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「結局、的場が片付けたんだってね」

「はい、名取さんは明翠さんにはもう会いましたか?」

「会ったよ...もともとあまり親しい間柄ではなかったのだけど、話してみて思ったよ、素のあの人は的場とも君とも違うようだ」

「おれも、もっと冷たい人なのかと思ってました。でも、暖かい人なんだと思います...妖には、厳しそうですけど」

「それに、なかなかの美人だ」

「そうですね。あ、名取さん、そういえば、的場さんの許婚というのは、ただの噂だそうですよ」

「あぁ、私も明翠ちゃんに怒られたよ。嘘を教えないでくださいって。でも、あの的場が大事に囲っているから、他に嫁ぐというわけにもいかないだろうね」

「おれのところに来た時も、たくさん式がいるからって結界を張ってました」

「ははっ...随分な過保護っぷりだなぁ。まぁ、明翠ちゃんも満更でもないって感じだから時間の問題だよ」

「そうですね」

「強い人だよ、家族も失って、家も4年の時間を失っても。あんな風に人の前で笑って見せて、妖祓いまでできるんだから」

「.........」

そうだ、あの闇を経験して
あの血まみれの手も
嘆きも全部...本当に乗り越えられているのだろうか

「あの時も強がっていたんだろうか」

「あの時?」

「明翠ちゃんの会合での振る舞いは、あまりいいものじゃないんだよ。人を見下したような、まるで人を避けるような物言いで、愛想も悪い。だから私も、あんな風に笑う人だなんて思っていなかったんだ」

「そう...なんですか」

「今は、どうかわからないけれど。それでも、彼女の力と容姿の評判はいいが、人としての評判は、あまり...ただ弱体化している家には喉から手が出るほど欲しい逸材だろうね」

「...まるで、物を、扱っているみたいですね」

「椿の家は、長男が家を継ぐんだけど、実際の力は女性の方が強いと言われているらしくてね。昔から、色々な家に嫁いで、その力を後世に残してきたそうだ。だから、まだそういう考え方を持つ人たちにとっては、彼女が的場に入るのは許せないだろうね」

「力を持つ家に...ということですか?」

「あぁ、的場に明翠ちゃんだよ?」

「...それは...怖いですね。」

妖に喰われても生き延び
先生も寄せ付けない結界を張るうえに
名取さんや先生の言い方からして
本当に強い人なのだとゾワリと来た
人は見た目で判断してはいけないな...

友人帳は、明翠さんにも知られてはいけない
きっと...あぁ、でも、“そうなんだ”と笑ってくれるかもしれない

なんとなく、そんな気がした



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