「あの、ウィーズリー先輩」
澄んだ声が耳に届いて、ふと振り返る。上背の高い僕からしたら大分下の方に、輝くプラチナブロンドのストレートヘアが見えた。小柄な女の子だ。新入生だろうか。こちらを窺うように覗き込んでくる顔はお世辞抜きに整っていて、少しどきっとする。と、そこまで確認したあとで、ローブの裏地とネクタイの緑に気が付いた。
「……?え、君、誰? ていうか、スリザリンの子が、僕に何の用?」
たぶんとっても怪訝そうな表情をしていることだろう。スリザリンのやつらにはいい思い出がないから、ついそんな風にしてしまうのだ。彼女がなんであれ、大抵のやつは僕や僕の家族に向かって「血を裏切る者め」って、汚らわしいものを見るような顔で、はたまた揶揄するような顔で言ってくるから。まあ、それをさっぴいたって、いやーな奴が多いし。
「次の、教室までの道が、わからなくて。知り合いも、傍にいなくて……先輩は、ウィーズリー家の人だと、思って」
ほら見ろ。目立つ兄貴やハリーの傍にいる僕のことなんか誰もきちんと覚えていやしないんだ。”弟の””ポッターのそばにいる””ウィーズリーの”いつものパターンだ。でも、それで怒るほどガキでもないつもり。
「なーんだ、じゃあ僕のこと知ってたわけじゃないのか…。どこの教室?」
「変身術です」
「じゃあ、こっち。変な子だね、君。ふつう、よりによってグリフィンドールの僕に話しかけたりなんかしないよ」
「そう、なんですか」
促すように視線をやれば、女の子はそわそわと落ち着かない様子でついてくる。ローブに着られているような状態で、魔法薬学の教科書を大事に両手で抱えてる様子はなんともかわいらしい。僕に対しても特に何を言ってくるわけでもないし、もしかしたら、良い子かもしれない。純血主義とか気にしないような。
「うん。僕の家相手なら特に___スリザリンのやつらは、マグル好きのうちが嫌いなんだ。マルフォイなんか特に……」
「えっ」
「ああ、そうそう、僕、ロン。ロナルド・ウィーズリー。よかったね、声をかけたのがフレッドとかジョージじゃなくてさ」
「は、はい……ええっと、ロン先輩、と、お呼びしても?」
おず、と僕の目を覗き込む彼女に毒気を抜かれるような思いだった。狡猾そうにもとても見えないし、なんでこの子がスリザリンなんだろう?
「もちろん。可愛い女の子に名前で呼ばれて悪い気は……アー、えっと、なんでもない!」
「えっ、あっ、そ、それなら、よかったです、あ、もう、つきますね!」
「ウ、ウン……はい、この階段を降りたら、着くよ」
「ありがとうございました!では、」
思わず口を滑らせた僕の言葉に少し頬を染めて、それからはっとして、逃げるように教室に駆け込もうとする。
名前もまだ聞いてないのに! せっかく可愛い子と知り合いになれるチャンスを逃すという手はない、いくらなんでも!
そう言い聞かせて、もう一言を唇に乗せる。
「待ってよ!君は、なんて言うの? 名前!」
「わ、わたしは」
「うん」
「____リズ・マルフォイです!すみっ、すみません!」
「____エッ」
マルフォイ?マルフォイって、言ったか?聖28一族の、ええと、ドラコ・マルフォイと同じ、マルフォイ?
「あと、本当は、ロン先輩のこと、知ってました!ロン先輩だから、話しかけました!案内ありがとうございました!」
「エーーーーーーーーーーーーーーーッ!?」
脳内処理があまりに追いつかなくて、そのあと僕は薬草学に思いっきり遅刻したのも、ハリーとハーマイオニーに風邪でもひいたのかと心配されたことも、別の話だ。
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赤毛でそばかすはウィーズリーのやつらだと兄に聞かされていた妹。
純血主義思想の中で育ってるから多少そのきらいはあるだろうけど、じゃあウィーズリーの人なら純血なんだから道を教えてもらってもお兄様に怒られないんじゃないかしら!くらいのノリでロンに声かけてそう
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