| 年下水戸/学生 「アメリカの恋愛っていいよね」 「へ?」 授業中に屋上で煙草をふかす罪悪感なんてとうに過ぎ今日この頃。たまにやってきては他愛もない話をする仲となった1つ上の女先輩が、ほぼ独り言のように水戸へと話を投げかける。 「海外ドラマとか見てるとさ、あっちの人たちってちゃんとした告白があまり無いでしょ?そういうの、日本人と違っていいなーって」 「あー、まあ確かにそっか、あっちは」 「日本人の奥手でハッキリ言葉にしなきゃいけないかんじ、めんどうって思わない?」 「んー、あんま考えたことねぇな。でもハッキリしてていいんじゃん?」 「えー、そうかなぁ…」 お国柄というのだろうか、確かに日本の恋愛は結婚手前だとしても言葉の契約みたいなのがなにかと必要だったりする。それに比べてあちらの方は結構ガバガバだ。 「デートとかだって普通で複数人掛け持ちするって言うし、俺は日本人のが一途感あっていいと思うけどな」 「んー…確かに、同時進行は腹立つかも」 そもそものデートやキスのハードルが低いのは如何なものか、やはり日本で育って日本の恋愛漫画しか見ていない純日本人にはあちらの感覚は全て理解できないかもしれない。 「でも見つめ合ってお互い好きかもしれないって思ったらキス…って、とても楽じゃない?」 「勘違いだったら怖くねぇ?」 「大丈夫よ、そこは見つめ合えばわかる…!」 「ふーん」 「わ、なに…」 水戸は静かに煙草の火を消して体制を変えた。 「え、あの」 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 最初は戸惑う彼女も、今は静かにこちらを見つめている。そしてそのままーー、 「……っ」 目の前の彼女がまるで石にでもなったかのように硬直している。小動物がぷるぷると震えるようなその姿は到底年上には思えない。水戸はふは、と笑った。 「……笑うなぁ」 「だって名前さん、顔真っ赤」 「あのねぇ…」 “見つめ合って分かったつもりだったんだけど、違った?”――水戸の言葉に彼女が息をのむ。 「………違わない、合ってる」 「ならよかった」 水戸はもう一度彼女の瞳を先ほどと同じ距離まで持っていった。 「じゃあ、足りないからもう一回いい?」 「っ……、その前に告白してくれたら、いいよ」 水戸はまた笑った。 そして真っ直ぐに瞳を捉えてーー“好きだよ名前さん、付き合って”と言って返事も聞かずに彼女へとキスをした。 |