illuso side



※不愉快系
※えろグロ
※食事中注意
※吐き気を催す話






見知らぬ部屋の見知らぬシャワー室のシャワーヘッドから出てくる湯で口内を濯ぎ、全身をくまなく洗いながら、あるひとりの女の非道さに苛立ちを募らせていた。
そいつはナマエといい、おれの所属する暗殺チームの仲間であり、おれが今まで会った中でも取り分け最低で最悪の女だった。
まずナマエは性癖からして最低最悪だった。ナマエの暗殺したターゲットの死体はそれはひでぇもんで、一度だけ見たことのある死体は睾丸が2つとも潰れ、ペニスが切りとられて死体の口に突っ込まれてた上に亀頭に無数の針が突き刺さっていた。今思い出すだけでも吐き気がする程ひでぇ現場だった。猟奇的シリアルキラーとして歴史に名を残すには十分な犯行現場を毎度作ってはリゾットのやつに怒られていたが、本人はやめるつもりがなく、今後も繰り返すつもりらしい。
そしてその性癖を存分に発揮できるスタンドの能力が何よりもナマエの最低最悪さを加速させていた。ナマエのスタンド能力は危険なあまり、オレたちの仲間はナマエの本体だけを鏡の中に引き入れてからでしか迂闊にナマエに近づけなかった。ナマエに一瞬にして射程距離である50センチまで詰め寄られたら異性は即マインドコントロールされるからだ。
そんなやべー女に興味を持ったおれもやべーけど、仲間である以上殺されねえと確信を持ってナマエに近づいた。マインドコントロールがどんなもんか試して見たくて、ナマエに抱かせろと言ったわけだが、その数秒後には目の前が真っ暗になり、次の瞬間にはおれは最悪な状態で目が覚めた。
その時おれは、眩しい程明るい照明のついた見知らぬ部屋のベッドの上で全裸で四つん這いになっていた。ナマエが全裸でベッドの傍で腕組みをしながら片足立ちで、宙ぶらりんのもう片足の膝を折っておれに足先を向けていて、おれはナマエを見上げながら、差し出された方の足の親指と人差し指に自分の舌を這わせていた。爪に真っ赤なペディキュアの塗られたナマエの足の指は死ぬほど精液臭かった。誰の精液かは明白だが、頭で理解するよりもその味と臭いの気持ちの悪さで吐き気がして、すぐさまシーツの上に唾を履いて、血眼になって洗面台を探し回った。脱衣所で見つけた洗面台に軽く吐き、それからその場にあったアメニティらしき歯磨き粉と水道の水をコップの中に混ぜ合わせて30回以上は口の中を濯ぎ、そのままシャワー室に入って今に至る。
シャワーの湯で何十回目か何百回目かはわらないうがいをしながら、脳内でナマエに何をされたか思い出そうとしても、全く思い出せなかった。
マジで何されたか考えるだけでこえーし、どこの世界に自分の足に精子を出させてそれを本人に舐めさせる奴がいるんだ?思い出すだけで吐きそうだ。ゲボェオエェぇ。
バンバンと強くシャワー室を叩く音にびびって後ろを振り向いた。
ナマエだ。ナマエの全裸の肌色のシルエットが曇りガラスから透けて見える。そういや、目覚めた時、下から見るナマエのアングルは最高だった。下乳のラインと乳首のツンと上を向いたとんがり具合がこう、なんかえろかった。ただそれを思い出すと口の中に自分の精液の味を感じて吐き気がした。やべー。まだ、口内に残ってる感じがする。またシャワーの湯で口の中を流してから後ろを振り向いた。
慎重にシャワー室を少しだけ開けて、後ろに下がった。ナマエを警戒して「近づくな」とシャワーの音でかき消されないように大声で伝えた。

「なによ。近づいて来たのはあなたの癖に」

ナマエは勢いよくシャワー室を開けて、全裸の姿を現し、憤慨したように真っ赤なルージュの塗られた唇を尖らせる。煌々とついた照明下のナマエの全裸は、腰まである長い黒髪とのコントラストでマグノリアの花のような肌の白さが浮き上がり、そりゃあスゲェそそられるが、今は怒りの方が気持ちが上回っている。

「ざけんじゃあねぇーッ!おれはおまえと情熱的なセックスをしたかっただけだッ!おれに一体何をした!?」

「聞きたい?」

艶のある長い黒髪を揺らし、ナマエは切れ長の瞳をさらに細め、唇を薄く横に引く。
ナマエのこういう妖艶な姿に惹かれて近づいたが、まさかナマエの妖艶さよりも先に自分の精液を味わうことになるなんてな。

「やっぱ、言うんじゃあねぇ!マジで気持ち悪りぃーしよォ、まだ吐き気がするぜッ!二度とおれに能力使うなよッ!」

「あら、残念。自分の精液のついた私の足の指を赤ちゃんのように夢中でしゃぶってたのに。あなた、とっても可愛かったのよ?」

ナマエは僅かに肩にかかった黒髪を片手で払いのけて、腕を組む。腕に当たって丸みの帯びた胸が柔らかそうに形を変えた。前までナマエの動作一つ一つがえろく見えていたが、今や不快感が強い。
あー、また口の中に自分の精液の味が……ゲボェェオェェ。

「まあ、いいわ。ホテルは1泊でとって代金払ってあるから、好きに使って。楽しませてもらった分お金はいらないわ。それじゃあ、私は帰るわね」

ナマエはそう言って踵を返して、コーヒーブラウンのヒールの固い音を響かせる。
おいおいおい。まさか──

「おめえ、それ、おれの精液……」

ナマエは長い髪を揺らして顔だけおれを振り向き、唇の端をいびつに歪めてにやりと笑った。
ナマエの反応でおれの精液のついた素足のまま靴を履いていることに気づいた。コイツ頭沸いてんじゃあねーか。

「あら?気づいたの?じゃあ、明日のヒールの色を楽しみにしていてね!」

うふふ、と上機嫌に笑うナマエに鳥肌が立った。どういう意味かよくわからねぇが、なんとなく嫌な予感がした。
翌日、いつものように最初にアジトに着いて、次に来たナマエの本体だけを鏡の中に引き入れてから、他の奴らの集合を待った。ナマエは白のレースワンピースにライラック色のエナメルのヒールを履いていて相変わらずセクシーだが、昨日の所為で全くそそられなかった。それどころか、最低最悪の記憶を口内に思い出して、吐き気を催す。あれから何十回も歯を磨いたが、口の中にあの生ぐせぇ味をたまに思い出す。
ナマエは上機嫌に最近流行りの映画の主題歌の鼻歌を歌っていて、最後に来たメローネを見るとにやりと笑ってタップダンスをするように軽やかにライラック色のヒールの踵を二度床に叩きつけた。
メローネがナマエのヒールを眼に留めた瞬間、床に膝から崩れ落ちて、盛大に嘔吐した。
あのメローネが吐くなんて一体ナマエにどんなことをされたのか、と想像する前に条件反射のように胃から何かがこみ上げて来た。最悪だ。もらい……ゲボェウオェェ。
──ナマエ、てめーはマジで最低最悪な女だな。この吐き気がなくなったら、てめーの黒い濡れた茂みの奥におれの精液をぶちまけて、その余裕そうな顔を涙で歪めてやる。この屈辱はぜってぇ倍にして返しやるからな。


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