paradiso perduto
※歳上痴女夢主
※変な性癖を植え付けられたギアッチョ
毎年12月になると昔住んでいた家の向かいに住む派手な姉ちゃんを思い出す。根本の茶色いブロンド髪を肩の上で揺らし、下着の見えそうな程短いスカートを履いて、ニーハイブーツから覗く、むっちりとした、それでも骨格の細さを感じられる太腿を道行く男共に見せつけながら歩く、歳上の卑猥な姉ちゃんだ。
何年か前の12月のある日、リンゴ味の飴玉をボリボリ噛みながら家の前の階段に座り、向かいの家の玄関にクリスマスの飾り付けをしているその姉ちゃん──ナマエを見ていると、オレに気が付いたのか道路を渡ってオレの目の前まで来て、「ねえ、君何食べてるの?」と声をかけてきてくれたことがあった。目の前で見るナマエの可愛さと漂ってくる大人な匂いにクラクラして黙っていると、「飴?私も食べたい」と言うのがなんとなく耳に入ってきてポケットから飴玉を探したがなかった。「もうねーよ」とオレがもごもご言えば、ナマエは少し背をかがめてオレの下唇を指でつついて、「口の中のものちょーだい」と言ってきた。当時のオレはナマエが触れてきたというだけでパニックを起こしていて、よくわかっていなかった。ナマエが顔を近づけて来て、気付けばオレの口ン中から噛み砕いてあちこちに散らばっていたはずの飴の破片が一つ残らずなくなっていた。溶けたり、自分で飲み込んだわけではないのはわかっていた。ナマエがオレの口ン中を弄る熱い舌の感覚だけは鮮明に覚えていたからだ。
その後のことはよく覚えてねえが、その出来事が後にオレの性癖に影響したことは確かだ。オレはナマエの所為で噛み砕いた飴を女の口の中へ放り込む性癖を植え付けられた、いわば性被害者になった。そして、オレが付き合う女にそれをする度に振られる所為でオレは未だに無垢のままだ。
「クッソ!今年もおめーと25日を過ごすなんざァ、ごめんだぜェ〜!」
陽が落ちて、赤や青の電飾に彩られた並木路の間に据えられているベンチで抱擁を交わしながらキスをしている若いカップルを見て湧いてきた怒りをホルマジオにぶつけた。
「つっても、もう24日だぜ?今から恋人優先の女を探すのは大変だ。オレ大好きな愛人たちでさえ家族に会いに実家に帰っちまうからな」
「何人女作ってんだよッ!」
「今は3人だな。それぞれ26日からローテーションするぜ」
「良いご身分だなァ〜!クソがッ!まだあそこのカップルキスしてやがんのかよッ!あの唇をあのまま氷漬けにして窒息死させてやりてえぜ〜〜ッ!」
「おもしれーこと考えるじゃあねーか!ついでに小さくするか?」
「それは要らねええ」
オレが断ると、ホルマジオはつまらなそうに唸った。
それから適当に歩きながら女を探したが、殆どが家族連れで、なかなか良さそうな女が見つからねえ。
「適当に明日の分の食材買って帰るか?フルーツにチーズと生ハム、ワインさえありゃあいいだろ?ああ、パンもいるな」
「肉も必要だろォーが!」
「肉は焼くのが面倒くせえよ。ま、ギアッチョがやってくれんならいいか。ついでに芋買ってローストポテト作ってくれ」
「そういうのはおめーの方が得意だろッ!」
ホルマジオは女の為に料理を作ることもあるらしく、手際もいい。「しょうがねぇ〜なァ!」とか言って、去年のクリスマスはメローネも含めた3人分の肉と芋を焼いてくれた。だから、ホルマジオが料理係に相応しい。
結局女漁りはやめて、互いに料理係の押し付け合いをしながら酒屋に入った。
「こんにちは!何を探してるの?」
迎えた店員が綺麗めな女で顔を確認すると、それが記憶にあるナマエの顔とそっくりで、息が止まった。
「赤ワインを20万リラ以内で3本頼む。1本はスパークリングがいいな。いやあ、こんな美人な女性に接客されるとは今日はついてるぜ。彼氏はいんのか?いねえなら、今晩オレと過ごさないか?」
ナマエに似ている女店員を早速ナンパするホルマジオに腹の底から怒りが湧き上がってきたが、それよりも、今目の前にいる女店員がナマエかどうか気になって仕方ねえ。店のロゴが書かれたエプロンを見たが、名札プレートは付いてねえ。
「ナンパー?いないけど、今晩実家に帰る予定だからごめんなさいねー。でも、お兄さんかっこいいから揺らいじゃうわ」
まるで商売女みたいな返しに、益々この店員が、かつてオレの初キスを奪った近所のエロい姉ちゃんに思えてきた。よく見ると、制服の膝丈スカートから覗く脚は網タイツに覆われている。
やっぱり、ナマエなのかと思い、心臓が縮み上がったように脈を速めていく。顔が火照ってきているのか自分でもわかる程、首から上が熱い。
「なら、誘い直す。ウッチェリーナ、オレとふたりで甘い夜を過ごさねえか?家にキミの好きそうなジャズのレコードがある。サックスの音がスゲー官能的だが、残念ながら歌詞がない。キミの甘い声を歌にして聞かせて欲しい」
ホルマジオが聞いているだけで吐きそうな程甘い言葉でナマエを口説く。何が小鳥ちゃんだ。よく仲間の前で恥ずかしげもなく言えるもんだぜ。
「あら、なかなか甘くて上手な誘い文句ね。どうしようかな」
「なら、これはどうだ?レコードの針が盤を引っ掻くように──」
オレの憧れでもあるナマエが口説かれるのをこのまま黙って見ていられるわけもなく、それもムカつく程下手くそな例えを言い出しそうになったから、能力を使ってホルマジオの唇を凍らせた。
「……ッ!」
ホルマジオがオレの首に腕を回し、首を絞めようとしてくるが、関係ねえ。今はこの店員がナマエかどうか調べるのが先決だ。
「ねえ、連れの人どうしちゃったのー?」
「……おまえ、ナマエだよなァ?」
女の問いかけを無視して単刀直入に聞いた。色々考えたが、どうにもナマエを目の前にすると、当時の記憶と相まって緊張して言葉が上手く出てこねェからな。
「えっ?なんで私の名前を……?」
どうやら女は予想通りナマエだったらしいが、オレのことは覚えていない様子だ。
その瞬間、オレは失恋した気分になった。歳下のオレの初キスを奪った上に、変な性癖を植え付けたクセに、オレを覚えてねェのは酷過ぎる。
「なんでもねーよ。ワインはやめた」
「はあ……」
ナマエに背を向けて店の外へ向かった。
「プハァッ!冬場で鼻詰まってんのに、能力使いやがっててめーッ!」
いつの間にか能力を解除していたみてえで、ホルマジオがまたプロレスの技をかけるようにオレの首に腕を回してきたが、特に抵抗せずにいると腕を緩めてそのまま肩に乗せ、「何落ち込んでんだ?」と聞いてきた。
「別になんでもねー……」
店を出て暫くして、ポケットに飴玉があるのを思い出した。変な性癖を植え付けられた所為で飴玉は常に持ち歩いていた。
袋の包みをとって口に放り込み、奥歯でボリボリと噛み砕くと腹の底から怒りが湧き立ってきた。よくよく考えたら、あんだけのことをしておいて忘れたはねえ。
「やっぱ、あの態度は我慢ならねえぜ!あの女ンとこ行ってくるからそこで待ってやがれッ!」
「まさか女を殴んのか?」
「ンなことするかッ!邪魔すんなよッ!」
勢いに身を任せて店内へ戻った。
「こんにちは!って、さっきの方ね。何か買ってくれるのー?」
ナマエがまた出迎えた。朗らかに笑い、少し顎を引いて首を傾げる様子はマジに可愛い。
が、昔オレに妙なことをしておいてオレのことを忘れているのだけはマジに我慢ならねェェ。
油断するナマエの後頭部に手を回し、顎を掴んで無理やり唇を重ねた。何故か暴れられることなく、ナマエの唇の隙間に舌を突っ込んで簡単に開けさせることができ、口内にあった砕けた飴玉の破片を全部唾液と一緒に送り込んでやった。
唇を離せば、意外なことにナマエはリンゴみてえに頬を赤くさせ、瞳を揺らしてオレを見つめている。それから、ゴクリと喉を鳴らして口ン中の飴を溶かさずそのまま飲み込んだようだ。
「ギアッチョくん……?お迎えに住んでた……?」
「これで思い出したのかよ!」
ナマエはコクリと頷いて、しきりに唇に触れ、オレを見つめてくる。
「怒んねーのかァ〜?」
「うん……だって、よかったから……それにギアッチョくん、私のタイプだし」
「なのに忘れてたのかよ!」
「今日コンタクト落としちゃってよく見えなくて……でも、顔近づけて来た時にはっきり見えたわ。それでリンゴの味がして思い出したの……あの時にしたキス、良かったなって」
「その節はよくもガキのオレに妙な真似してくれたなァ〜ッ!」
「えっ?駄目だった?」
「駄目に決まってんだろーが!まだ女と手も繋いだことのねえオレにあんなキスしやがって……!お陰で未だにあの時のキスが忘れられねえんだよ!この時期になるとナマエのことを思い出して、口の中を熱いもんが這う感覚を思い出すんだよッ!」
「嫌だったの?」
「べ、別にそんなこと言ってねーッ!ただ忘れられないってことが嫌でよお〜!」
「じゃあ、私がもっといいキスで上書いて忘れさせてあげる」
ナマエはそう言うと、店内のドアにかけられている看板を"Aperto "から"Chiuso "に変えちまい鍵まで閉めちまった。
「おい。外には連れがいて……」
「待たせればいいじゃない?たったの20分も待てない男はイタリア人じゃあないわよ」
ナマエはそう言いながらエプロンを外して床に落とし、制服の白いシャツのボタンを一つずつ外していく。
「お、おい。何やって……」
ナマエがシャツを床に落とすと、オレは何も言えなくなった。
ぼーっとナマエの下着姿を見ていると、試飲用カウンターの裏に引っ張られて押し倒され、服に手をかけられた。オレはあの日のようにパニックを起こし、よくわからねえうちに再びナマエに口内と身体の芯に熱い感覚を残されると共に、一生忘れられねえような記憶を植え付けられた。
※変な性癖を植え付けられたギアッチョ
毎年12月になると昔住んでいた家の向かいに住む派手な姉ちゃんを思い出す。根本の茶色いブロンド髪を肩の上で揺らし、下着の見えそうな程短いスカートを履いて、ニーハイブーツから覗く、むっちりとした、それでも骨格の細さを感じられる太腿を道行く男共に見せつけながら歩く、歳上の卑猥な姉ちゃんだ。
何年か前の12月のある日、リンゴ味の飴玉をボリボリ噛みながら家の前の階段に座り、向かいの家の玄関にクリスマスの飾り付けをしているその姉ちゃん──ナマエを見ていると、オレに気が付いたのか道路を渡ってオレの目の前まで来て、「ねえ、君何食べてるの?」と声をかけてきてくれたことがあった。目の前で見るナマエの可愛さと漂ってくる大人な匂いにクラクラして黙っていると、「飴?私も食べたい」と言うのがなんとなく耳に入ってきてポケットから飴玉を探したがなかった。「もうねーよ」とオレがもごもご言えば、ナマエは少し背をかがめてオレの下唇を指でつついて、「口の中のものちょーだい」と言ってきた。当時のオレはナマエが触れてきたというだけでパニックを起こしていて、よくわかっていなかった。ナマエが顔を近づけて来て、気付けばオレの口ン中から噛み砕いてあちこちに散らばっていたはずの飴の破片が一つ残らずなくなっていた。溶けたり、自分で飲み込んだわけではないのはわかっていた。ナマエがオレの口ン中を弄る熱い舌の感覚だけは鮮明に覚えていたからだ。
その後のことはよく覚えてねえが、その出来事が後にオレの性癖に影響したことは確かだ。オレはナマエの所為で噛み砕いた飴を女の口の中へ放り込む性癖を植え付けられた、いわば性被害者になった。そして、オレが付き合う女にそれをする度に振られる所為でオレは未だに無垢のままだ。
「クッソ!今年もおめーと25日を過ごすなんざァ、ごめんだぜェ〜!」
陽が落ちて、赤や青の電飾に彩られた並木路の間に据えられているベンチで抱擁を交わしながらキスをしている若いカップルを見て湧いてきた怒りをホルマジオにぶつけた。
「つっても、もう24日だぜ?今から恋人優先の女を探すのは大変だ。オレ大好きな愛人たちでさえ家族に会いに実家に帰っちまうからな」
「何人女作ってんだよッ!」
「今は3人だな。それぞれ26日からローテーションするぜ」
「良いご身分だなァ〜!クソがッ!まだあそこのカップルキスしてやがんのかよッ!あの唇をあのまま氷漬けにして窒息死させてやりてえぜ〜〜ッ!」
「おもしれーこと考えるじゃあねーか!ついでに小さくするか?」
「それは要らねええ」
オレが断ると、ホルマジオはつまらなそうに唸った。
それから適当に歩きながら女を探したが、殆どが家族連れで、なかなか良さそうな女が見つからねえ。
「適当に明日の分の食材買って帰るか?フルーツにチーズと生ハム、ワインさえありゃあいいだろ?ああ、パンもいるな」
「肉も必要だろォーが!」
「肉は焼くのが面倒くせえよ。ま、ギアッチョがやってくれんならいいか。ついでに芋買ってローストポテト作ってくれ」
「そういうのはおめーの方が得意だろッ!」
ホルマジオは女の為に料理を作ることもあるらしく、手際もいい。「しょうがねぇ〜なァ!」とか言って、去年のクリスマスはメローネも含めた3人分の肉と芋を焼いてくれた。だから、ホルマジオが料理係に相応しい。
結局女漁りはやめて、互いに料理係の押し付け合いをしながら酒屋に入った。
「こんにちは!何を探してるの?」
迎えた店員が綺麗めな女で顔を確認すると、それが記憶にあるナマエの顔とそっくりで、息が止まった。
「赤ワインを20万リラ以内で3本頼む。1本はスパークリングがいいな。いやあ、こんな美人な女性に接客されるとは今日はついてるぜ。彼氏はいんのか?いねえなら、今晩オレと過ごさないか?」
ナマエに似ている女店員を早速ナンパするホルマジオに腹の底から怒りが湧き上がってきたが、それよりも、今目の前にいる女店員がナマエかどうか気になって仕方ねえ。店のロゴが書かれたエプロンを見たが、名札プレートは付いてねえ。
「ナンパー?いないけど、今晩実家に帰る予定だからごめんなさいねー。でも、お兄さんかっこいいから揺らいじゃうわ」
まるで商売女みたいな返しに、益々この店員が、かつてオレの初キスを奪った近所のエロい姉ちゃんに思えてきた。よく見ると、制服の膝丈スカートから覗く脚は網タイツに覆われている。
やっぱり、ナマエなのかと思い、心臓が縮み上がったように脈を速めていく。顔が火照ってきているのか自分でもわかる程、首から上が熱い。
「なら、誘い直す。ウッチェリーナ、オレとふたりで甘い夜を過ごさねえか?家にキミの好きそうなジャズのレコードがある。サックスの音がスゲー官能的だが、残念ながら歌詞がない。キミの甘い声を歌にして聞かせて欲しい」
ホルマジオが聞いているだけで吐きそうな程甘い言葉でナマエを口説く。何が小鳥ちゃんだ。よく仲間の前で恥ずかしげもなく言えるもんだぜ。
「あら、なかなか甘くて上手な誘い文句ね。どうしようかな」
「なら、これはどうだ?レコードの針が盤を引っ掻くように──」
オレの憧れでもあるナマエが口説かれるのをこのまま黙って見ていられるわけもなく、それもムカつく程下手くそな例えを言い出しそうになったから、能力を使ってホルマジオの唇を凍らせた。
「……ッ!」
ホルマジオがオレの首に腕を回し、首を絞めようとしてくるが、関係ねえ。今はこの店員がナマエかどうか調べるのが先決だ。
「ねえ、連れの人どうしちゃったのー?」
「……おまえ、ナマエだよなァ?」
女の問いかけを無視して単刀直入に聞いた。色々考えたが、どうにもナマエを目の前にすると、当時の記憶と相まって緊張して言葉が上手く出てこねェからな。
「えっ?なんで私の名前を……?」
どうやら女は予想通りナマエだったらしいが、オレのことは覚えていない様子だ。
その瞬間、オレは失恋した気分になった。歳下のオレの初キスを奪った上に、変な性癖を植え付けたクセに、オレを覚えてねェのは酷過ぎる。
「なんでもねーよ。ワインはやめた」
「はあ……」
ナマエに背を向けて店の外へ向かった。
「プハァッ!冬場で鼻詰まってんのに、能力使いやがっててめーッ!」
いつの間にか能力を解除していたみてえで、ホルマジオがまたプロレスの技をかけるようにオレの首に腕を回してきたが、特に抵抗せずにいると腕を緩めてそのまま肩に乗せ、「何落ち込んでんだ?」と聞いてきた。
「別になんでもねー……」
店を出て暫くして、ポケットに飴玉があるのを思い出した。変な性癖を植え付けられた所為で飴玉は常に持ち歩いていた。
袋の包みをとって口に放り込み、奥歯でボリボリと噛み砕くと腹の底から怒りが湧き立ってきた。よくよく考えたら、あんだけのことをしておいて忘れたはねえ。
「やっぱ、あの態度は我慢ならねえぜ!あの女ンとこ行ってくるからそこで待ってやがれッ!」
「まさか女を殴んのか?」
「ンなことするかッ!邪魔すんなよッ!」
勢いに身を任せて店内へ戻った。
「こんにちは!って、さっきの方ね。何か買ってくれるのー?」
ナマエがまた出迎えた。朗らかに笑い、少し顎を引いて首を傾げる様子はマジに可愛い。
が、昔オレに妙なことをしておいてオレのことを忘れているのだけはマジに我慢ならねェェ。
油断するナマエの後頭部に手を回し、顎を掴んで無理やり唇を重ねた。何故か暴れられることなく、ナマエの唇の隙間に舌を突っ込んで簡単に開けさせることができ、口内にあった砕けた飴玉の破片を全部唾液と一緒に送り込んでやった。
唇を離せば、意外なことにナマエはリンゴみてえに頬を赤くさせ、瞳を揺らしてオレを見つめている。それから、ゴクリと喉を鳴らして口ン中の飴を溶かさずそのまま飲み込んだようだ。
「ギアッチョくん……?お迎えに住んでた……?」
「これで思い出したのかよ!」
ナマエはコクリと頷いて、しきりに唇に触れ、オレを見つめてくる。
「怒んねーのかァ〜?」
「うん……だって、よかったから……それにギアッチョくん、私のタイプだし」
「なのに忘れてたのかよ!」
「今日コンタクト落としちゃってよく見えなくて……でも、顔近づけて来た時にはっきり見えたわ。それでリンゴの味がして思い出したの……あの時にしたキス、良かったなって」
「その節はよくもガキのオレに妙な真似してくれたなァ〜ッ!」
「えっ?駄目だった?」
「駄目に決まってんだろーが!まだ女と手も繋いだことのねえオレにあんなキスしやがって……!お陰で未だにあの時のキスが忘れられねえんだよ!この時期になるとナマエのことを思い出して、口の中を熱いもんが這う感覚を思い出すんだよッ!」
「嫌だったの?」
「べ、別にそんなこと言ってねーッ!ただ忘れられないってことが嫌でよお〜!」
「じゃあ、私がもっといいキスで上書いて忘れさせてあげる」
ナマエはそう言うと、店内のドアにかけられている看板を"
「おい。外には連れがいて……」
「待たせればいいじゃない?たったの20分も待てない男はイタリア人じゃあないわよ」
ナマエはそう言いながらエプロンを外して床に落とし、制服の白いシャツのボタンを一つずつ外していく。
「お、おい。何やって……」
ナマエがシャツを床に落とすと、オレは何も言えなくなった。
ぼーっとナマエの下着姿を見ていると、試飲用カウンターの裏に引っ張られて押し倒され、服に手をかけられた。オレはあの日のようにパニックを起こし、よくわからねえうちに再びナマエに口内と身体の芯に熱い感覚を残されると共に、一生忘れられねえような記憶を植え付けられた。