pepe le moko �U
※プロシュート視点
女ってのは皆同じもんだと思っていた。容姿や性格に差こそあれ、どの女もオレを見る眼に媚を含んでいた。これは決して自惚れじゃあねえ。例え女がオレを好きにならずとも、少なからずオレをそういう眼で見てくる。だが、ナマエという女だけは違った。
ナマエは最近オレの所属する暗殺チームに双子の姉と共に加入してきた元他の地区にいた女だが、そいつは最初からオレに興味がねえのかオレに視線を向けることが殆どないどころか、自分の姉しか見ていなかったようだ。言動からもオレ個人を見ているようには全く感じられず、最悪なことにオレの名前を他の仲間と間違えることまであった。
生まれて初めて女に名前を間違えられた時、オレは自尊心を傷つけられたと感じた。そして、その自尊心の傷を癒すのに、ナマエにオレへの興味を持たせる為ならなんでもすると決めた。
だが、どんな行為をもってしてもナマエはオレに興味の欠片すら抱かず、終いにはオレの方がナマエのことを考えてばかりいて、気付いたら惚れていた。馬鹿馬鹿しい惚れ方だが、よくよく考えればナマエにはそれなりの女としての魅力があり、我儘な姉を支える健気なところはオレの好みだった。つまるところ、ナマエに惚れて悪いことはなにもなかった。まあ問題があるとすれば、ナマエはチームのリーダーであるリゾットに惚れたってことくらいだな。
ナマエへの恋愛感情を自覚してからは、興味のねえ姉の方に声を掛けるのはやめて、ナマエに構うようになったのだが、それでもナマエはオレの存在すらたまに忘れていやがった。一度ナマエがこっそりとアジトを出て行った後を追いかければ、「アジトにいましたっけ?」と抜かしやがった。そん時は流石のオレも頭にキたが、なんとか冷静を保った。
その後も散々頭にクるようなことをナマエに言われたが、オレはナマエの言動なら全て許せた。そうだ。今、ベッドの上でオレの腕の中で泣きながら抱かれていることだって許せる。
「プロ、シュート、さんっ……ううっ……っ……ぁ……」
ナマエははしたなく開脚してオレを受け入れてるっつーのに、手の甲で何度も涙を拭いながら、オレから顔を背けていた。
ナマエが泣いている理由はリゾットのことだろう。姉が今頃リゾットとよろしくやってるってのに、自分は好きでもねえ男とヤってんのに耐えられねえんだろう。オレの方に傾いたのだってリゾットが原因のクセしてな。
アイスクリーム屋に寄った後にのこのこオレの家に来て、キスを受け入れ、愛撫を受け入れ、オレを受け入れた筈が今更拒否するとは本当にこいつは酷ェ女だ。
「そんなにオレに抱かれんのが嫌なのか?」
「ごめん、なさいっ……」
「謝らなくていい。嫌ならやめる」
「ごめんなさいっ……」
どっちにしろ、好きな女に泣かれて中折れしかけていた。ナマエから性器を抜いて、ベッドサイドテーブルに手を伸ばしてティッシュ箱から数枚ティッシュを取ってナマエの顔を優しく拭いてやった。
抱いた女に嬉し泣き以外で泣かれるのは初めてで、それが好きな女に嫌がられて泣かれたわけだから結構胸にクるもんがあった。
恋愛なんてもんは10代の頃にし尽くした。この歳になると、どんな美女を前にしても緊張して胸の鼓動が速まることはなくなった。女との絡みは全て性処理の作業になっていた。
だが、オレは今恋愛ってもんを久し振りにしている。それも悲恋ってやつだ。常に女を選ぶ側にいて、まともな悲恋ってのは、ガキの頃に勉学を優先されて算数の時間に彼女にフラれたことぐらいしか経験したことがねえから、大人になった今、思いの外胸が痞えることに驚いている。まるで病気みてえに息がしづれえ。
ナマエの涙に濡れた顔を拭き、ナマエの頭を撫でたり腕を摩ったりしていると、ナマエはやっと落ち着きを取り戻した。
「プロシュートさん、ごめんなさい」
「だから、謝んなよ。弱ってるオメーに付け入ったオレが悪りィ。ダセェことしたと思ってる」
「プロシュートさんはダサくないです……」
「初めてオレを褒めてくれたな」
「そんな……」
「オメーがオレに興味ねえのは知ってる。だから、オレがオメーに興味を持って貰えるように努力する。これは早過ぎたな……食事からやり直せるか?」
「はい……食事からなら……」
ナマエの前向きな返事に安心して、ナマエの手を握った。ベタベタ体に触んのは嫌がられるだろうが、手を握ることに関してはナマエから嫌がる素振りは見られなかった。
「ナマエが姉と仲直りすんのもオレが手伝うし、リゾットのことで傷つく度にオレが癒す」
「プロシュートさん……」
「いつか姉妹でアイス食うんだろ?まだこれから幾らでも時間がある。時間をかけてリゾットのことはオレが忘れさせてやる。そしたら、姉と向き合えるか?」
「……はい……プロシュートさんって本当に優しいんですね」
「好きな女にはな」
「……私、プロシュートさんに手を握られるの好きです」
「そりゃあ、嬉しいな」
ナマエはさっきまで泣いてオレを拒否していたが、言葉からは前向きにオレとの関係を考えているように感じた。
ナマエのことだからそう簡単にあいつのことを忘れないのはわかっているが、ナマエの前向きな姿勢には期待できる。だがその数時間後に寝ていると、ナマエのすすり泣きで眼が覚め、あいつの名前を口にしていたのが聞こえちまってその期待も不安に変わった。
「ナマエ……」
「……ぁっ……ぅ……ごめん、なさい……」
泣いているナマエを後ろから抱きしめ、名前を呼びながら愛を囁き、肩口に口付けてもナマエは夜通しオレに背を向け続け一度も振り返ることはなかった。
いつかアイスにまつわる姉とのいざこざを話すとナマエは言った。そのいつかは一生来ねえかもしれねえが、息苦しそうな呼吸を続けるナマエの手を握れば、頼りねえが、確かに力の籠もった手でオレの手を握り返してくれた。
→risotto side
女ってのは皆同じもんだと思っていた。容姿や性格に差こそあれ、どの女もオレを見る眼に媚を含んでいた。これは決して自惚れじゃあねえ。例え女がオレを好きにならずとも、少なからずオレをそういう眼で見てくる。だが、ナマエという女だけは違った。
ナマエは最近オレの所属する暗殺チームに双子の姉と共に加入してきた元他の地区にいた女だが、そいつは最初からオレに興味がねえのかオレに視線を向けることが殆どないどころか、自分の姉しか見ていなかったようだ。言動からもオレ個人を見ているようには全く感じられず、最悪なことにオレの名前を他の仲間と間違えることまであった。
生まれて初めて女に名前を間違えられた時、オレは自尊心を傷つけられたと感じた。そして、その自尊心の傷を癒すのに、ナマエにオレへの興味を持たせる為ならなんでもすると決めた。
だが、どんな行為をもってしてもナマエはオレに興味の欠片すら抱かず、終いにはオレの方がナマエのことを考えてばかりいて、気付いたら惚れていた。馬鹿馬鹿しい惚れ方だが、よくよく考えればナマエにはそれなりの女としての魅力があり、我儘な姉を支える健気なところはオレの好みだった。つまるところ、ナマエに惚れて悪いことはなにもなかった。まあ問題があるとすれば、ナマエはチームのリーダーであるリゾットに惚れたってことくらいだな。
ナマエへの恋愛感情を自覚してからは、興味のねえ姉の方に声を掛けるのはやめて、ナマエに構うようになったのだが、それでもナマエはオレの存在すらたまに忘れていやがった。一度ナマエがこっそりとアジトを出て行った後を追いかければ、「アジトにいましたっけ?」と抜かしやがった。そん時は流石のオレも頭にキたが、なんとか冷静を保った。
その後も散々頭にクるようなことをナマエに言われたが、オレはナマエの言動なら全て許せた。そうだ。今、ベッドの上でオレの腕の中で泣きながら抱かれていることだって許せる。
「プロ、シュート、さんっ……ううっ……っ……ぁ……」
ナマエははしたなく開脚してオレを受け入れてるっつーのに、手の甲で何度も涙を拭いながら、オレから顔を背けていた。
ナマエが泣いている理由はリゾットのことだろう。姉が今頃リゾットとよろしくやってるってのに、自分は好きでもねえ男とヤってんのに耐えられねえんだろう。オレの方に傾いたのだってリゾットが原因のクセしてな。
アイスクリーム屋に寄った後にのこのこオレの家に来て、キスを受け入れ、愛撫を受け入れ、オレを受け入れた筈が今更拒否するとは本当にこいつは酷ェ女だ。
「そんなにオレに抱かれんのが嫌なのか?」
「ごめん、なさいっ……」
「謝らなくていい。嫌ならやめる」
「ごめんなさいっ……」
どっちにしろ、好きな女に泣かれて中折れしかけていた。ナマエから性器を抜いて、ベッドサイドテーブルに手を伸ばしてティッシュ箱から数枚ティッシュを取ってナマエの顔を優しく拭いてやった。
抱いた女に嬉し泣き以外で泣かれるのは初めてで、それが好きな女に嫌がられて泣かれたわけだから結構胸にクるもんがあった。
恋愛なんてもんは10代の頃にし尽くした。この歳になると、どんな美女を前にしても緊張して胸の鼓動が速まることはなくなった。女との絡みは全て性処理の作業になっていた。
だが、オレは今恋愛ってもんを久し振りにしている。それも悲恋ってやつだ。常に女を選ぶ側にいて、まともな悲恋ってのは、ガキの頃に勉学を優先されて算数の時間に彼女にフラれたことぐらいしか経験したことがねえから、大人になった今、思いの外胸が痞えることに驚いている。まるで病気みてえに息がしづれえ。
ナマエの涙に濡れた顔を拭き、ナマエの頭を撫でたり腕を摩ったりしていると、ナマエはやっと落ち着きを取り戻した。
「プロシュートさん、ごめんなさい」
「だから、謝んなよ。弱ってるオメーに付け入ったオレが悪りィ。ダセェことしたと思ってる」
「プロシュートさんはダサくないです……」
「初めてオレを褒めてくれたな」
「そんな……」
「オメーがオレに興味ねえのは知ってる。だから、オレがオメーに興味を持って貰えるように努力する。これは早過ぎたな……食事からやり直せるか?」
「はい……食事からなら……」
ナマエの前向きな返事に安心して、ナマエの手を握った。ベタベタ体に触んのは嫌がられるだろうが、手を握ることに関してはナマエから嫌がる素振りは見られなかった。
「ナマエが姉と仲直りすんのもオレが手伝うし、リゾットのことで傷つく度にオレが癒す」
「プロシュートさん……」
「いつか姉妹でアイス食うんだろ?まだこれから幾らでも時間がある。時間をかけてリゾットのことはオレが忘れさせてやる。そしたら、姉と向き合えるか?」
「……はい……プロシュートさんって本当に優しいんですね」
「好きな女にはな」
「……私、プロシュートさんに手を握られるの好きです」
「そりゃあ、嬉しいな」
ナマエはさっきまで泣いてオレを拒否していたが、言葉からは前向きにオレとの関係を考えているように感じた。
ナマエのことだからそう簡単にあいつのことを忘れないのはわかっているが、ナマエの前向きな姿勢には期待できる。だがその数時間後に寝ていると、ナマエのすすり泣きで眼が覚め、あいつの名前を口にしていたのが聞こえちまってその期待も不安に変わった。
「ナマエ……」
「……ぁっ……ぅ……ごめん、なさい……」
泣いているナマエを後ろから抱きしめ、名前を呼びながら愛を囁き、肩口に口付けてもナマエは夜通しオレに背を向け続け一度も振り返ることはなかった。
いつかアイスにまつわる姉とのいざこざを話すとナマエは言った。そのいつかは一生来ねえかもしれねえが、息苦しそうな呼吸を続けるナマエの手を握れば、頼りねえが、確かに力の籠もった手でオレの手を握り返してくれた。
→risotto side