝視したまま黙っていた。なんてことはない仕掛けだった。
出口を出れば、係員がナマエを抱えるオレを見て、「愛の力だ」とかなんとか言って大袈裟にオレたちを褒め称えてきてうざかった。

「ナマエ、もう眼を開けて問題ねェよ」

「本当?あっ……」

少しずつ両眼を開けるナマエの様子を見ていると、視線が合い、すぐに眼を逸らされた。またいつもと異なる態度だ。いつもオレに笑いかけてきたり、ジッと見つめてきたりしていたのはマジで何だったんだ。わけがわからねえ。

「運んでくれてありがとう。もう下ろしていいわよ」

「ああ」

ナマエを床に下ろすと、ナマエはオレと距離を取って早速着物や袴の乱れを直し始め、顔を傾け、手で肩にかかる髪を払いのけた。瞬間、室内の照明を全て吸い込んだように輝く、豊かな黒髪が揺れながら束になってナマエの背中へ落ちていく。
ナマエがオレを振り向くのを見て、一連の動作を無意識に食い入るように見ていたことに気づき、視線を逸らした。
視線を逸らしたのは、自分でも認めたくはねーが、オレが見惚れていたという事実を隠す為だった。が、別に逸らす必要はなかった。「綺麗な髪だ」と、褒めればいいだけだ。だから眼を逸らした瞬間に後悔した。これじゃあ、盗み見てたみてーじゃあねーか。

「係員の人が景品選んでいいって」

「オレはいらねえから好きに選べ」

「じゃあ、これにしようかな」

ナマエは和柄のケースに入った木製の櫛を手に取った。髪の手入れに目の粗い櫛がイイもんかは知らねえが、ナマエらしい選択だ。
ナマエが顔を傾け、流れるように落ちていく黒髪に櫛を入れ、毛先まで梳いていく──そんな姿を想像しちまい、いよいよ自分がナマエの黒髪に惹かれていることに気がついて嫌悪した。
ヤバそうな女の一部を好きになることは、あまりにも危険だ。このままナマエに惚れたらロクなことにならねえ。

「さっきは本当にありがとね。かっこよかったわよ」

ナマエはオレを見上げるようにして、弾んだ調子で言う。
また、だ。ナマエの言葉を、オレへの気遣いと捉えちまって苛立った。ナマエがオレを『頼りない男』と言っているような態度を取っていたのをオレはまだ引きずっている。いつもなら、こんな女々しく気にしたりはしねえ。オレは実際頼りになる男で、引く手数多のイイ男だからな。だが、ナマエの言葉の一つ一つを穿った見方で捉えちまうのはなんなんだ。

「次も順路通りに行くぞ」

ナマエの気遣いの言葉に対してはあえて反応せず、ナマエの腰を抱いて誘導した。今日はトコトンナマエをエスコートしてやるつもりで積極的に行動し、オレが『頼りになる男』であることをナマエに見せつけることでしか、この苛立ちは収まらねえ気がした。



*



「何故電話に出ねェんだよッ!オレを試してんのか?それともオレとのデートの後に他の男の家に行ってんじゃあねーだろーな!?言っておくが、もう二度とオメーなんかとデートしねえぞ!こっちが下手に出りゃあいい気になりやがってこのクソビチ女ッ!!!」

家のリビングルームを彷徨きながら、留守電にメッセージを入れてやった。家電と携帯に電話してもナマエが出ねえことにオレは苛立っていた。
今日のデートは見世物小屋でおかしくなっちまったものの、その後のエスコートは完璧だったはずだ。ナマエを家まで送り届けて、家の中に照明が付くのを確認してから帰った。その上最後のフォローとして電話してやったのにナマエは電話に出やがらねえ。わざとなのかなんなのか知らねえが、クソ女にも程がある。
が、流石に言い過ぎた気もしなくはねえ。いや、オレや他の仲間だって口が悪ィからな。こんくらいはナマエも慣れていて平気だろう。問題は、だ。この留守電をナマエが聞いたら、今日オレがナマエをリードし、楽しませようと努力してきたことが無駄になる気がした。そうだ。その努力を無駄にしねえ為にも今の留守電をナマエに聞かせるわけにはいかねえ。



*



夜の10時頃。ナマエが留守電を聞いちまった場合の謝罪用としてナマエへの花束を買い、持参したワインを抱えてナマエの家の玄関前に着いた。家の照明はやはり付いている。付いていなかったら、家に侵入して留守電を消すつもりでいたから、窓ガラスを割る手間が省けてよかった。ここはナマエに家に入れてもらい、ナマエが眼を離した隙に留守電を消せばいい。そもそも、ナマエがわざとオレからの電話を無視して留守電を聞いている可能性はあるが、その場合はナマエが悪ィから問題ねえ。
玄関のインターフォンを鳴らし、扉を軽く叩いた。数十秒して、扉の先で人の気配がした。

「ナマエ、オレだ。入れてくれ」

「プロシュート?」

扉越しにナマエの甘ったるい声が聞こえてきた。

「そうだ。ナマエに用があって来た」

「私、湯船に浸かってたからまだ裸で……待っててくれる?」

「……ああ」

最悪だ。ナマエの裸を想像しちまった。いちいち裸であることを言ってくるあたり、わざとだろう。計算高い女だ。
10分程待たされ、漸くナマエが玄関を開けた。ナマエはバスローブ姿で、髪は濡れてバスローブに張り付き、頬は赤く上気し、鼻先が仄かに赤く染まっている。距離が離れていてもシャボンとフローラル系の清潔な香りが漂ってくる。この10分でまさかシャワーしてきたんじゃあねーか、と疑っちまう程に今シャワーから出てきたばかりみてえな様相だ。

「突然来て悪かったな。オレのことは気にせず髪乾かしてこいよ」

「いいの?私髪乾かすのに30分かかるわよ?」

「幾らでも待つ。これはプレゼントだ」

ナマエに持っていた花束を差し出した。

「ありがとう。私、このお花大好きなの!あ、それワイン?グラス出すからそれ飲んで待ってて」

「それは助かる」

ナマエはリビングルームのソファにオレを案内し、ローテーブルにワイングラスを置くと、バスルームへ消えた。オレはその間にアンティークのキャビネットの上に置かれたナマエの家電を操作し、自分の留守電メッセージを探し出して消した。あとは優雅にワインを飲んでナマエを待った。
マジで30分程してからナマエが戻ってきた。乾かしてもなお濡れたように光る、長い黒髪をわざとのように揺らしながら歩いてくる様子は文句なく綺麗だ。更にわざとのように、見世物小屋の景品である木櫛を手に持っていた。

「待たせてごめんなさい。それで何の用?」

ナマエはオレの隣に座ると、何気なく髪を木櫛で梳き始めた。梳く必要がない程に髪は完璧な状態だというのに、ナマエは豊かな髪を割るように櫛を入れては毛先まで梳いていく。触れれば見た目通りシルクのような手触りがすんだろうか。

「ねえ、聞いてるの?」

いつものように首を傾げるナマエの瞳を見つめた。今初めて気がついたが、ナマエは瞬きすれば水音が鳴りそうな程に瞳まで濡れている。気づけば、ナマエの肩に手を回して顔を近づけていた。
ナマエは嫌がらなかった。同意済みだと思い、唇を重ね、片側に流れるナマエの髪の間に指を差し入れた。髪に指を絡めようとしたが、艶があり過ぎて絡まらなかった。見た目通りの手触りだ。
唇を食み、顔をゆっくりと離し、ナマエの反応を伺うと、ナマエは潤んだ瞳を細め、疑うような顔をしている。

「ねえ、クソビチ女とは二度とデートしないのにこんなことするの?」

「聞いてたのかよ」

若干そんな気はした。ナマエの計算高さは電話に出なくなったあたりから感じていた。もしかしたら、ナマエの策略は見世物小屋でビビった様子を見せた時から始まっていたのかもしれねえが。

「そうよ。電話、無視してごめんなさいね。子供みたいに幽霊を怖がっていたのが恥ずかしくて……それなのに私を見捨てず、最後まで楽しませてくれたから……お礼のいいようがなくて……なんて言ったらわからなくて……」

どうやら、電話に出ねえのは計算された駆け引きじゃあないようだ。だとしたら、留守電についてはオレが悪かった。それに、普段からオレに媚びまくるナマエを多少勘違いしていたようだ。思ったよりヤバい女ではなさそうだ。

「留守電の件は忘れろ。オレの早とちりだ。悪かったな」

「謝罪はいらないわ。でも、その代わり……あなたが頼りになるところ見せてくれる?」

ナマエはシルクのような髪を背中へ払いのけ、オレの腿に手を置いてきた。所作やオレを誘導するような言葉選びにはナマエの計算高さが窺えるが、最早どこからどこまでが計算だとかいちいち考えるのは馬鹿らしくなってきた。

「ああ。今夜も最後まで楽しませてやるよ」

ナマエをソファの上に押し倒し、覆い被さった。

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