no cocue


※夢主ふしだら傾向
※キャラに恋人いる





相手の瞳を見れば、ある程度の感情は簡単に読めた。
瞳に宿る光の鋭敏さやその眦の柔らかさなど、経験からなんとくわかる。だから私を見つめてくる男達が送る秋波を読み間違えることは今まで一度もなかった。
ただプロシュートという男だけは例外で、どうにも彼の瞳からは何も読み取ることができなかった。
彼は私の所属する暗殺チームの一員で、私を見つめる瞳には温かさや冷たさがないどころか何の含みもなかった。代わりにその唇から吐き出す言葉には少しの優しさと棘があり、それでも好意があるのかどうかも見極めづらかった。

「最近梅毒が流行ってるらしい。気ィ付けろよ、ふしだら偽ブロンド」

私がアジトでホルマジオと談笑しながらコーヒーにウィスキーを注ぎ足している時、後から来たプロシュートが教会の前で貰ったというピンク色の表紙のパンフレットをローテーブルに投げて寄越してきた。
ホルマジオはパンフレットを手に取ると、表紙を見るなり膝頭を打ちながらケタケタと笑い出した。ホルマジオは冗談として受け取っているみたいだけど、私はプロシュートの瞳を見ても本気なのかそうでないかは全然わからなかった。

「私は平気。全部避けてきたし、ゴムはいつも持ち歩いてるもの。それに偽ブロンドじゃなくて、これルーティーブロンド。わざと根元から暗くしてるのよ」

「どっちにしろ偽だろ。パンフレットによるとオーラルで感染することもあるらしいぜ」

「マジ……?」

「マジだ」

プロシュートの説明に焦って、ホルマジオからパンフレットを取り上げて見れば、小学生でもわかるような大きな挿絵と少ない文字でそういう説明があった。

「怖っ。気を付けるわ」

「ああ。尻軽女は貰いやすいからな。梅毒で死ぬなよ」

「そうね。暗殺者が梅毒で死ぬだなんて笑えないわ……」

「ナマエが梅毒で死んだらオレは大ウケだけどな……イテッ!」

デリケートな問題にアヒャヒャと笑うホルマジオを思いっきりパンフレットで引っ叩いてやった。

「プロシュート、ありがとう。プロシュートもコーヒー飲む?」

「いや、いい」

プロシュートは私の目の前のソファに座ると、特に何の感興もない様子で私とホルマジオが馬鹿話するのを見ていた。たまにプロシュートと眼が合うけど、その眼からは何も感じ取れなかった。
その数日後、集会の前に寄って行ったバールの立ち飲みカウンターでプロシュートと偶然出会った。
プロシュートの手元には白表紙のパンフレットがあって、さっきその辺のシスターがくれたと言う。どうせ後で私に渡すつもりで貰ったのだと思う。

「これ読んどけ。魂が救われるといいな」

パンフレットには"罪の女"の記述が聖書から抜粋されて書いてあった。

「聖書なんて小さい頃に読んだきりよ?まあこの薄さなら読んでみてもいいけど」

「ふしだら女も聖女になれるってことだからな。今のうちに徳を積んどけ」

「もしかして、私が天国に行けるようにいつも心配してくれてる?」

プロシュートの瞳を覗き込むように見つめた。
妙に色気のある垂れた瞳は薄暗いアジトとは違って、バールでは明るく映る。ただそれだけ。何も読み取れない。

「さあな。どう受け取ろうがオメーの勝手だ」

「そう」

唯一恋愛を含む好意なのか見極められる言葉ではぐらかされたら取り付く島もない。
ウィスキーの物足りないカフェコレットを飲みながら、なにか変化が現れないかプロシュートの瞳を見つめ続けた。プロシュートも私を見つめるけど、特に何も言わない。こっちが気まずくなる。まあ、別に何か話さなくちゃとは思わない。以前から見つめ合うなんてことはよくあったから、気まずいながらも慣れたものだった。そして、いつも私が先に視線を外す。眼を見なければ、プロシュートとの沈黙は心地良い。
今もパンフレットに注意を向ける振りをして視線をカウンターテーブルに落とした。──沈黙。長くてまとわりつく視線を感じるけど、なんてことはない。



*



朝シャワーを浴びていると、後ろで気配を感じて振り返った。プロシュートが入ってくるところだった。
肉に食い込むような鋭く熱い眼差しで私を見つめながら近づいてくる。プロシュートの、彫刻のように均整のとれた美しい肢体に私はボディネットから手に掬った泡を滑らせていく。筋肉で盛り上がった胸から脇腹と手を下ろしていき──
ハッと目が覚めると、ベッドの中で他の男の腕に抱かれていた。
半身を起こして、昨日脱色したばかりの頭を掻き上げた。まずい夢を見た。見ちゃいけない夢だわ。
胸を圧迫するように広がる熱い感覚と、薄寒い背筋、そしてあの美しいブロンドの男の顔を想像すると、惚ける頭と出てくるため息──完全に好きになってる。

「なに?今何時?」

隣にいた裸の男が目覚めたようで、眩しそうに瞳を細めたまま枯れた声を出す。昨晩、この男はイく時に野獣のように唸っていたのを思い出して最低の気分になった。
私は裸を見られないようにサッとシーツを引き上げて胸元を隠した。

「私がシャワー浴びてる間に出て行ってくれる?」

「あー、わかった。そうする。電話番号書いて置いとくからよかったら電話して」

「ええ。じゃあ、シャワー浴びてくるから、ちゃんと忘れ物しないようによろしく」

シーツから抜け出すと、床に落ちていた洋服で体を隠しながらシャワー室まで走った。
シャワーを浴びながら夢の内容を思い出しては夢の続きを見たかったという欲望と、こんな夢を見るなんてという羞恥心、今日からどんな顔をしてプロシュートを見ればいいのかわからなくなった不安感など、複雑な感情で頭がごちゃごちゃになる。
ただ自分のまとまらない感情よりも、一番気になっているのはプロシュートは私のことをどう思っているかだった。
あの瞳からは何の感情も読み取れないし、言葉からは心配してくれてるのかな程度のことしかわからない。少なくともわかっているのは、プロシュートが私を好きであるわけがないということだけだった。
プロシュートには恋人がいて、確か今回は3ヶ月以上は付き合っているとホルマジオが言っていた。大人になってからは最長の付き合いらしく、イベント日の前日に彼女への贈り物を代わりに買いに行かされたという。
プロシュートが彼女のことを好きなら、私への言動は仲間として心配してくれていると受け取るしかない。私をじっと見つめる感情の読み取れない瞳も、きっと自由奔放に生活を送る私を心配しているのかもしれない。
私は彼女から男を奪う程ふしだらじゃないから、今は好きな人に心配されるだけでいいかな。仲間として冗談を言い合ったり、一緒にコーヒーを飲んだり、見つめ合ったり……見つめ合うだけなら別に何の問題もないはず。聖書に出てくるあの髭のサンダルおじさんは、「心の中で姦淫した」と言うだろうけど。



*



同日の夜。ホルマジオとジャズバーの丸テーブルで軽快なジャズの生演奏を楽しみながらチョコレートをつまみにウィスキーを飲んでいると、ついでといって呼んでいたプロシュートが来てくれた。
ちょうどホルマジオにプロシュートのことが好きかもしれないと相談していたから、緊張で固まる私の背中を叩いてホルマジオはお酒を片手に店の奥へ行ってしまう。広い店内には客が多く、ホルマジオの姿は演奏家のコントラバスやピアノといった大型楽器に遮られて見えなくなった。

「ホルマジオの野郎はどこへ行った?」

「さあ……」

緊張しつつも、注文を取りに来た店員にウィスキーをストレートで注文する対面のプロシュートの瞳を見つめた。暖色の灯りの下のプロシュートの瞳はいつもと違う色をしていた。今はそれくらいしかわからない。
注文を取って背を向ける店員から一旦伏し眼になって私に視線を移すプロシュートの仕草に色気を感じて、どきまぎしながら誤魔化すように氷の溶けて薄くなったウィスキーを口に運んだ。

「まあ、どうせナンパだろうな。オメーはナンパしなくていいのか?」

「ええ。暫く他の男はいいかなって……」

「他?」

額にシワを寄せるプロシュートに、口を滑らせたことに気付いて頭を抱えた。

「あー、違うの。違う……」

「何が違うんだ?」

「それより、彼女いるんでしょ?彼女とは本気なの?」

「何故そんな話をオレがする必要がある?」

「恋愛話くらいいいじゃない?」

「……ここではしねえ。仕事の話も恋愛の話もしたくねえ」

初めてプロシュートの瞳に感情の色が浮かんだように見えた。金毛の眉の下の瞳は濁ったように暗い。

「ナンパはいいのかって聞いてきたくせに」

「ありゃ、挨拶程度の冗談だ」

「……私、あなたのこと苦手かも」

こんなにも感情が読めない男は初めてで、最早どう扱っていいのか困ってしまう。私が「好き」といえば、「尻軽かよ」と返されて振られるのか、黙って軽蔑の眼でみられるのか。それすらも読めない。

「なら何故呼んだ?」

「苦手といったのは、あなたのことだけわからないから……えーと、わからないというのはつまり、何を考えてるかってことで、他の人は眼を見ればなんとなくわかるのに、あなただけはわからないのよね」

「オレが何を考えているか判断する為に呼んだわけか?」

「んー、まあ、そういうことになるわね」

「なら、判断してみろ」

プロシュートは片腕をテーブルに置いて、身を乗り出すようにして私を見つめる。
私は感情を読み取られないようにテーブルに肘をついて口元を覆い、プロシュートの瞳を見つめた。
なんだかやっぱりいつもと違う気がする。何の温もりも冷たさもない瞳だったはずなのに今は情熱的で灼けるように熱い色を湛えている。
夢で見たような眼差しに身体に電流が走ったようにびりびりして、背筋が寒く、血管に熱い血が巡る感覚、それから胸を押し潰すような息苦しさを感じた。
嗚呼。私は本当に、プロシュートのことが──

「何かわかったか?」

フッとプロシュートの瞳から感情の色が消えたように様相が変わった。

「うーん……わからないわ……ねえ、プロシュートはわかる?私の感情」

「さあ。見た感じ瞳がいつもと違うのがわかる……指輪のような光の輪が出来ていて綺麗だ……それに熱く、燃えるような……」

プロシュートはそこで言葉を切った。なんとなく、プロシュートには伝わってることがわかって恥ずかしくなった。だったら、粉砕覚悟でプロシュートにはっきり想いを伝えたい。こんな苦しい気持ちを抱えたままは辛いから。

「ねえ、彼女とは本気なの?」

「……言葉一つで関係が終わるって知ってるか?」

「え?彼女に本気か聞いただけで絶交ってこと?」

「違ェよ。例えば、オレが他の女と見つめ合う。好きとは言わない。オレには恋人がいるからな。まあ、恋人には本気じゃあねえがそれなりに好きだし性欲を満たして貰っている分には誠実でいてえから、浮気になるようなことはしねえ……だが、その他の女には秋波を送る。普段は気付かれないように見るだけだが、その場の雰囲気や気持ちが抑えられねえ時とかは思うままに見つめる……愛しい女だと……だが、口に出せば終わりだ。今まで通りの関係ではいられなくなる」

「えっ……」

疑問の声が喉の奥から漏れた。突然過ぎてプロシュートが何を言ってるのかよく理解できなかった。

「オメーならどうする?好きになった男がどうしようもねえ遊び人で色んな女を抱く。そりゃあ、取っ替え引っ替えで仲間もネタにする程だ。困ったことにそいつは魅力的で嫌いになるどころか本気で好きになっちまう。理由はわからないが、何故か惹きつけられる……そいつと寝て想いを伝えれば付き合えるかもしれねえ。互いを愛し合う仲になるかもしれねえ。だが、いざ付き合って浮気されたらどうする?色んな女を抱くやつだ。信用もなければ、保証もない。最初から関わらなければよかったと後悔だけが残る。だったら、余計な交渉を持たずにいた方がいい。失望せずに純粋な気持ちのまま愛し続けられる」

漸くプロシュートのことが理解できた。私のことが本気で好きだけど、私に浮気されるのがわかっているから、最初から関係を持たないことを選んだんだ。
でも私なら好きなら好きと伝えたい。浮気されないように努力もするし、許すことも考える。

「私なら信じて気持ちを伝えるかな……」

「相手が浮気したらどうする?」

「浮気しない場合もあるわよ?」

「しないわけがねえ。どんなに相手が自分の理想であらゆる欲求を満たしてくれても、裏切る奴は裏切る。そいつはそういう奴だ。裏切るとわかっている奴を信じるアホがいるか?」

「なら、我慢できるの?触りたいとか思わないの?」

「触りてえし、その服の下の肉体がどんな曲線を描いているのかも想像する……だが、それだけだ」

「私は我慢できない……」

「だから、オレは見つめるだけを選んだ」

プロシュートの言葉は冷たく、私を突き放すような語調だった。
言葉に詰まっていると、ホルマジオがお酒を片手にひとりで席に戻ってきた。

「あー、クソッ。移民のロシア美女がいると思ったら娼婦だったぜ……1回80万リラふっかけてきやがった」

どうやらナンパがうまくいかなかったらしいけど、笑っているあたり、私の為に一時席を外していただけなのかもしれない。

「何の話してたんだ?」

「言葉に出し過ぎたな……帰る」

プロシュートは席を立って背を向けてしまう。

「おう、またな。今度女紹介してくれよー……で、どうだった?」

ホルマジオは能天気に聞いてくるけど、余裕のない私は無視して、店員がのろのろと運んできたプロシュートのウィスキーを手に取って一気に煽った。
その少しの間に追いかけるか迷ったけど、その場に縫い付けられたように動けなかった。気付いたらサックスの官能的な音色が耳に入ってきて、急な吐き気に襲われた。

「ホルマジオ……そのジャケットいくら……?」

「確か90万リラくらいだったが……顔色悪いぞ。大丈夫か?」

「90万リラ払うから貸して」

「寒いのか?タダで貸してやるよ……って、オイッ!」

心の中で謝りながら、ホルマジオのジャケットに戻した。



*



翌日からプロシュートは私に全く構わなくなった。前は尻軽とか、アバズレとか、ふしだら女って呼んできたのに今は「おい」とか、便宜的に名前を呼ぶだけで、仕事以外の会話がなくなった。プロシュートと眼が合うことも一切なかった。
あの日送られてきた秋波だけで胸を高鳴らせていた瞬間がどれ程幸福なのかを思い知ったけど、もう遅かったみたい。私が余計なことを聞いたせいで終わった。
それでも私の気持ちには終わりがないから、プロシュートのことを想いのこもった瞳でいつも見つめていた。
あの日から私は夜の時間を遊びに使うのはやめて、家で大人しく聖書やフランスの恋愛小説を読んでみたりした。聖書には良いマリアとふしだらなマリアとよくわからないマリアがいっぱいいて、フランスの小説には姦通する奥さんが多かった。
そんな生活が半年続いたある日、アジトでプロシュートとふたりきりになる機会があった。
次の任務で一緒に行動するから、数時間後に赴く任務の作戦を練ることになっていた。けど、私は決して眼を合わせようとしないプロシュートを睨む勢いで見つめ続けた。

「それでオメーは……」

「いくじなし」

「は?」

気づかない振りをするプロシュートに耐えきれなくて煽るようなことを言えば、プロシュートは漸く私の方を見てくれた。依然、ちゃんと私の眼は見てくれないけど。

「手を出さないなら、私のこといやらしい眼で見ないで」

「見てねェだろ……」

「見てる。今も見てる。眼合わせてくれないけど」

「……精神病棟から逃げ出してきたのか?通報するから病院の番号教えてくれ」

「あなたとあのジャズバーで話してからこの半年間誰ともえっちしてない」

「それで気が触れたのか?可哀想だな」

「ううん……これだけ努力してるのに好きな人に見向きもされていないのが辛いの」

「見てなかったってわかってんじゃあねえか」

「あ、今見た。見てる見てる。やだ、胸も一瞬見たわね」

「……アホか」

「どっちがアホなの?勝手に人のこと決めつけて、勝手に人の夢に入り込んできて、勝手に振って。試してみればいいのに!」

「本気だからこそ、駄目だった時のダメージがデケェ。リスク回避をしたまでだ」

「まだ私のこと好き?」

「さあな。作戦はなしで臨機応変にいくか……それともこの任務から降りるか?」

「降りない。ねえ、私本気で好きになった男には一途なのよ。この半年間あなた以外の男を見てないの。気付いてた?」

「現地集合にするか。解散だ」

またあの日のようにプロシュートは席を立って行ってしまった。今追いかけたって何も変わらないのはわかっているから大人しく数時間後の任務に備えることにした。



*



死を感じて生を知る──まさにそんな状況だった。
港の倉庫でターゲットに危うく殺されかけた私とプロシュートは無事任務を終えたものの、プロシュートのスタンド能力で中途半端に老化した上に私のスタンドの能力でその場で生産された拳銃で頭を撃ち抜かれて死んでいるターゲットの横にふたりして並んで座り込んでいて、肩で息をして荒い呼吸を整えていた。

「生きてる……」

「ああ……」

「よかった……死ぬかと思ったわ……プロシュートも生きててよかった……あなたが死んだら私……」

立てた膝に腕を置いて俯いていたプロシュートがこっちを向いた。乱れた前髪で左眼が隠れているけれど、右眼は服を透いて皮膚に食い込んでくる程鋭い眼差しで、息を呑んだ。

「ナマエ……」

僅かに動いたプロシュートの唇から掠れて低く響く声にぞわりと背筋が震えて胸が詰まった。
プロシュートの燃えるような熱い眼差しを受けとめて、私も想いの篭った眼差しを返すと、後頭部に手を添えられて唇を重ねられた。吸い付くようなキスで短かったけど、それだけで胸が高鳴り、じんわりと喜悦に満たされる。

「……愛してる」

「それは浮気相手として?」

言った後で自分の可愛げの無さを呪いたくなった。
あんなに恋愛に関して誠実であろうとしたプロシュートが軽々しくその言葉を使うわけがないのに。だけど、どうしてもプロシュートの恋人のことが頭の隅にちらついて聞かずにはいられなかった。

「恋人として、だな。ナマエが認めるなら」

「別れてたの?」

「ああ……オレが愛してねえのがバレてたみてえで、数ヶ月前に振られたよ」

「そうなのね……ねえ、いつ死ぬかわからない人生だし、今のうちにあなたといっぱいキスがしたいんだけど」

「キスだけでいいのか?」

「あなたが我慢できないなら身体の方も」

「言ってろ」

プロシュートが唇の両端を吊り上げると、両手を私の髪に差し入れて頭を支えながら口付けてくれた。
何度も角度を変えたり強弱をつけたり──深く交わる唇に脈が速まり、我を忘れる程夢中になっていく。
冷たい地面に押し倒され、視界の隅に映ったターゲットの死体にハッと我に返ったけれど、先刻に自分達の死を前にして燃え上がった炎を消す程には至らなかった。

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