火神くんを監禁してから一週間が経った。

彼は諦めたのか、疲れたのか、絶望したのか、もう睨んだり怒鳴ったりはしなくなっていた。それよりも、私に哀れみの目を向けることの方が多い。
私をかわいそうだと思ったのだろうか。同情を誘うつもりはなかったけれど、ちょうどいい。彼は情に弱い。
私は自分をかわいそうなんて思わないが、都合がいい。

「火神くん、火神くん」

監禁部屋に足を踏み入れ、声をかけると火神くんはゆっくりとこちらを向いた。やはり少しやつれている。大好きなバスケが出来ないのが辛いのかな。バスケをやっている彼も好きだったから、私も少しだけ辛い。
でもね、簡単な話だ。
彼が私を好きにさえなってくれたら、こんなところに閉じ込めなくてもいいんだから。

「晩御飯、持ってきたよ。食べれる…?」

こくり と、小さく頷いてくれる。寂しいな。声をあまり出してくれないんだ。聞きたいのに、火神くんの声。
どうしたら話してくれるかな。
私は彼の目の前に晩御飯を乗せたトレーを置く。今夜はしょうが焼きを作ってみた。

「口開けて」

お肉を一枚箸で挟み、おずおずと開かれた彼の口元に近付ける。火神くんはパクリとしょうが焼きを口にしてくれた。目が、きらりと輝く。
ああ、美味しいって思ってくれるんだ。どれだけ隠そうとしても、それだけは分かる。

「ご飯も……」

本当は掻き込みたくて仕方ないだろう。でもごめんね。縄だけはとれないから。
私がご飯を口に近付け、彼はそれを口にする。なぜだかとても幸福な気持ちになれた。
私が作ったものを、私が食べさせて、彼の一部になる。それだけで、満ち足りた気持ちだ。

ああ、いつまでもこうしていたいよ。