sesso riparatore
イルーゾォのコートのポケットから、見覚えのない紐パンがでてきた。
アジトに行く前に寄ったクリーニング屋さんでのことで、顔から火がでそうな程恥ずかしい思いをしてその紐パンを受け取って自分のコートのポケットに突っ込んだ。
怒りと悲しみを抱えながらアジトに着くと、プロシュートとホルマジオがいたので、ふたりに知らない女の子の紐パンを見せて事情を話したら、プロシュートが顔をしかめる一方で、ホルマジオはお腹を抱えて「アヒャヒャハハハハ」と大きな笑い声をあげながらソファに転げた。
「笑いすぎ!」
「だってよォ、普通半同棲中の本命、しかも暗殺稼業の女がいんのに、クリーニングに出させるコートのポケットに女の下着入れるかァ〜?間抜け過ぎんだろ!」
「問題はそこじゃあないの!浮気したことが問題なの!だから、イルーゾォに仕返ししたいから協力して!」
「オレらを巻き込むな」
「プロシュートは冷てぇなァ〜。イルーゾォの前でナマエにキスとかしてやれよ」
「ナマエにキスするくらいなら、その辺の犬のケツにキスした方がマシだ。やるならオメーがしろよ」
「オレは無理だ。おめーがナマエにキスした時のアイツの面を見るので忙しいからな。きっと、間の抜けた顔してんだろうな!クククッ」
一方的にキスの話を出されて、一方的に嫌な断られ方をして腹が立った。まあ、別にイルーゾォ以外とキスなんかしたくないからいいけど。
「で、どっちか私の下着を持っててくれない?」
「オレは断る。仕返しならオメーの能力で痛めつけてやればいい。わざと嫉妬させるような行動する女は嫌いだ」
「別にプロシュートの好みはどうでもいいの!ホルマジオ、私の下着、ポケットにいれてくれる?」
「別にいいけどよォ〜、持ってんのか?」
「今脱ぐ」
「おおう。そりゃあ、いいな」
「そのスカートでか?」
ホルマジオがおどけて見せる一方で、プロシュートは引いたように眉を歪めた。
自分のスカートの丈を確認してみた。今日はニーハイをかっこよく履きこなす為に膝上20センチくらいのスカートにしたけど、そこまで短くはない。
「別に問題ないよ」
「本人がいいっていうならいいだろ。ほら、脱げ」
「流石にここでは脱がないよ!」
手を出して催促するホルマジオから逃げるようにバスルームへ行き、下着を脱いで小さく折りたたんだ。イルーゾォにしか見せたことのない下着を仲間に渡すのは気が引けるけど、全てはイルーゾォが悪いと思えば大胆な行動だってとれる。
「はい。これポケットに入れてさりげなくはみ出させて」
居間に戻ってホルマジオに下着を手渡した。
「これはアイツの趣味か?」
「ちょっと!広げないでよ!!!」
ホルマジオが下着を両手に持って広げるものだから、下着を取り戻そうとすれば、避けられて高々と上にあげられてしまった。快く引き受けてくれたから信頼してたのに、意地悪されて腹が立った。悪態をつきながらホルマジオのジャケットにしがみついて頑張って手を伸ばした。
「あぶねえって。そんなにしがみついてオレに惚れたのかァ〜?」
「揶揄わないで、早くしまってよ!あー、もう!プロシュートも見てないで助けて!」
鹿みたいな大きな瞳の女の子がボンネットに仰向けに寝ている写真が表紙の車雑誌を片手に、私とホルマジオの攻防戦を眺めているプロシュートに助けを求めた。
「オメーはもっとケツを気にしろ。見えてんぞ」
「えっ?プロシュート、私のお尻ずっと見てたの!?この変態!」
「見てねェーよ!今気づいたばかりだッ!つーか、そのデカいケツも下着も前からたまに見えてんだよッ!パンツか丈の長ェスカート穿け!」
「み、見えてたの!?そんなすまし顔して前からずっと私のお尻ばっか見てたの!?」
サッとスカートの後ろに手を当ててお尻が見えないようにした。
「見てねェーって言ってんだろーが!」
「『プロシュートにケツ見られた』つったら、いいんじゃあねーの?アイツならそれだけで怒んだろ」
「それもいいかも──じゃあなくて、早くその下着しまってよ!」
未だに私の下着を高く掲げるホルマジオの腕を叩いた。
「おいおいおい。こえーな……あっ」
ホルマジオが腕を上げて左右に振っていた手を止めた。その隙を狙って手を伸ばすと漸く下着をホルマジオの手から取り返すことができた。
「もう意地悪しないでよね!」
「ナマエ、後ろ」
プロシュートに声をかけられて、言われるままに後ろを振り向いた。
そこにいたのはイルーゾォで、唇を固く結び、私の手にあるものを睨みつける。
「いったいどういうことだ?おれのナマエの下着をふたりで投げ合って遊んでたのか?」
「おい、オレは関係ねーからな。つーか、この下着見てから言えよ」
プロシュートがローテーブルに置いていた例の紐パンを丸めてイルーゾォに投げつけた。それがイルーゾォの体にあたり、パサリと床に落ちる。イルーゾォはそれを見ても特に慌てるような様子を見せない。浮気した癖に余裕があるみたい。
「これはどうでもいい。訳ならあとでナマエに話す。問題は、だ。おめーらふたりは何ナマエを虐めてんだ?」
「だからオレは関係ねえって。ホルマジオに聞け」
プロシュートはそういうと、組んだ脚の上に雑誌を広げて視線を落とした。本当に関わり合いたくないらしい。私のお尻見た癖に。デカいって貶めた癖に。
「ナマエ、フォロー頼む。オレは悪くねえだろ?」
「……そうだね。イルーゾォが悪いんだものね」
私の下着を掲げてみせて揶揄ってきたホルマジオを助けるのは嫌だけど、元をたどればイルーゾォの浮気が発端だからイルーゾォを睨みつけた。
「おれが何をしたっていうんだ?」
「私と付き合ってるのに浮気したでしょ!そこに落ちてる下着が証拠だよ!」
「浮気はしてねーよ。これは確かに女の下着だが、脱がせただけで終わった」
「でも、それって私の知らないところで女の子と会ってたんでしょ?それでそういうことするような仲になったんでしょ?女の子の下着をコートのポケットに入れておいて、浮気してないは通用しないよ!」
「……浮気しようとしてできなかったんだよ」
「やっぱ、浮気じゃん!私のどこが駄目だったの?なんで浮気しようとしたの?」
「……おまえが仲間のこと褒めたから」
「えっ?」
「誰とはいわねーが、弟にしたいくらい可愛いだの、顔がハリウッド俳優みてえでかっこいいだの、意外と美青年だの、意外と優しいだの、筋肉がすごいだの、女心がわかっていてモテそうだの、おれ以外の男ばっか褒めやがるから他の女のところに行こうした!これでいいか?」
「何その小学生みたいな理由!?」
確かに仲間のことについて話すとなると、皆のことが好きなせいか誉めてばかりいるけれど、一番大好きなイルーゾォのこともちゃんと褒めているから気にすることはないはずだ。例えば………………過去に褒めたことがあるのか思い出せないけど、イルーゾォのことは、背が高くて瞳が綺麗で口角のあがった唇がえっちで、ごつごつした輪郭が男らしくて、ずっとみていたいくらい上から下まで全部かっこいい、といつも思っている。
「うるせーッ!それくらいおまえのことが好きなんだよッ!だが、いざとなったら、ナマエの悲しむ顔が思い浮かんでできなかった!他の女じゃあ勃たなかったんだよ!」
「そうなの……?」
「ああ!おまえ以外には欲情できねえ体になっちまった!」
「そっか……じゃあ、仲間のことはもう褒めないから浮気しようとしないでくれる?」
浮気しようと思った時点で嫌だし、女の子の下着を脱がしてそれをコートに入れっぱなしなのも凄く嫌だけど、それ以上していないなら、大目にみてもいいかもしれない。それに私がイルーゾォのことをちゃんと普段から言葉にして褒めてあげたり、愛を伝えてあげたりしていなかったのがいけなかったのかもしれない。
「ああ。二度としねえ。んで、ホルマジオは……いねーし」
イルーゾォと話しているうちに、ホルマジオは姿を消してしまっていたようで見当たらなかった。
「ホルマジオのことは怒らないで。この下着は、イルーゾォが浮気したと思ったから、嫉妬させようとしてホルマジオに一旦渡したの」
「小学生かよ」
「どっちが!?まあ、とにかく仲直りしたからハグしよ?」
仲間の前ではいちゃつき禁止ルールを作ってそれを守っていたけれど、こうやってすれ違いの喧嘩後は別だ。イルーゾォに向かって両手を広げると、近くで雑誌を読んでいるプロシュートのため息が聞こえてきた。
イルーゾォは怒った顔のまま寄ってきて抱きしめてくれた。イルーゾォの体はおっきくてあったかく、えっちな匂いがする。過去に何度も肉体に刻まれた快感の記憶を思い出して下腹部がきゅんきゅんしてきた。
あることを伝える為に背伸びをして、イルーゾォの耳に唇を近づけた。
「あのね、今手にもってる下着が今日穿いてたやつだから、今何も穿いてないの」
「は?何やってんだ?」
イルーゾォは私を抱きしめたまま身を引いて、怒り気味に眉を吊り上げる。
「怒らないで。鏡の中に連れて行って穿かせてくれる?」
イルーゾォは不服そうに舌打ちをすると、黙って私を抱っこして鏡の中へ連れて行ってくれた。
ソファの上に下されてから、ずっと握りしめていた下着をイルーゾォに手渡した。
「穿かせて?」
「その前に確認させろ。あいつらにこの下着触らせたんだろ?」
「触ったのはホルマジオだけだよ?」
「そうかよ。おれを嫉妬させる為に小学生みてえな馬鹿な真似は二度とすんなよ」
「そっちもね。ね、早くして」
ソファの上で脚を広げて見せれば、イルーゾォは怒った顔を和らげて私の誘いに乗ってくれたから、イルーゾォの容姿と性技を言葉にしていっぱい褒めて仲直りをセックスを愉しんだ。