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「あっ、ぁん、グズマさまっ……やっ」

その男らしく角張った大きな片手で、ベッドに仰向けに倒れ込んだ私のロングスカートを大胆にめくり上げるグズマさま。視界の一部が深緑色の布一枚で遮られた向こう側から、ばちゅ、ばちゅ、激しい水音が絶え間なく聞こえてくるのが、今の私にとってはとてもとても大変なことで、頭の中がぐるぐるになって仕方がない。
今日はグラジオさまから申し付けられた言いつけを守ろうと一日お部屋で大人しくしておりましたのに、突然ボスであるグズマさま直属の部下の方がお見えになったかと思えば、差し出されたお茶菓子に睡眠作用のあるお薬が混入されていたとはちっとも気づかず、気づいた時にはあの時お仕置されたベッドの上で、私はまたはしたない格好でグズマさまの手中に収められていたのでした。

「だ、だめですっ……こんな、の、ぁ、っグラ、オさまに、怒られちゃ……っ」
「ああ、怒られっかもなぁ」
「だか、らっ」
「だからやめろって?」

連続して腰を打ちつける彼のせいで全身が私の意思に反してびくびく痙攣して、数を重ねる度に思考力を奪っていくから上手く喋ることができないけれど、グズマさまは私が言いたいことは分かってくれているようだ。それなのに動きを止める気配はちっともなく、それどころか中途半端に開いていた私の太ももを上からぐぐぐと押し込んで、

「なまえ」

近くで名前を囁かれた瞬間、ぞくぞくと背中を何かが駆けめぐり、視界がぱちぱちして意識が不明瞭になる。そこをグズマさまは無遠慮に私の顔に手を伸ばして、前髪をぐしゃりと掴んでしまった。

「誰に物言ってんだ」

ばちゅん、ぐちゅぐちゅ

「っあ!!♡……ち、ちが、……っ」
「何が違う?」
「ご、ごめ、なさ、っあ、ぁ♡」
「あ?」
「っうぁ、あ、ゆるして、くだっ…♡」
「何がっつってんのに」

私の必死のお願いがうっかり彼の琴線に触れてしまった。グズマさまはもっともっと本気を




ふらつく足でシャワーを浴び、しっかり身を清めてからお部屋に戻ると、グズマさまは先程とは比べ物にならないくらい優しい手つきで髪の毛を乾かしてくれた。さっきまで私があんなことになっていた奥の寝室は今は扉が閉まっていて、思い出すとなんだか恥ずかしいから気にしないように目を逸らしていたり泳がせていたり。

「失礼します」

少しして、お仕事終わりのグラジオさまがボスへのご報告のためにお部屋に入ってきた。私がここにいると分かると少し驚いたような顔をして、同時に訝しげにこちらに視線を送るグラジオさま。
さっきまであったことはなんとしてでも秘密にしておかないと。そうじゃないと、どんな罰を与えられるか分かりません。緊張しながら立ち上がって彼の元に駆け寄ろうとすると、何故かグズマさまが阻止するようにするりと腰に手をまわして私の体を引き寄せた。
それから顔を近づけて、吐息を感じるところまで密着してから

「くく、ごちそうさん」

なんて、意味深なことを言うものだから、そんなグラジオ様の目の前で怪しまれるようなことをおっしゃらないでくださいと、そうやって慌てて弁解しようとした瞬間。
グラジオさまが胸元に隠し持っていたナイフが、私の頭の上すれすれのところを空振りしていった。

「あっ……」

グズマさまは当たり前のように仰け反ってナイフを避け、その後の連続攻撃も的確に受け流していく。グラジオさまは一通り


「なまえ、何か俺に言うことは?」
「あ……のっ、」
「二度言わせるな」
「グラジオさま、わ、わたしはっ」

ふいに、彼が私の頬に手を添えて、髪の毛をめくるように手を動かした。そして指先で首元に触れ、何故かその部分が憎たらしくてたまらないとでも言うように指でぎゅうと摘まれたものだから、つい体を震わせてグラジオさまの腕を掴む。

「……ぁ、」

彼の薄暗い深緑の瞳はじっと私を見下ろしていた。

「……わ、わたくしは、主さまの言いつけを破り、部屋を出て、グズマさま、に、体を、ゆるし……」

涙ぐみながら震える声で精一杯口に出したら、グラジオさまは無理に最後まで吐かせようとせず、怒気をまとった声で「グズマ」と自らのボスの名前を呼び捨てにした。

「グズマ、二度は無いと言ったはずだが?今からでも最後の言葉を考えておけ」
「へいへい」

いつもは丁寧で礼儀正しいグラジオさまが、今はボスに対しても言葉を荒らげて感情を剥き出しにしている。


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