「翔太、お待たせ」
11月4日、23時55分。
俺は今真衣と二人で、俺の家にいる。
お風呂を済ませた真衣がリビングに入ってきて、その姿を見て思わず口角が上がった。
「それ、着てくれたんだ」
「………翔太が言ったんでしょ」
真衣が着ているのはもこもこした素材のパジャマで、俺が前にプレゼントしたやつ。
ちなみに下はショートパンツなので、真衣の細くて綺麗な脚が丸出しになっている。
「今日はこれ着て!」とお願いすると、ちょっと嫌そうにしていたが何も言わずに頷いてくれた。
「可愛い。来て?」
「ん…」
ソファで腕を広げると、少し恥ずかしそうにしながらも素直に近付いてくれた。
近くに来たところで腕を引いて、向かい合った状態で膝に乗せて座らせる。
「……ねえなんで膝なの」
「いいじゃん。それよりマジでめっちゃ可愛い。足寒くない?」
「ん…大丈夫」
女の子だから足を冷やすことはしたくないんだけど、やっぱり生足は見たいじゃん?
部屋は暖かくしてあるので、大丈夫という言葉に甘えてそのままでいてもらおっと。
「ふふ、」
「なに?」
「んーん。やっぱりこの髪色、好きだなぁって」
そう言って、真衣がふわりと俺の頭を撫でた。
俺は今わりと明るめの茶髪にしていて、染めた時からずっと「似合っている」と言葉にして褒めてくれている。
正直とても嬉しいのだけれど、少し意地悪をしたくなったので、俺の髪を撫でる真衣の手を取って、そのまま指を絡めて問いかけた。
「髪色が好きなの?……俺は?」
顔を近付けると、真衣の頬が染まった。
普段しっかり者で、どちらかと言えば俺たちのことを引っ張ってくれるような存在の彼女が、俺の前ではこんな表情を見せてくれることが純粋に嬉しいと思う。
「……俺のこと、好き?」
唇が触れそうな距離まで近付いて、目を合わせる。
真衣の瞳が俺を捉え、そして小さく呟いた。
「…………だいすき、っん、!」
たまらなくなって、思わずキスをした。
大好き、は反則だろ。
右手は指を絡めたまま、左手で真衣の後頭部を押さえて逃げられないようにする。
………本当に、愛が溢れて止まらない。
「ん、っしょう、」
「っは、」
「しょ、た…っ、ん、んぅ、っ!」
正直キスだけで終わりたくない。
今すぐにでも押し倒して、全部愛したい。
けれど今日に関しては、もう少しだけ我慢する。
「も、っ日付、変わっちゃう…!」
「んはは、ごめん」
真衣の言葉に時計を見ると、23時59分。
そう、あと少しで俺の誕生日。
毎年俺の誕生日には前日から一緒にいてもらって、日付が変わった瞬間、一番におめでとうを言ってもらっている。
これは俺のわがままだったけど、真衣は何があってもこのお願いを優先してくれて、今まで一度も断られたことはない。
誕生日の日に、世界で一番好きな子に、その日最初に面と向かっておめでとうを言ってもらえるなんて、本当に幸せすぎない?
そして、日付が変わった。
「……翔太。お誕生日、おめでとう」
「うん。今年もありがとう」
0時ちょうど。
今年も真衣からのおめでとうをもらえたことが、何より嬉しい。
「翔太。……大好きだよ」
なんて言われたら、もう我慢の限界。
今年も無事に0時ちょうどのおめでとうをもらえたことだし、あとは愛し合うとしますか。
「俺も、世界で一番大好き」
誕生日だから、俺が満足するまで付き合ってね?真衣。