「おはようアンジェリーナにリゼット。ご機嫌麗しゅう」
「おはようフレッド、ジョージ」

男子寮から降りてきた俺とジョージと、女子寮から降りてきたアンジェリーナとリゼット。俺が真っ先に挨拶をすれば、今日も輝く笑顔のアンジェリーナから愛想よく返事が返ってくる。

「おはよう、アンジェリーナ!」
「フレッド、おはよう!」

ジョージとリゼットの口から零れるのは、アンジェリーナと俺の名前だけ。______ああ、いつもの朝だ。

「あら、ええと………どちら様だったかしら?フレッドのそっくりさん?きちんと前を向いて歩いてもらえる?私にぶつかったの、わかる?」
「わお、こんな下の方に人がいるなんて思わなかったよ! それに、天下のウィーズリーの双子の片割れがわからないなんて、世間知らずもいいところだ!きみ、本当にグリフィンドール生?」
「可哀想に………女の子相手くらいしか下を見ることないものね、器も身の丈も小さいから………」
「はあ!?小さくないっつの!」
「うるさいチービチービ!成長期に見放された男!」

だんだん二人とも皮肉をかなぐり捨てて、ガキみたいな口論がヒートアップしていく。
リゼット、リゼット、そのくらいにしてくれないとぴったりおんなじ姿形の俺もちょっと悲しいぜ?口には出さずに、アンジェリーナにそっと目配せをすれば、彼女もちょっと首を竦めて二人に近寄る。俺は俺で、ジョージの方に。

「そのくらいにしとけよ、相棒! 朝っぱらからんな顔してんなって〜」
「そうよ、リゼット。せっかく今日はすっきり目が覚めたんでしょう? さ、朝食、食べそびれちゃうわ!」

俺とアンジェリーナが休戦の合図を告げると、二人は「おうよ、相棒」「ええ、アンジー」と不服そうな顔で振り返る。
俺同様テンションが高くて愛想もいい、なんなら俺よりちょーっとひとに気が使えるくらいのジョージに、温厚でしっかり者、明るい笑顔が素敵なリゼット。______いつからこうなってしまったんだっけ?
考えても、いまいちピンとこない。わからないことでは悩まない主義の俺は、その思考をすぐに放棄して片割れの肩に腕を回した。

大広間につくと、すでに数人が料理をとっている。今日も今日とてクィディッチの練習に励む予定の俺とジョージはなかなかの大盛りをよそう。アンジェリーナもそうみたいだ。

「随分と少ない朝食だな?ダイエットか?無駄だからやめたほうがいいぜ」
「生憎、あなたみたいに朝から馬鹿食いするタイプじゃないの」
「ワーオ、量をセーブしてもそんなに肥えて……おっと失礼?」
「こいつ………ッ」
「スタイルのいいアンジェリーナの隣に並んでて恥ずかしくないのか〜?」
「煩いわね! 黙りなさい馬鹿! デリカシーないんだから! 英国紳士の風上にも置けない!」

切れたリゼットが荒々しくナプキンでいくつかパンを挟んで、大股で広間から飛び出して行った。あーあ、と思いながらその様子を止めるでもなく見守る。正面に座るアンジェリーナはやれやれと言いたげな顔だし、横の相棒はというと、

「そんなに凹むなら毎度喧嘩吹っかけるのやめたらどうだい、ジョージくん?」
「うるさい………………」

自分が取った料理の皿に顔を突っ込んで暗い空気を背負っている。だいたい、素直じゃないのだ。いつの間にこんなコミュニケーションしか取れない二人になったかわからないが、もともとは双子の兄である俺よろしく、普通に仲良く談話していたはず_____むしろ、ジョージとリゼットは特に仲が良くて、付き合うのも時間の問題じゃないかって言われてたくらい_____だった。
懐古するのもこのくらいにしておこう。この二人が今「こう」である事実は変わらないし、と、いまだ料理に頭を突っ込んでいる相棒を助け起こした。



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