uva acerba
※プロシュートが嘔吐
※プロシュートの元カノ夢主の今カレがイルーゾォ
※負け惜しみプロシュートが苦手な人は注意
久し振りにストレスからくるような息苦しい吐き気に襲われた。手の甲で口元を押さえたまま、アジトに着いてすぐにバスルームへ向かうと「後ろ髪持っててやろうか?」なんて廊下ですれ違ったホルマジオが茶化すくらいにオレの気分の悪さは外に出ていたようだ。だとすると、あの時オレを見たナマエにもバレてんだろう。屈辱だ。──やべえ。また一段と気分が悪くなってきやがった。
*
口を濯いでリビングへ行くとナマエがいた。何事もなかったかのようにソファでギアッチョとメローネの間に挟まって笑いながら話している。向いにいるイルーゾォとは一切眼を合わす様子はない。
ナマエの姿を見ると、また吐き気がして口の中に酸の味が広がり胸と胃が熱くなる。口内の唾液を飲み下し、具合の悪さを顔に出さねえようにしてホルマジオの隣に座った。
「オレの女が持ってるダイエットピルでも飲むか?吐くより簡単に痩せられるぜ」
「くだらねェ」
ホルマジオの冗談は絶望的につまらない上に腹が立つ。
額に落ちてきた前髪を撫でつけながらナマエを見ると、眼が合い、微笑まれた。ナマエがどんな奴に対しても向ける、いつもの綺麗な笑顔だ。
さっきあったことをまるでなかったかのように振る舞うナマエを見て、一段と気持ちが悪くなった。思い出さないようにするが、どうしてもモーテルの前で見た光景が頭にチラつく。
──今から15分程前のこと。アジトに向かう途中、ギアッチョの車が通りがけのモーテルの前にあるもんだからからかってやろうと乗っていた車を近くに駐めて待っていると、モーテルの部屋から出てきたのはナマエとイルーゾォだった。ふたりは車の前で互いの胃まで舐め合ってんじゃあねーかっつーくらいに濃いキスを交わしてから漸く離れた。ナマエが車に乗り込もうと助手席の方へ回る時、道路の向い側に駐車して様子を見ていたオレに気が付いた。ナマエは驚いたようだったがすぐに笑顔になり、何事もなかったようにそのまま車に乗り込んだ。
──そうだ。ナマエはいつもまるで「何も起きていなかった」かのように振る舞うのが上手い。表情にも態度にも出さねえ。
だから、イルーゾォとそういう仲になっていたことをオレは気付かなかった。それに気付いた瞬間、強烈な吐き気に襲われ、アジトのバスルームに駆け込んだ数分前のことを思い出す。
さっき胃から出せるモンは殆ど吐き出した。最早どんなにえづいても透明な胃酸しか出てこねえ状態だ。今も喉の辺りまで上ってきて気分が悪ィ。頭や胸が締め付けられるように痛えし、体が怠いし熱っぽい。変な病気にかかった気分だ。
*
集会の後、ナマエを呼び止め、他の仲間が全員いなくなるまで待った。意外なことにイルーゾォはあんましナマエのことを気にしてねえようでさっさと帰った。あの野郎のことだから周りに匂わせるくらいのことはすんのかと思っていたが、そうしないってことはナマエと寝てるのを恥だとでも思ってんのだろうか。
最後にペッシがおどおどしながらアジトから出ていき、居間でナマエとふたりになった。刹那、急に世界が変わったように音や臭いが消え、ナマエについてばかり考えちまうし、緊張に身が固くなる。
ナマエを見ると、口元に上品な笑みを刻んだままオレを見つめ返す。明らかにオレが大事な話をしようとしてるっつーのに余裕ぶった態度を崩さないところはいつものナマエらしい。
「イルーゾォとの関係は?」
いつも通りのなんともねえ調子を装って聞いた。オレが動揺してることをナマエに悟られるのは男としてのプライドが許さねえ。
「前置きくらいしてよ」
ナマエは不機嫌そうな声色なものの、相変わらず口元は笑っている。
「さっさと答えろ」
「セフレ、かな?あなたの時と同じよ」
「同じじゃあねェよ。オレたちはちゃんとした恋人同士だったろ?」
「でも、デートしてくれなかったじゃない」
「してただろ」
「つまらないお家デートでしょ?」
「そりゃあ、オメーが外に行きたがらないからだろーが。外デートに誘いはしてただろ」
「……だって、どこ行っても知らない女の子があなたに笑いかけて、その内の何人かはあなたに貰ったアクセサリーを見せびらかせてくるから……あなたには過去の女が多過ぎなのよ」
「そうしてきた女は皆殺しにしてただろ?」
「私が、自分でね。そんな私に愛想尽かしたのはあなたのクセに私がイルーゾォと寝てること気にしてんの?女々しい男ね」
「オメーが他の男とどうなろうが知らねえが、チーム内の男はやめろ」
「……」
ずっと腹の立つ笑顔を貼り付けていたナマエが漸く顔を強張らせた。その表情の変化で、ナマエがオレに未練を持っているのがわかった。つまりは、ナマエはオレへの当て付けでイルーゾォと関係を持っている。
だとしたら、ナマエがイルーゾォと互いの食道を舐め合うようなキスを交わしていたのをオレに見られて笑っていられたことに納得がいく。そもそもナマエがイルーゾォみてえな傲慢の塊で出来ているといっても過言ではなく、人間としてあまりにも未熟な男と純粋な気持ちで遊ぶ筈がねえ。
「……無理よ。イルーゾォと体の相性がいいんだもの」
「やめろッ。聞きたくねえッ」
ナマエの最悪な言葉に対する怒りが一瞬にして腹の底から沸き起こってきたが、震える拳を握り、ブン殴りたくなる衝動をなんとか呑み込んだ。
「なら、もっと聞かせてあげる──」
ナマエはオレの動揺を嗅ぎ取ったのか、調子づいたように口の両端を吊り上げる。
「あの人のすごいのよ。ゴム付けても段差がハッキリわかって、それが浅いところに引っ掻かって……」
「黙れッ!」
「なによ。私のこと振ったクセに、身勝手なこと言わないでよ!」
「オメーの腐った性根が気に入らねえから振ったんだよッ!だが、確かに付き合っていた時は愛していた!今も若干だが、その気持ちは残っている!ヨリを戻すつもりはねえが、チーム内で他の男と寝るのだけはやめろ!」
「最ッ低ッ……!」
「どっちがだ!?おい!待て、どこに行く!?」
ナマエはソファから立ち上がり、オレに背を向けたまま出入口へと向かっていく。
「あなたがいないとこ!!」
ナマエはオレを振り向きもせずに部屋から出て行った。
オレがナマエを振った時もそうだった。あいつは「わかった」と言ってオレに未練を見せることなくすぐにその場を立ち去った。
今思えば、ナマエはあの時泣いていたのだろうか。プライドが高い女だったからそれを隠す為にいなくなるのはわかる。──いいや、もうやめだ。これ以上ナマエの為に時間と感情を注ぎ込むのは無駄だ。オレとナマエは終わったんだ。未来のねえ女に感情を振り回される必要はねえ。
そう思えた時、ずっと続いていた吐き気がおさまった。
*
翌日ホルマジオから話があると言われて行きつけのバーに行けば、ナマエとイルーゾォが仲睦まじくデートをしていたといらねぇ報告をされた。
「仲間の元カノに手を出すのはルール違反だろ?だから、流石にあの野郎もそれなりに気を遣って隠してるらしいが……あいつのナニを小さくして復讐すっか?」
ホルマジオはウィスキーのグラスを片手に、輪っかを作るようにして人差し指と親指の腹同士をくっつきそうな程近づけて見せる。
くだらねえ話だが、イルーゾォのナニがホルマジオの人差し指の腹から親指の腹までの長さに縮まるのはそれはそれでいいかもしれねえ。ナマエがあいつの股間を見て毒を吐く姿が容易に想像できる。
「局部だけ縮めんのはいけるのか?」
「あいつへのストレスを力にすれば、オレのスタンド能力が開花して局部最小化いけっかもなァ〜。ククッ」
「ハッ。あいつのナニが最小化しなくとも、ナマエとイルーゾォはどうせ長くは続かねーよ。ナマエはオレへの当て付けにあいつと寝てるだけだ」
「……」
ホルマジオは何か言いたそうな顔をしたまま黙っちまった。それで気が付いた。今オレが言った言葉はあまりにもダセェ。
オレはまるでどっかの童話に出てくる狐だ。そいつみてえに手に入ることのない物へ負け惜しみみてえなことを言っちまった。
それを理解した刹那、胃から熱いものが込み上げてきた。
「クソッ……」
「後ろ髪持っててやろうかァ?」
席を立ち上がって便所に向かえば、ホルマジオがまた茶化してきたがそれに取り合う余裕はオレにはなかった。
※プロシュートの元カノ夢主の今カレがイルーゾォ
※負け惜しみプロシュートが苦手な人は注意
久し振りにストレスからくるような息苦しい吐き気に襲われた。手の甲で口元を押さえたまま、アジトに着いてすぐにバスルームへ向かうと「後ろ髪持っててやろうか?」なんて廊下ですれ違ったホルマジオが茶化すくらいにオレの気分の悪さは外に出ていたようだ。だとすると、あの時オレを見たナマエにもバレてんだろう。屈辱だ。──やべえ。また一段と気分が悪くなってきやがった。
*
口を濯いでリビングへ行くとナマエがいた。何事もなかったかのようにソファでギアッチョとメローネの間に挟まって笑いながら話している。向いにいるイルーゾォとは一切眼を合わす様子はない。
ナマエの姿を見ると、また吐き気がして口の中に酸の味が広がり胸と胃が熱くなる。口内の唾液を飲み下し、具合の悪さを顔に出さねえようにしてホルマジオの隣に座った。
「オレの女が持ってるダイエットピルでも飲むか?吐くより簡単に痩せられるぜ」
「くだらねェ」
ホルマジオの冗談は絶望的につまらない上に腹が立つ。
額に落ちてきた前髪を撫でつけながらナマエを見ると、眼が合い、微笑まれた。ナマエがどんな奴に対しても向ける、いつもの綺麗な笑顔だ。
さっきあったことをまるでなかったかのように振る舞うナマエを見て、一段と気持ちが悪くなった。思い出さないようにするが、どうしてもモーテルの前で見た光景が頭にチラつく。
──今から15分程前のこと。アジトに向かう途中、ギアッチョの車が通りがけのモーテルの前にあるもんだからからかってやろうと乗っていた車を近くに駐めて待っていると、モーテルの部屋から出てきたのはナマエとイルーゾォだった。ふたりは車の前で互いの胃まで舐め合ってんじゃあねーかっつーくらいに濃いキスを交わしてから漸く離れた。ナマエが車に乗り込もうと助手席の方へ回る時、道路の向い側に駐車して様子を見ていたオレに気が付いた。ナマエは驚いたようだったがすぐに笑顔になり、何事もなかったようにそのまま車に乗り込んだ。
──そうだ。ナマエはいつもまるで「何も起きていなかった」かのように振る舞うのが上手い。表情にも態度にも出さねえ。
だから、イルーゾォとそういう仲になっていたことをオレは気付かなかった。それに気付いた瞬間、強烈な吐き気に襲われ、アジトのバスルームに駆け込んだ数分前のことを思い出す。
さっき胃から出せるモンは殆ど吐き出した。最早どんなにえづいても透明な胃酸しか出てこねえ状態だ。今も喉の辺りまで上ってきて気分が悪ィ。頭や胸が締め付けられるように痛えし、体が怠いし熱っぽい。変な病気にかかった気分だ。
*
集会の後、ナマエを呼び止め、他の仲間が全員いなくなるまで待った。意外なことにイルーゾォはあんましナマエのことを気にしてねえようでさっさと帰った。あの野郎のことだから周りに匂わせるくらいのことはすんのかと思っていたが、そうしないってことはナマエと寝てるのを恥だとでも思ってんのだろうか。
最後にペッシがおどおどしながらアジトから出ていき、居間でナマエとふたりになった。刹那、急に世界が変わったように音や臭いが消え、ナマエについてばかり考えちまうし、緊張に身が固くなる。
ナマエを見ると、口元に上品な笑みを刻んだままオレを見つめ返す。明らかにオレが大事な話をしようとしてるっつーのに余裕ぶった態度を崩さないところはいつものナマエらしい。
「イルーゾォとの関係は?」
いつも通りのなんともねえ調子を装って聞いた。オレが動揺してることをナマエに悟られるのは男としてのプライドが許さねえ。
「前置きくらいしてよ」
ナマエは不機嫌そうな声色なものの、相変わらず口元は笑っている。
「さっさと答えろ」
「セフレ、かな?あなたの時と同じよ」
「同じじゃあねェよ。オレたちはちゃんとした恋人同士だったろ?」
「でも、デートしてくれなかったじゃない」
「してただろ」
「つまらないお家デートでしょ?」
「そりゃあ、オメーが外に行きたがらないからだろーが。外デートに誘いはしてただろ」
「……だって、どこ行っても知らない女の子があなたに笑いかけて、その内の何人かはあなたに貰ったアクセサリーを見せびらかせてくるから……あなたには過去の女が多過ぎなのよ」
「そうしてきた女は皆殺しにしてただろ?」
「私が、自分でね。そんな私に愛想尽かしたのはあなたのクセに私がイルーゾォと寝てること気にしてんの?女々しい男ね」
「オメーが他の男とどうなろうが知らねえが、チーム内の男はやめろ」
「……」
ずっと腹の立つ笑顔を貼り付けていたナマエが漸く顔を強張らせた。その表情の変化で、ナマエがオレに未練を持っているのがわかった。つまりは、ナマエはオレへの当て付けでイルーゾォと関係を持っている。
だとしたら、ナマエがイルーゾォと互いの食道を舐め合うようなキスを交わしていたのをオレに見られて笑っていられたことに納得がいく。そもそもナマエがイルーゾォみてえな傲慢の塊で出来ているといっても過言ではなく、人間としてあまりにも未熟な男と純粋な気持ちで遊ぶ筈がねえ。
「……無理よ。イルーゾォと体の相性がいいんだもの」
「やめろッ。聞きたくねえッ」
ナマエの最悪な言葉に対する怒りが一瞬にして腹の底から沸き起こってきたが、震える拳を握り、ブン殴りたくなる衝動をなんとか呑み込んだ。
「なら、もっと聞かせてあげる──」
ナマエはオレの動揺を嗅ぎ取ったのか、調子づいたように口の両端を吊り上げる。
「あの人のすごいのよ。ゴム付けても段差がハッキリわかって、それが浅いところに引っ掻かって……」
「黙れッ!」
「なによ。私のこと振ったクセに、身勝手なこと言わないでよ!」
「オメーの腐った性根が気に入らねえから振ったんだよッ!だが、確かに付き合っていた時は愛していた!今も若干だが、その気持ちは残っている!ヨリを戻すつもりはねえが、チーム内で他の男と寝るのだけはやめろ!」
「最ッ低ッ……!」
「どっちがだ!?おい!待て、どこに行く!?」
ナマエはソファから立ち上がり、オレに背を向けたまま出入口へと向かっていく。
「あなたがいないとこ!!」
ナマエはオレを振り向きもせずに部屋から出て行った。
オレがナマエを振った時もそうだった。あいつは「わかった」と言ってオレに未練を見せることなくすぐにその場を立ち去った。
今思えば、ナマエはあの時泣いていたのだろうか。プライドが高い女だったからそれを隠す為にいなくなるのはわかる。──いいや、もうやめだ。これ以上ナマエの為に時間と感情を注ぎ込むのは無駄だ。オレとナマエは終わったんだ。未来のねえ女に感情を振り回される必要はねえ。
そう思えた時、ずっと続いていた吐き気がおさまった。
*
翌日ホルマジオから話があると言われて行きつけのバーに行けば、ナマエとイルーゾォが仲睦まじくデートをしていたといらねぇ報告をされた。
「仲間の元カノに手を出すのはルール違反だろ?だから、流石にあの野郎もそれなりに気を遣って隠してるらしいが……あいつのナニを小さくして復讐すっか?」
ホルマジオはウィスキーのグラスを片手に、輪っかを作るようにして人差し指と親指の腹同士をくっつきそうな程近づけて見せる。
くだらねえ話だが、イルーゾォのナニがホルマジオの人差し指の腹から親指の腹までの長さに縮まるのはそれはそれでいいかもしれねえ。ナマエがあいつの股間を見て毒を吐く姿が容易に想像できる。
「局部だけ縮めんのはいけるのか?」
「あいつへのストレスを力にすれば、オレのスタンド能力が開花して局部最小化いけっかもなァ〜。ククッ」
「ハッ。あいつのナニが最小化しなくとも、ナマエとイルーゾォはどうせ長くは続かねーよ。ナマエはオレへの当て付けにあいつと寝てるだけだ」
「……」
ホルマジオは何か言いたそうな顔をしたまま黙っちまった。それで気が付いた。今オレが言った言葉はあまりにもダセェ。
オレはまるでどっかの童話に出てくる狐だ。そいつみてえに手に入ることのない物へ負け惜しみみてえなことを言っちまった。
それを理解した刹那、胃から熱いものが込み上げてきた。
「クソッ……」
「後ろ髪持っててやろうかァ?」
席を立ち上がって便所に向かえば、ホルマジオがまた茶化してきたがそれに取り合う余裕はオレにはなかった。