07
「明翠は、会合に何しに来てるんだか」
『別に、特に意味はないかもね』
「情報交換もせずに」
『賞金が確認できればそれでいいのよ』
「失礼、椿明翠さんで、いらっしゃいますよね?」
『えぇ』
「少し、お話できますか?」
『貴方みたいな方と話す時間なんてないわ』
「それは、失礼。ですが、少々耳寄りな話を聞きまして」
『それをどうして私に言うのかしら?兄に言えばいいじゃない』
「そりゃぁ、力のある明翠さんの方が良いかと」
『的場のご子息の方が頼りになりますよ』
「それは、そうなんですが。...いえ、やはり貴女に」
『しつこいわ』
「うーん、これは手厳しい」
「明翠、話しくらい聞いたらどうです?」
『.........』
「せっかくの会合でしょう?」
『...わかったわ。話だけは聞いてあげる』
「それは、ありがたい」
軽くまとめられた髪に刺さった椿の簪が荒く揺れる。洋服を好む明翠は、会合に来る時もワンピースが多い。暗めの色が多く、白い肌の彼女にとても映える。たまに、白いワンピースを着ていることもあるが
似合ってはいるものの、どこか人間離れしたように見えてしまう。妖気の強さがそう見せるのか、はたまた別の理由か...
『肝試し?』
「そう」
『こんな微妙な時期にやるの?』
「その建物、夏には取り壊されちゃうらしいのよ。だから、春のうちにって」
『......』
「受験生の憂さ晴らしにもなるでしょう?って」
『面倒な企画ね』
「でも、先生も乗り気で、学校も許可したみたいよ」
『......』
「今、行かなくてもいいって思ったでしょう」
『当然』
「それが残念、全員参加」
『ありえない、仮病でも使えば』
「だめ。私が許さない」
『柚晴乗り気なの?』
「いいじゃない、楽しそうで。あ、もしかして明翠そういうの苦手?」
『そんなことないけど』
「なら、ほら思い出だと思って」
『わかりました。わかりましたよー』
「日にち交代で、周る側と仕掛ける側に分かれるんだって」
『仕掛けなんてやるのね、それはご苦労なことで』
「だから、私たちもクラスで役回りを決めるの」
『............』
「明翠って、こういうイベントごと本当に嫌いね」
『めんどくさいじゃない』
「学生生活損してるわよ」
そうは、言われても
イベントごとは、たいてい面倒くさいのだ
体育祭はまだしも
過去2年の文化祭では、浴衣を着せられたり、メイド服を着せられたり
接客も売り子も、面倒で仕方がなかった
「肝試し、楽しみだ」
『......、今なんて言った?』
「来週の肝試しが楽しみだと言った」
『的場がそんなこというなんて』
「どういう意味?」
『少し意外だったから』
「本当に何か出るかもしれない。もともと、あそこは普通には侵入できないから何かが隠れててもおかしくない」
『それって、すごく危険じゃない』
「だからと言って、先に行って退治なんてできないんだから、仕方がない」
『そうだけど』
「ついでに祓えばいい、それで十分。あぁ、そういえば、この前の会合の話、なんだった?」
『うちの周りで中途半端な術の後を見かけたから。怪しい人を見つけたら、捕まえてほしいってお願いだった』
「心当たりは?」
『...特にはないけれど。そういえば、彩季が一度会合行きたいって言ってたの』
「どうして?」
『わからないけれど、兄は次の時に連れて行くつもりみたい。私は、反対よ。中途半端が一番よくないでしょう?顔を晒すのもあまりよくないけれど、前にも一度来てるから、そこは今更ね』
「......」
『どういう風の吹き回しかしらね』
何もないといいのだけれど
中途半端が一番よくない
向こうを怒らせるうえに、それを封印しきれないなんて
恨みを買うだけだ
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