１ 外傷は見つからなかった その手の医者に見せたが、特に異常は見つからなかった 時間が経てば意識を取り戻すだろうと 1週間ほど入院していたが、自宅療養ということになり 的場の邸に連れて帰ることになった 色々と言われたが、大した問題ではない 力を欲するのなら申し分ないだろうに 顔色も日に日によくなっているので そろそろ目を覚ますのだろう 4年か・・・ おそらく4年前から成長は止まっているのだろう 最後に見た あの日、別れた時から何も変わっていないように見える ・・・記憶はあるのだろうか 彼女は 全部受け止めきれるだろうか 彼女目覚めたところで 家族は全て、あの妖に殺されている ただでさえ母親を妖に殺され 祖父母もすでに失っている 自分も頭首となった ・・・それに、右目のこともある 妖となった姿を見られたくなかったのだろう そのまま祓ってほしかったのだろう 目覚めたら 怒るのだろうか それこそ、泣いて怒ってくれた方がよっぽどいい 「明翠。私は、今から仕事に行きますから、大人しくしていてくださいね」 見張りに式を置いて行くが 彼女の妖力が健在であれば簡単に振り払えるだろう ただの連絡用にしかならないかもしれないが 置いて行かないよりはましなはずだ そう、もう何度繰り返しただろうか 早く声が聴きたい ←→ 目次 |